ENo.0070　ユリア・クールハート

『ＴＵＲＮ３９：獣の操者』

『何故だ！？　何故我々が敗れる！？』
『認めねェ！　認めねェぞ！　こんな事ァ！』
『理解出来ん！　理解出来ん！！』

『往生際の悪い奴らだね』
『元の世界でもろくでもなかった奴らだ。死んでも変わらなかったのだろう』
「ならば」

「もう一度地獄へ堕ちろ！！」

『『『あああああああああああああああああああああああああああ……』』』

「……………」
「……消えた、か？」
『みたいだね』
『電子網を探ったが、奴らの信号は完全に途切れた』
「勝った、か……」
『どうしたの、ユリア？　もう記憶を失う危険性は無くなったんだから、もっと喜んでいいんだよ？』
「いや」
「この世界の戦いはまだ終わっていない」
「それに、私達をこの残像領域に召喚したあいつらが消えた今、どうやって元の世界に帰れば良いのかも、わからなくなった」
『そうだね……それは』
『……あ』
「どうした、エルシス？」
『混線に紛れて、久々に天のノイズが』
「あ、ああ、存在を忘れかけてたな」
『えーと』
『「皆さんお疲れさまでした。途中めちゃくちゃ迷走したり脱線したりして、正直すまんかった」』
「……たしかに、自分で『何やってんだ私』って思う事が沢山あったぞ」
『「とはいえ、大体の筋道は無事通したので、終わり良ければ全て良し、で許してね☆」』
『……………』
『「さて、皆さん、元の世界に戻るのに困っているところと思いますが、そんなあなた方に朗報！　次回の最終更新を乗り切れば、帰れます！」』
「本当か？」
『「あなた方は過去の亡霊の怨讐により、残像領域に召喚されました。役割が終われば元の世界に帰るのが、異世界召喚のお約束。行きて帰りし物語は王道！」』
『……………え……？』
「どうした？」
『……………』
『「あなた方は、元の世界に戻ります。ただし、“物語が始まる前の時間軸”に」』
「それって……」
『我々が出会う前の状況に巻き戻る、という事だな』
「巻き戻る……？」
「この世界での記憶も無くなるのか？」
『……みたい』
『ええと、まだ続きが……』
『「期限はあともう少し！　それまでに、悔いの無いように残像領域ライフを過ごしてね！　それじゃ！」』
『……ここまでだね』
「思いっきりメタネタをぶちまけるだけぶちまけていったな！」
『とはいえ、元の世界に戻る事はわかったんだ。そこは安心して良いだろう』
「わかっている。だが、だけど……」
「結局失くすんだぞ、記憶を。この世界で過ごした日々を」
「お前達と共に走った道を」
「築いた、絆を」
『ユリア……』
『でも、それでも良いと、僕は思う』
「エルシス？」
『たしかに、僕らは残像領域での思い出を、全部失くしてしまうかもしれないけれど、君達とこの世界を駆け抜ける事が出来て、本当に良かった』
『それに、巻き戻るって事は、君達ともう一度出会えるんだよ。楽しまなきゃ損だよ』
『楽しいと言える出会い方はしなかったがな』
『それもそれで』
「そうか……」
「そうだな」
『さあ、そうと決まれば、後片付けをしないと』
「後片付け？」
『うん。きちんと皆に挨拶をしていこう』
『それから、「トリグラフ」も。いつかどこかで、誰かがこの機体を使う日が、また来るかもしれないから』

To be continued...

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html