ENo.0184　パスタの妖精

彼女は知った。知っていた。

この世があまりに残酷なこと。


彼女は知った。知っていた。

いくら贖罪に跪いても
どれだけその罪から逃げようとも

決して、その命は赦されないこと。


天に神はなく、地に命はなく、

ただただ単純な、
ただただ純粋な、

人の思いがあるだけだった。


彼女はそんな現実と、

一抹の後悔と、

大いなる怨嗟と、

強奪した一握りのパスタを、

ゆっくりと、噛みしだいて。
ゆっくりと、飲み込んだ。


｢とはいえ、どうやっても美味しくないなぁ。｣
のんびりと歩きながらもぐもぐと口を動かす。

｢たーぶんこっちであってると思うんだけど...来る途中もハイドラいたし🍝｣
北に、なおも北に歩く。

｢とりあえず使えそうな素材は拾ってるけど、
どれもこれも重たい金属片ばっかり。
なんかよく分からない紙切れもあるしさー🍝｣
そう言いながら設計書を紙飛行機にして飛ばす。

少しの間自由を得た設計書は、
たいして飛ぶこともなく、ゆるりと墜落した。

｢そういえばみーんな空飛んでましたね。
時代は飛ユニなのかなぁ。
飛行は人類の夢と言われた時代もあるけど、
なれてる身としてはあんまり魅力的じゃないのよね🍝｣
ひらりと宙返りしながら呟く。

｢もっと楽しむために飛べばいいのにね
パスタさんは歩くの好きだから歩いていきますけどね〜｣
呑気に構えながら彼女は歩む。北へ、北へ。

パスタさんのキッチンですね。おいしいよ🍝