ENo.0685　かもめの亡霊 モーヴェ

…今週の戦場。
ユニットをたくさん積むのはカッコよかった！けど！

…管理が忙しくてそれどころじゃねぇ！

そうこうしてる間にヒモティーの姉ちゃんが根こそぎ撃っていくし、
しまいには次元の向こうで霧を切り裂き(オレの言葉遊び、うまい)戦場を跳ねる金属のイルカを見ていたら戦場は焼き尽くされて終わった。

ま、まぁ！？こーいうアセンブルをする奴が残像領域にいたって示すことが大事だし！？…もうやらねーけど。

イルカと言えば、海もしばらく見てねーなー。ホームグラウンドなのになぁ。
イルカを知ってるってことは、あのライダーも海を知ってんだろうか。青くて、深くて、渦巻きのたうつ海を。

いろいろゴタゴタが終わったら一度、メーヴェも連れて海の国に帰ろう。そしたらまた残像領域にとんぼ返り。
オレはここが気に入ったし、もう元の仕事戻りたくない。




……そんなプランを決めつつ次回に備え、整備とアセンブルアセンブルっと。
次回はコロッセオかな。12000cベットなんて、ワクワクするじゃねえか？メーヴェも、そう思うだろ？

『端的に申し上げる。協同の依頼……』

この声は。ははあ、広域メッセージか。リー・イン？
知らない声だけど、改まったふうで…何だ？

『”力”と”意志”が必要だ。』
『力無き者は生き残らない。意志無き者は役に立たない。』

……
なんか、羽毛がむず痒くなるメッセージだ。
あの日のコロッセオを思い出す。バイオ兵器一つの攻撃を受ける力も無ければ、必ず勝つという意志も、多分あいつには無かったんだ。
メーヴェはそもそも休暇で遊ぶつもりでここに来て、そうして……
オレも元はそうだったけど、今は違う。本気でハイドラライダーとして上手くやるために今こうしてコロッセオで稼ごうとしているんだから、この協力要請には乗れな


『…ギルデンロウ、後はお前の仕事だぞ？』


+日記+


……ギルデンロウ、あいつ絡みか。
よし分かった乗ってやる。今に見てろ、前回の戦果はアレだったが次は違う、力も意思も両方見せてやる。



『本気はどこに置いてきたんだよ。意思曲げるの早過ぎるんじゃないか、モーヴェ』
とツッこんでくれる奴はもう居なかった。



----------------------------------------------------------
(ある別の日のページだ)

一人になってから初めて、残像領域に来てからは２回目の僚機申請をした。

番号は134、そうだよギルデンロウだよ。

申請というより、オレがあっちに飼われる感覚の方が何故か近いけど。


なんでだよ、って。オレもそう思うよ。
メーヴェが見たらどんな顔するんだろう。何て言うんだろう。
でもこれは一つチャンスだ。かなりデカいチャンス。
僚機になったからには、必ず同じ戦場に立つことになる。


もしかしたら、もしかすると…オレは、あいつを目の前で追い越せるのかもしれない？落ちるのをこの目で見るかもしれない？

…それともただ単に、力の差を目の前で知るのかもしれない。

ユニオン名：ジャンク・パックス
　（勇ましい口ぶりの、低く加工された声がラジオや通信機から響いている）
　（どうやら、プロパガンダ……のようなユニオン参加の呼びかけだ）

　《集え同胞！　ジャンクの大地に産まれ、スクラップを食む獣たちよ！》
　《今こそ『群れ（パック）』を為し、敵を食い荒らす時だ！》


概要：
　いわゆる傭兵たちの為のユニオンです。
　目的の一つは「他のハイドラをぶっ壊してスクラップにして、スクラップを売り払ってお金持ちになろう！」
　そしてもう一つは「ジャンクみたいな機体で気取った金持ちたちを叩きのめしてのし上がろう！」です。
　雰囲気としては共産主義みたいな感じです。でもやってることはバリバリ資本主義。

　設立者がジャンク屋なのもあって、ジャンク品や廉価なパーツ、泥、ツギハギ、硝煙、戦場……
　その他モロモロに縁深い人にオススメです。もちろん縁がない人もオールオッケー。