ENo.0196　アマレット

ぼくらの故郷であるコロニーを脅かす宇宙害獣”星喰い”の生態は、結局最後まで解明されなかった。
最も解明が難航していたのは、やつらが引き起こす”四肢縫い”現象について。

ある程度接近し攻撃を加えた対象の手足に、神経の麻痺や皮膚の変調を起こし、悪化すると正常な思考ができなくなり人間に危害を加えるようになるってもの。
たくさんの技術者たちが研究と実験を重ねても仕組みがわからなくて、ぼくらの祖先がまだ惑星に住んでいたころに信じられていたという『呪い』じゃないかって噂されたらしい。

コロニーのえらい人たちは、戦場に向かう兵士たちの手足を切り落として保管し、機械義肢を装着することで、ひとまずの対処にした。
いろんな人にものすごく反対されたけど、それでも発狂して死ぬまで戦わせるよりはいいと採用されたらしい。
ぼくもそっちのほうがいいと思うし、戦場に出れるようになったら、当然手足を預けて戦うものだと思って育った。

街に出たときに、健康な手足をナントカ子供の権利をナントカって絡んでくる変な人がいたこともあるけど、なに言ってんのこの人……？？？　って感じだったなあ。
ぼくらみたいな機体最適化兵がいないと、前線防衛は成り立たないんだ。みんな死んじゃうんだよ。

結局、そんなことを言ってた人たちも、色々お世話になった教官や仲間も、みんな――






『――アム、どうした。大丈夫か？』

「あっ！　大丈夫、眠気がちょっとブンしてただけ！」

インシオンさんからの通信で飛び起きた。
戦闘が終わって帰還してから、緊張が解けて疲れが出たのか、コクピットでちょっと寝ちゃってたみたいだ。
なんか、いろいろあったけど、戦い――残像領域での、僚機とその因縁の人との――に勝ったんだ。
勝った。壊すだけじゃなくて、取り返した。呼び戻した。だいじな仲間の、だいじな人を。

「…………えへへ」

なんか、くすぐったくてついひとりで笑っちゃた。
目からめっちゃ粒子ラムネ出る。しょっぱい。えへへ。

無口なおばあちゃんがやってる駄菓子屋だよ～

品揃え豊富でどれもどこか懐かしい味！休憩テーブルつき！

駄菓子、やたら薬臭いって言われるけどそんなするかなあ？