ENo.0378　フレイド・コークス

　幹部のほぼ全てが突如消息を絶ったレンド社は混乱の極みに陥った。
ロギー・オードが予測したようにそのまま混乱に流され倒産してもおかしくなかっただろう。
しかし、レンド社は倒産の危機から持ち直し、今も尚企業を存続させている。

　ヒューズ・トゥロ。

　レンド社を襲った最大の危難に際して陣頭指揮を執り、倒産の危機から救った彼が今のレンド社の社長である。
もっとも、彼自身は自分の器が社長に相応しくないと悟っており、レンド社の主な事業経営計画は専ら幹部達の集う共同会議で決められている。
実際、彼が危機に対して行ったことは消息を絶った上層部をバッサリ戻らぬものとして、残された者達で会社の運営を行うように筋道を立てたことだけであった。

そんなヒューズだが、社長の特権として一つだけある事業に関して大幅な采配権を得ている。
それは新たなる世界で発足したある治安維持組織への支援事業である。
　
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　ウィリアム・ソナーとの連絡が途絶えて数日後、フレイド・コークスからのメールが届いた。
其処にはレンド社の上層部が異世界の住人であったこと、そして彼らのこの世界での企み、そしてその企みが潰えたことが記されていた。

「レンド社は舵取り役を失い、もしかしたら倒産し消滅するかもしれない。
　しかし、同時にレンド社に巣食った虫の退治にもなった……。」

　フレイド・コークスはヒューズに対し、自分（フレイド）への罪滅ぼしは不要だと伝えていた。
そしてもし、償う心算が有るのならば、レンド社を潰さない努力をし、大勢の社員を救え…そうメールには記されていた。

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　今、レンド社は青い空が広がるこの世界で以前と変わらぬモットーを掲げている。

「ありふれた製品を、高品質で。」

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　青い空が広がっている


　広場に着陸した飛行機から一人の男が降り、それを出迎えた女性に微笑んだ。

サイボーグ医学・ロボット工学の分野で名を売る中堅企業。
高い技術力を有した製品は評判高いが、軍事兵器市場への参入には消極的。
「ありふれた製品を、高品質で。」をモットーに掲げている。