ENo.0534　ジル・スチュアート

・・・

いつものように、Anubisのシステムメッセージが流れる。

【……ライダーの精神状態、低下。異常値に未到達】

いつもの、ように

【……健康状態、危険値。戦闘行為は推奨されません】

……いつもの――――

【……繰り返します。健康状態――――――――――】

…………

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「……名乗り出てもらったことは感謝してるよ、テスターも見つからなかったし。でも――」

「これはもともと、君のような子供向けに設計されてはいない」

「研究員による単純な起動実験では、週一の起動であれば継続しても大きな異常は見られなかったが……」

「君は大人じゃないし、実戦によるテスト自体は初となる」

「一応、君の健康状態や精神状態、そういったステートも汲み取って教えてくれるから」

「危険を感じたら、必ず休暇をとってくれ」

「安全上、ライダーに意識がある場合は強制的にシステムを停止させる事はできないんだ」

「いいね？」

「ぼくたちは、ライダーに死んでほしくて、こいつを造ったんじゃない」

「”強くなりたい”。その夢を……多少の身を犠牲にしてでも叶えたい」

「そういった奴らの……叶え難いであろう願いの力になりたかった、それだけなんだ」

…………

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・

「ありがとう、ございます」

だから、私は、今でも、戦える。

【……システム、異常無し】

あとすこし。

（……もう、これいじょうは――――）

あとすこしで、終わるはずなんだ。

一瞬。
しかし確かに混ざったノイズのような声が、少女に届くことはなかった。

・・・

いつからか、不用品と必要品は分けられ
きれいに整理がなされている。

それは、この迷霧の中で
少女は少女なりの答えを見つけたのだという、証。

・・・