ENo.0064　タカムラ＝カミツ

act.03
　確かに、彼は墜ちたはずだった。
　レーダーの端で、僚機であるその鴉の名前を持つ機体がダメージを受けて墜ちて行ったのを＜ザイカ＞は間違いなく捉えていた。――だが、彼はそこにいる。
　白髪の青年と、賑やかな青年。
　そうなったというのも全く感じさせない態度で、通信で声をかけてくる二人組。
　それに感じたのは気味の悪さでも恐怖でもなく、そこはかとない安堵だった。
　うしなうことはない。
　それは確信。おそらく、自分も同じなのだろう。たとえ墜ちたとして、またきっとこの戦場に＜ザイカ＞と共に立つことになるのだろうというのを篁は確信していた。
　うしなうのは、誰しも嫌なものだろう。
　少なくとも篁はそう思っている。うしなわれるのは嫌だ。自分と関わりがあった相手ならば誰でもあっても。
　だからこそ、彼らが二人とも何事もなく存在していることは喜ばしかった。触れもしないのだからこちらも触れない、それが当たり前なのでそれでよかった。
　戦闘機であるウォーハイドラに乗る人間としてはおそらくあまりいい思考をしていないのだろうが、この世界で目覚めてからというもの、あの二人としか篁は話していないのでさほど気にもしていない。
　ふと、頭をよぎる影に緩く頭を振った。オレンジと赤茶。似たような印象。あれは誰だったか。
「……生き返り？」
　薄暗い操縦棺の中、言葉を返す。蘇るのかと問う彼女に、おそらくは違うと首を振る。死ぬわけではないが、再構築とも違う。そこにどんな力が働いているのか、篁にとんとわかるはずもない。
　ただ、生き返るというのは、言葉として何かが違う、とだけ思っていた。
「俺も、同じだ」
　掌を見つめて目を伏せる。曖昧な記憶のそとで、これは自分の身体だとは思っているが、実際にはどうなのか。記憶がきちんと戻ればもしかしたら姿は違うかもしれない。そうだとは言い切れない。
　それが、今の篁だ。
「……ユカ」
　ぽつり、言葉を落とす。
　問いかけるような響きの後、篁はしばし逡巡する。
「……俺が墜ちたら、おまえはまたいてくれるんだろうか」
　自分は復活するとして、もし彼女が存在していなかったら。
　目を伏せた篁の耳に届く、囁くような声に顔を上げる。
「……ああ、そうだな。一緒だ」

残像領域のとある町の、ひっそりとした町はずれの倉庫街。
ひとりになりたいハイドラ乗りたちがいたり、いなかったり。


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と、いう設定のユニオンです。
ソロールするもよし、のんびりするもよし。
とりあえず制御と格闘の活動をよこせと言うのでも良し。
そんな適当ユニオン。

【制御3＋格闘2】【機動力＋3％】