ENo.0066　エイジ・アサヒ

　俺がこんなことする理由、ちっともわからねぇだろう。
でも金の為だけじゃないんだぜ。俺はギャンブル野郎。構うものか。
The show carries on……

『良い曲ですね』
「おっ、そう思ってくれる？？？嬉しいなぁ……結構気に入ってる曲なんだよこれ～」

　アンプに繋いでいないギターの音などたかが知れているが、それでもこの狭い操縦棺の中で
弾いていた曲を褒めてもらえるのはとても、嬉しい。
ところで自分は一体何をしているのか、というと……機体の整備？チエックリスト？とかそういう、
所謂メンテナンス作業をしているわけだ。
とは言っても、ギターのアンプかスタジオのミキサー卓くらいしか機械らしいものを触ったことのない俺は
バーツの言う通りにコンソールを操作しているだけだったりする。
今、データの読み込みだか何かの待ち時間にこうやってギター弾きながら歌っていた訳だ。

　いっそ全部バーツにやってもらった方がいいんじゃない？と思ってその通りに言ってみたが
もし仮に、この先バーツが何らかの不具合で指示を出せなくなった時に少しでも俺自身が操縦出来るように
今のうちから少しでも覚えておいた方がいい。と返された。それに、バーツはあくまでもナビゲーターで
俺が操縦しないとこの機体……ザウィザード（かっこいい名前！）は動かないように出来ているらしい。
でも俺、スマブラくらいしかやったことないんだけどなぁ……
ライダーとしての登録を取り消すにはどうしたらいいんだ？と聞いてみたら、登録時に埋め込まれたチップが
生体情報の停止を確認した時……つまり、俺が死なないとダメらしい。ダメかー


「そういやさ、バーツって今どこに居るんすか？どうせなら顔合わせて挨拶したいっすよー」
『……今はすぐにはちょっと……それに、顔を合わせたところで面白いことなんてありませんよ』
「えー？んな事ないよ！俺の知り合いに全身タトゥー鼻ピモヒカンのヤツいるけど、すっげぇいいヤツなんだぜー」
『……』
「そいつ、鼻かんだときに鼻ピの穴から鼻水出るって見せてくれてさあ、面白かったんだぜー」
『いや、それはあまり関係ないような……』
「え？あれ？何の話してたんだっけ……ああそうだ、人を見た目で判断したらダメだってカーチャンが言ってた」
『わたしはシャイなんですよ。そういう事にしておいてください』
「んー。でもまぁ、嫌だっていうのを無理にってのはダメだよなー。ごめんな」


『いえ、こちらこそ……いずれ、いずれ顔を合わすこともあるでしょう。その時は……』

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