ENo.0594　祟鬼漬クロガネ

「これが決戦の部隊配備……。」

来たる霜の巨人戦に向けて、戦闘ブロック分けに目を通す。
私の戦場はミッションB第10ブロック、配備されたライダーの中に、よく知った名前が一つ。

「ラピアさん……。」

ラピュリメント・バーキュラ。威力偵察型のウォーハイドラを駆る『戦場の魔女』。
私の初めての僚機になる彼女と、僚機契約が成立するその前に同戦場となった。
しかもこの戦いは、……『要塞戦』だ。

「運命の出会い……か、ここまで偶然が重なるものなのか？」

この世界に神がいるとするなら、なんて残酷なんだろう。
私に贖罪をしろと……、そういう事なのか？あの時守れなかった『彼女』の娘を、守ってみせろと、そう言いたいのか？

この要塞戦では彼女とはまだ『僚機じゃない』、鉄壁守護で確実に守ることは出来ない。
『あの時と同じように』、ティタンフォートで彼女に攻撃が向かわないように祈ることしか出来ない。
このイオノスフェア戦は、まるで悪趣味な『ストラトスフェアの再現』のように思えた。

正直、キーナツァレの事はよく知らない。要塞戦前にすれ違った程度で、話したこともない。
それでも『誰一人死なせやしない』そう言った中の一人で、私が守ろうとした『仲間』だった。
だからこそ、ミサイルキャリアーの猛攻から彼女を取りこぼしたことを深く悔やんだし、自分を責めた。
その彼女に『娘』がいたなら尚更だ。

ラピュリメント・バーキュラはその『娘』だ。いくつか気になることはあるが嘘じゃない、それだけは確信できる。
接触は彼女からだったが、私が返した最悪な質問にも答えてくれた上に、『感情に触れても構わない』とまで言ってくれた。

だからこそ私は、今まで取ることのなかった僚機契約を彼女と交わしたいと思ったし、守りたいと思った。
『僚機』になれば鉄壁守護で確実に守ることが出来る。少なくともそれが彼女の『保険』になるはずだった。
……それなのに、それなのに何故このタイミングなんだ。

ラピアは『彼女』とは違う。今の私にとって、絶対に死なせたくない大切な友達だ。
『あの時と同じように』取りこぼすわけにはいかない。絶対に守り切らなければ、そうでないと私は……。

――私は、どうなってしまうのだろうか？

……全く想像がつかない。考えても仕方のない事かもしれないが、私はどうなるのだろう。
母を目の前で殺されてひとたび、父を手にかけてふたたび、そして同戦場でラピアを救えずにみたび。
もしそうなってしまったら私は……。

……頭が痛い、吐き気もする、視界が揺れる。
考えるべきじゃない。目の前の事に集中しろ、もうあの時の私じゃないんだ。

僚機……、そういえばニーユさんは大丈夫だろうか。
ラピアからは『大変なことになっていた時は支えてあげて』とは言われたものの、どうしていいか全く分からない。
考えてみると、私は一度として誰かを励ましたり、慰めたりしたことがなかったように思える。

きっと彼は辛い事や悲しいことも、すっかり噛み砕いて飲み干してしまうだろう。
もし私に出来ることがあるとするならば、全てが終わるまで傷に触れないことくらいか。

なんだかニーユさんとラピアの間で、危険な綱渡りをしているような気がしてならない。
私がラピアと僚機を組んでいることを知ったら、彼はミリアサービスから私を追い出すだろうか。
……もしそうなったとしても、文句は言えない。結局は私が選んだ道なのだ。

お互いがどう思っていようと、私にとっては二人とも死んで欲しくない大事な友達だ。
だからこそ、霜の巨人を、メフィルクライアを止めなければ。

Reinclaft-Millia Service

数年前にできた、残像領域の片隅の整備屋。
相場よりほんの少し高い値段で、ウォーハイドラのみならずライダーも整備する。
早い話が、機体のメンテをしに来るついでに、店主が常々作りすぎる飯のおこぼれにありつける整備屋である。
飯だけの利用も歓迎だが、この店にはメニューはない。店主が作りすぎたその日の飯が出されるだけである。

！店および店主（ENo.4）の既知可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/milliapede/union.html