ENo.0415　オプロトポス

迂闊だった。

チャッカル研究所がただ胡散臭いだけの存在ではないと知りながら、私は些か深入りし過ぎたのだ。

それに奴らの執念深さについても過小評価していた。
世界が凍り付き始めてなお連中は私を追っている。
一体あのオプロトポスという機体の何が彼らをそこまでさせるのか。
私はそれが知りたい。

だから今も、戦闘区域の片隅で打ち捨てられていたオンボロのトラックを走らせている。
目的地は某宗教団体の神殿。
多数のWHが動いているそこにオプロトポスもきっと現れるだろう。


「止まれ！」

不意にスピーカーから流れるけたたましい叫び。
続いて、多数の武装車両のエンジン音が近付いてくる。

”奴ら”だ。

これまでは逃げ延びてきたが、どうやら私もこれまでらしい。
動いていることすら信じられないようなこのトラックではとても逃げ切れない。

ただ知ることだけを求めた末、何を知ることもできず終わる。
それが私の運命だということなのか。

覚悟を決めた私は、目を瞑り奴らの武器がオンボロトラックごと私を吹き飛ばすのをただ待った。


やがて凄まじい光と耐え難い熱が襲って来たかと思うと、辺りは轟音に包まれ、そして私は――














驚くべきことに、生き延びた。

破壊された武装車両の燻る音の中、トラックから転がり落ちた私が目にしたもの。
それは私が追い続けてきたあの機体に他ならなかった。

「オプロトポス……！」

「確認。ヤノシュ・ケルテス。あなたは我々にとって適切です」

「状況を鑑みるに、我々もあなたにとって適切でしょう」

「ご同行願います」


「これは適切な取引です」


どうやら、私に選択権はないらしい。

不明なユニオン