ENo.0505　セイラン＝ルーデ

『メフィルクライアを倒すということは……アンビエント・ユニットを破壊するということだ』
『それは、この世界の維持を破壊するということに他ならない』
『霧の維持さえ崩壊し、青空が現れ、発芽が始まる……世界の終わりが来る』

そのメッセージを読むセイランは、どこか普段と違い、空虚な雰囲気を纏って見えた。

「この霧の、向こうか」

これまで目に見えなかったそれが、掴むことの出来る現実として現れたこと。
それはセイランにとって、走り続けてきた意味を失うことと同義だった。

「いや、そうか。……この霧に、終わりが来るのか」

正体の分からない感覚が、胸中に広がっている。
顎に手を当て、思索に耽る。自分は何故、こんなにも動揺しているのだろう。
それはきっと、目指してきたものが霞んでしまったからで。
しかし、思い返せば……最近は随分と、惰性に身を任せていたように思う。

「……ふむ」

以前なら何も気にすることなく、ただ走っていれば良かった。しかし今の私は、それを躊躇っている。
この世界に立ったばかりの頃は、何も持っていなかった。自分の持っていない何かを知りたがった。
だが、今は……もしかするとセイラン＝ルーデは、手放したくない何かを、抱えているのではないか。
日々を『いつものように』過ごすのは……楽しかっただろうか。

「……ああ、そうか」

誰もが持っているはずの何かを、もしかすると得ることが出来たのかもしれない。
それが自分を捨ててまで得たかったものなのかは、分からないけれど。

「さて。そうなれば、残りの時間でするべきことは……」

この世界の終焉までの間に出来ることは、多分それほど多くはない。
多くのものを見ることは、出来ないだろう。仲間と今後について話し合う必要もある。
次の行動の指針が何か無いかと、端末上に飛び交うメッセージをスクロールしていく。
目に留まったのは、一人の男のメッセージだった。

「……これにするか」

折角の大規模な祭りだ。最早憂う事もない。参加しなければ、損というものだろう。

残像領域のどこかの町にある、行き場のない者の寄り合い所。運営は気まぐれ。
利用・改築自由の集合住宅。2LDKの5階建て。
管理者に御用の方は、3階の角部屋まで。

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ユニオン活動：現在は制御*5
ユニオン購入：経験値+1、またはAP+10%