ENo.0277　カラーガタ

一週間。繭にこもった。
ハイドラ、ナヴァラサと共に入るコクーンは自身の身体の組織を削って作った。薄く細い糸をくるくるとくるくると巻いて、九相全てを真っ白にする。
ナヴァラサはウィリアムズの代替機だった。
ウィリアムズはもう一体のハイドラに配偶者の名前をつけていて、女性のように扱ったらしい。
ナヴァラサの「スマイル」は愛情、怒り、悲しみ、恐怖、驚き、力強さ、嫌悪、笑い、寂静のうち愛と寂静以外を満たしている。
愛と寂静を求めてこもった繭から再び出でた時、ナヴァラサは蕾のような形に変わり、私は女性化していた。

軽量化を求めた意味もあったし、もう女性の身体をしていてもこれ以上に煩わしいことに巻き込まれることもないだろう。

もう猛々しい威嚇の形を取らなくても殺せる。

静かに近づいて殺す。

私は弱いから殺してしまう。敵を殺さなくては生きることが出来ない半端者。

強ければ、敵ですら護る。
私は弱い。だから殺せる。

ナヴァラサも私も。

愛で包んで寂静に連れて行くのに、蓮華の蕾と子宮以上に適したものはない。

羽化した。

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今回の戦場は思った以上に危険そうだった。

侵入任務を任せるために集められたはずのハイドラはログを見る限りどちらかといえば騎士寄りで、探索特化機が見当たらなかった。
半数はあてにしても良いが半数は意見を仰ぐことも出来ないだろう。

かけちがえると全滅するかもしれない。

頼まれたことが果たせないのは気分が良くない。

基底現実などろくに見えていなかった私が様子を見てレーダーを載せるために小細工をした。

それは一度だけ教えを仰いだダーウェンが教えてくれたことでもあって、その作業の間、彼とは全く違う自分を痛感したというのに今以て彼と彼の模倣子が自分を導いてくれていると感じた。

滑稽なことだと笑い、外殻に反射したその笑顔は奇妙に以前のナヴァラサを思わせた。

愛と寂静を。

マハカラーの元に。

社会生活を、営むに支障のある……デンパが言語に混じる……