ENo.0082　アキ・ニタドリ

「へぇ…存外そんなものね…あるいは」

Dr.アンダーソンはモニターを眺め、そう呟いた。
モニターにはどこから調達してきたのか、アキ・ニタドリの戦闘ログが映し出されている。

「"兆候"があればすぐに迎えに行くのにねぇ…まだその様子は無さそうね？」

アンダーソンはつまらなげにそう続け、別のログを確認する。
アキ・ニタドリの健康状態を示した医療記録、そこには────。

「…ふぅん？」

アンダーソンの目に興味の色が戻った。

「アキ・ニタドリの撃墜後の健康状態────所見なし、ね」

あれだけ撃墜されて目立った外傷なし、とは────。
アンダーソンは古ぼけた研究ノートを開き、何かを書きなぐり始める。
これは、想定より面白いものを見ることが出来るかもしれない。

「あなたは────どう思う、ミカ？」

手を止め、窓の外を向きそう問いかける。
視線の先にあるのは一体のウォーハイドラ。
それは問いかけに答えず、静かに佇んだままだった。