ENo.0325　"Black Star"

　【6週目】

　痛み止めで鈍化した頭でも、ウォーハイドラ一機分より分厚い鉄扉が崩れ軋む音は脳に響く。セクション2ゲート突破作戦は成功した。その『結果』をぼんやりと眺めている。深い水底に隠された闇は今や戦火によって仄暗く照らされ、壊滅させられた守備隊の残骸が散らばっている。そしてゆっくりとゲートが開かれた。

　一ヶ月半で霧笛の塔はセクションを二つ攻略した。この遺跡の深部に迫るほどに敵も強くなるはずだが、この大隊は攻略ペースをまるで落としていない。広いとはいえ遺跡内部、決して一戦場としては広大すぎるわけではないが——それでもこの攻略ペースは異常だ。強行軍に近い。それだけ事を急ぐ必要があるのだろうか。ベッドに横になり、考える。染み付いた蛍光灯がちらつく。

　「世界の破壊、か——」

　馬鹿馬鹿しい。あらゆる意味で馬鹿馬鹿しい。世界が終わるなど。たとえどれほど酷い戦争がこの地上を破壊し尽くしたとして、そしてたとえ人間が絶滅したとして。世界は終わらないのだ。無論、今のような文明は跡形もなく消え去るし、活動的ではなくなるだろう。白兎生体化学が言うように海の底に沈むとしても。

　ただ、残り続ける。それを終わりというのは、驕りではないだろうか？

　薬が効いてきた。私は目を瞑る。そして暗闇が降りてくる。

　目が覚めたら、また戦いがある。だが願わくば、そこに私が誰であったかを知る手がかりを。夢に求めたい

整備ユニオン
ユニオン購入は最序盤のうちは素材+1
その後は基本経験値+1、様子を見てAP+10%

かつて残存領域に存在した兵器研究開発機関らしいが、正式名称は忘れ去られ、その標識も掠れてほとんど読み取れない。そのため、資料に残されたそれっぽい名前が当てられ、トレードマークも掠れたものをそのままコピーして使っている。当時の人員は全て撤退してしまったが、旧基地に残された試作品や資料は未だに多く残っている。少なくともしばらくの間は、ここの遺産が尽きることはないだろう