ENo.0292　ディーヴァ

あなたは席についていた。
とある少女との待ち合わせのためだ。
指定された店は、決して上等とは言えないが、一応上品にこさえようと涙ぐましい努力と気遣いがされているような、やや不思議な店だ。
あなたの席の向かいには、呼び出した張本人が座っている。
今日は黒い義手義足を付けている。
先ほどあなたが到着してから、彼女が何やら注文をしていたが、それが来るまで…



⇒パンツァークリンゲの話をする
普段の生活の話をする
義手をほめる
この店について尋ねる



何かに背中を押されてしまったのか、あるいはボタンの連打をしていたら意図せず選んでしまったような不注意か。
兎にも角にも、あなたは彼女がハイドラライダーであることからだろうか。なぜか武装の話を切り出した。
その胸中やいかほどたるものだろうか。
口から出るのは真面目な武装についての論評か、それとも偏執的な熱意か、気軽な質問か…
しかし、それを受けて彼女は微笑んで答える。



「パンツァークリンゲ　あの　大きな　剣」

「大きかったり　変形　したり　盾に　なったり　切れ味に　特化したり」

「鉄の　塊に　いろんな　思いや　技術が　込められていて　私は　好き　ですよ」

「残念　ながら　私は　うまく　あつかえ　ませんが」

「運動　音痴　なんですよ　あんな　おおきいもの　握ったことも　ないですし」

「だから　使ってる　人　かっこいいなあ　って」



（ディーヴァ　好感度＋５）

…話していると、料理が運ばれてきた。
この店の外観通りというべきか。一流には遠く及ばないが、工夫やちょっとした意匠でお洒落さを出そうとしているような、背伸びを感じる料理だった。



「さあ　どうぞ」

「私も　新しい　義手を　いただいたので　楽に　食事が　できる　はず」

「なんでも　『思い通りに　動く！』　が　売り文句の　実験作　らしくて」

「接続レベル　を　上げて　と」



自分をかき抱く様に手を肩に回し、何かしら操作をしている。
あなたも催促に従い、運ばれてきた料理に目を向け、



「いただきまモゥ」

牛のような声がした。何かと訝しんで顔を上げれば、目を丸くして口にパンを突っ込んでいる少女がいた。
余程腹が減っていたのか…？いや、違う。
腕は目を白黒させる彼女を置き去りに動きだす。
突っ込まれたパンに左腕がバターを塗り、右手は魚の骨を取り除いて骨格標本のように並べだす。
あなたは先ほどの彼女の発言を思い出す。
『思い通りに動く』…なるほど。つまりこの惨状は『思ったままに制限なく動いてしまう』為に発生しているようだ。



⇒彼女が操作した辺りの肩を調べる
落ち着いて食事を続ける
全く同じ動きで対抗する



席を立ち、乱舞する腕に翻弄される彼女の後ろに回り込む。
肩の付近を調べると、接続レベルを設定するツマミが存在しており、最大レベルに合わさっていた。
適当にそれを半分程にまで引き下げると、スープにスプーンを突っ込んで高速で回していた右手も、ナイフとフォークでジャグリングしていた左手も大人しくなった。
未だに口に突っ込まれたパンを外してやる…



「あ　ああ」

「ありがとう　ございます　びっくり　しました」

「ごめん　なさい　こんなことに　なるとは　思って　無くて」



いいんだ、と宥める
⇒いったいどこの製品だと訝しむ



「えっと　私を　保護してくれてる　--- です」



彼女は普通に答えた、はずだが。なぜかその返答には、合成音声の抜けがあった。



「あれ　なんで　--- --- ---」

「どうやら　音声データ　の　不備　みたい　です」

「えっと　どう伝えたら　あの　慈善活動を　私みたいな　人に　与える　活動を　してる　---」



答えようとすると、突如彼女は顔を顰めた。
軽く体を屈め、何かに耐えるようにする。



「いたた　　…　　　　　すいません　幻肢痛　が　出てきちゃって」

「…　料理　冷めない　うちに　食べちゃい　ましょう」



…何か不穏なモノを感じるも、確かにその通りだと自分の席に戻ろうとする。

しかし、小さな抵抗がそれを阻んだ。

振り返る。黒い義手が、あなたの服の端をそっとつまんでいた。
彼女は自分の動きに気付き、…みるみる赤面し、



「こ　これは　その　違　ええと　あの」

「嘘　外せない　ご　ごめんなさ　どうすれば」



『思い通りに動く』、なるほど。この固く握られた小さな手が彼女の思いを表しているらしい。
…その後、あなたは店員を呼び、彼女の向かいから隣に席を移動してもらい、共に食事をした。
その間とても恥ずかしそうにしていたが、終始彼女は嬉しそうにしていた。


（ディーヴァ　好感度+15　50突破　『新たな歌』解放）

「♪（落ち着いた歌が流れている）」
（射撃５　素材＋１）

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緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。