ENo.0029　猫目 黄金

　件名：神様

　From 黄金
　To 琥珀

ハロー兄貴。そちらは元気？そうだといいな。

突然だけれど、兄貴は神様って信じる？……あ、念のため書いておくけれど、変な勧誘に捕まったわけじゃないよ？ほら、この前書いたじゃない、武装宗教団体の鎮圧。一発弾を喰らってしまったけれどちゃんと達成できたよ。ハイドラは普通の機械よりかなり頑丈に作られてるみたいだから。
……そう、全然何もなかったんだ。爆弾を括り付けた女の人が飛び出してきたんだけどね、傷一つつかなかった。仲間も落とされることもなく、ほぼ圧勝だったよ。あんなマネしてまでその人たちが守った物がさ、まぁ御神体って呼ばれてたみたいなんだけれど、神殿の奥から回収されたそれね、まるでガラクタだったよ。寄せ集めの機械の塊。動く機能すら付いてない鉄くず……馬鹿みたいだって思ったよ。結局その人たちはみんな死んでしまってさ、御神体もすぐ処分された。僕はあんなの神様だなんて信じないよ。助けるどころか、自分を守るために信じた人たちを簡単に殺すような神様なんか、この世にいてたまるもんか。

次の作戦は廃工場の賊が相手だって。今回みたいな人たちとは違うから、また気をつけて戦うとするよ。おやすみ、兄貴。

p.s.
出来ればでいいんだけれど、今度のメッセージは音声のものを送ってくれたらうれしいな。兄貴と親父と友達と、楽しそうなやつ。ハイドラの外部スピーカーから延々流れてきた、あの人達の呪文みたいなのが、思ってたよりも引きずってるみたいだから。

　--- 2017.3.17 ---