ENo.0196　アマレット

ぼくがいつもゴーグルをつけているのは、故郷で過ごした日のことを忘れないように、だと思う。

ぼくとグレンとミラは、休暇のたびにこっそり放棄区画に潜り込んで、
埃だらけの廃墟の中から、ぼくらなりのお宝を探しにいった。
ゴーグルは探検隊の制服みたいなものなんだ。
誰もいないところで三人でぎゃあぎゃあ騒いでから、お宝を隠してまたいつもの訓練と戦闘の生活に戻るんだ。

たとえば、ぼくが見つけたラジコンカーとか。
ミラが見つけたキックボードとか。あいつほんと乗り物好きだったなあ。
グレンが見つけたえっちな本とか。あいつほんとスケベなの好きだったなあ。

あのころはグレンの趣味がぜんぜんわからなくて、女の人の裸って意外とグロくない……？って思ってたんだけど、
今となっちゃもっと見せて貰っておけばよかったかなあと思う。
やっと感性が追い付いた感じがあるんだ。

グレン、本当にどこにいっちゃったんだろうなあ。
ぼくといっしょにワームホールに呑まれたはずだから、きっと残像領域のどこかにいると思うんだけど。
いると思うんだ。
いるんだ。
いて……ほしい。
頭打って記憶を失ったりしてるのかもしれない。
そうだと……まだ、いいな。

でも、手掛かりの見つからないスケベマンより、
今はエレさん――僚機の奥さんを助けにいかなくちゃ。
父さんの奥さんだから実質母さんってことになるんじゃ？　行くぞー、親孝行！

無口なおばあちゃんがやってる駄菓子屋だよ～

品揃え豊富でどれもどこか懐かしい味！休憩テーブルつき！

駄菓子、やたら薬臭いって言われるけどそんなするかなあ？