ENo.0121　ジャバロスとオプロトポ子

一年ぶりに戦場へ出る。
そう、一年だ。ここへ来てたった一年だと言うのに、斥候として実り豊かな大地を駆け回っていた頃が懐かしい。
この土地のせいだろうか。ここには故郷の面影も、故郷と地続きだと意識させるような美しい田園もない。
なぜ俺はここへ来た？ どうやってきたんだ？ わからない。
俺なりに一年間探ってはみたが、糸口さえ掴めなかった。
諦めた方がいいと人は言うが、故郷とか自分がいるべきはずの場所だとかってのは、ここの連中にとってはそう簡単に諦められるものなのだろうか。
俺には諦められない。

もちろん、この見知らぬ土地で自分が十分に恵まれていることは理解している。
ブリクトム社のテストパイロットだったか。今の俺の役職は。
ハイドラだとかパーツだとか何のことやらさっぱりわからない俺にそうしたモンを教え込んで、飯の種を仕込んでくれたあいつらには頭が上がらない。
後はトリガラノスに乗り込むパートナー、あいつがもう少しまともなヤツならよかったんだが……


「何書いてんです？ ひょっとして官能小説とか？」

「……いるのか？」

「へ？ それはもしかして完成したら私にくれるという意味で……」

「違う！ 出撃前に官能小説を書く輩がこの世に一人でもいるのかという話だ！」



本当に、もう少しまともなヤツだったらな……

@@@ ブリクトム社が新たな事業のために新設したハンガー。
そのほとんどが中古品であるが、設備は十分に整えられている。