第38週目 insanelyの一週間
霊障見舞金として3000cの資金が送られました
◆日記
(Eno101様、Eno534様をお借りしております。この場を借りて両氏に絶大なる感謝を。)
霜の巨人の陥落。
時を同じくして、跳躍し襲い掛からんとしていたウグイスが姿勢制御を失った。
まあ、無理も無いさ。あらゆる無茶を総動員したアセンブル、受動的かつ意図的に引き起こしたオーバーロード。その引き金となった被弾の衝撃。
よくもまあ制御下に置き続けたものだ。それを成し遂げたベティの肉体と精神、技術に、リーは心からの敬意を抱いていた。
だからこそ、アフターケアは可能な限りに。彼女にはそれだけではまるで足りない価値がある。そして俺はそれをはっきりと明言した。
重力に組み敷かれ、急速に地表に向けて加速していくウグイスに向け、ブライトネイルがそれに数倍する加速をもって追い縋る。
加速に反比例して体感時間が鉛のように鈍化する。認識の中でウグイスが静止する。
剥がれ飛ぶ装甲の破片。血のように流れ出すなけなしの貯水。力無く投げ出されて尚、電磁アックスを離さない、腕。
距離2975……634…158、今!
落下するウグイスを僅かに通過し、反転。両腕でウグイスを支え、脚部フライトユニットを地表に向け全力噴射(フルバーニアン)。
衝撃を与えることなく加速を殺し、殺し、殺し殺し殺し殺し……巻き上がる噴煙と蒸気。
溶け出した地上を、逆関節が踏み締めた。
「ウグイス、ベティへ。 聞こえていてもいなくても構わない。 お疲れさま。後の半分は俺が持つよ。」
霧が凍り、ダイヤモンドダストが降り頻る中を、ブライトネイルが跳んだ。
いつしか覗いた空からは、嫌になるような陽光が降り注いでいた。
††††††
少女が戦場から戻ってきて、一息つけたかどうかといった頃。
素早く二度、ノックの音がスライドドアから飛び込んできた。
彼女の部屋にノックをしてくる者は一人しかいない。だから逆に、その手順が普段と違うことが気になった。
念のため、その彼から与えられたテーザーを手に取り……その間に、端末が鳴動した。短いメッセージ。
『開けてくれ』
ドアの向こうには、案の定白髪頭の黒尽くめが立っていた。無表情の両頬に深い裂傷がいくつも走っていた。
「悪い、ひとまず入れてくれ。」
††††††
椅子に降ろそうとした腰が妙に勢いがついて、男が小さく詫びた。
「悪い、久し振りに腰を降ろしたものだから。」
呼吸と発声に妙な音が混じっていた。何か狭い空間を空気が抜けるような音が。
「その様子だと、君はもう無事らしいな。いくらか無理を追加したみたいだが、まあとにかく良かった。」
リーはあくまで素っ気無く口にした。些か余裕が失われている。男の希少な側面を誰よりも多く見てきたジルの目は、その事実を朧げに読み取っていた。
「わ、私は大丈夫です。それより、リーさんのほうが……なんだか辛そうに見えます。……本当に大丈夫ですか?」
「何が大丈夫なものか。結局起き上がって、まあ、随分と派手にやって。
俺は君に寝てろって言ったんだ。全く聞いちゃいない、いや当然なんだが。」
咎める言葉と裏腹に、口元は笑っていた。
この男を好意的に解釈するものだけが見つけ出せる、いくらかの朗らかささえ添加されていた。
自身については応えなかった。その必要も認めなかった。
「君は人事不省に陥って何も知らないだろうが。
俺は出撃直前に呼び出されてあの寒気の中走らされた挙句、
危うく戦闘開始に遅れるとこだったんだ。ベティも欺いちまったし、大損だ。」
ダイニングの椅子から立ち上がり、断りも無く台所へと入っていく。勝手に湯を沸かし始めた。
「ああ……もしかしたら既に耳にしているかもしれないが。
ベティは戦闘終了後昏倒した。手荒く無理をしてたから入院してもらったけど、大事は無いと思う。」
告げられた少女はひどく動揺した。
リー・インに自分の状態を知られていることは、すでにアヌビスから聞いて知っていた。
問題はそこではなく、ベティ・ヴィーナスが入院しているということだ。
「……ごめんなさい、また、迷惑を……。
……ベティさんは、ほんとに大丈夫なんですよね……?」
心配を越えて、恐怖とも取れるような声と表情。
リーはジルの狼狽をちらりと見やっただけで、まるで無視するように続けた。
「その点は問題無い。元々そうしたいと希望していたし、今回は俺も彼女を補佐するために動いたからね。
事態を想定して、搬送する病院をいくつか目星つけていたし、処置は適切に行われたよ。」
淡々と口にしながら、ハーブティーを淹れていく。その下の表情は誰にも窺えなかった。彼自身何故そのことに言及を始めたのか、追って考えてようやく結論が出たばかりだった。
「むしろ、精神状態の方が心配かな。俺も色々迷惑かけて、随分と嫌な気分をさせてしまったし……
気に入らないメフィルクライアに痛打を加えていくらか気分が晴れているといいんだが。
がらの悪い看護婦に金をつかませているから、目が覚めたら即座に見舞いに行く。」
「わ、私も! お見舞いに行くとき、連れて行ってください!」
「当然だ、元気が有り余ってるなら尚更だ。」
湯気を立てる強い香りのハーブティーを行儀悪く啜りながら、ダイニングへと戻ってきた。逆の手に持ったもう一個のカップを当然のように少女の前に置く。
「君が倒れたと聞けば、ベティも君と同じように思うだろうな。
忘れるなよ、その気持ちを。身を投げ打ったりすり潰したりすれば、結局は望まぬ苦労をかけることになる。
要は、ベティも俺も君のことが気がかりで仕方なかったってことだよ。
ああ、ニーユも実に心配していた。様子を教えろって頼まれてる。」
「……ごめんなさい。私は……私は、ただ……もう誰も……失いたくなくて……
一人でも、あの時の私のような気持ちを……味わってほしくなくて……」
ジルの返答は、ひどく小さく、震えていた。
果たしてそれが、申し訳ないという気持ちからなのか
それとも……過去を思い出してなのか。
どちらかなのか、両方なのかかは、わからなかったが。
リーはただ黙って聞いていた。その根本に何があるのか。わかるはずもなかった。
結局、いつも通りわかっていることだけを口にした。
「謝ることじゃないよ。思うに、それだけ君が好かれてしまったってことさ。
迷惑かもしれんが。俺も君が好きだ。虚勢を張られたり倒れられるのは面白くない。
健やかにしてるのがいいな。」
なんでもないことのように口にして、脇腹をまさぐった。砕けた肋骨がいくらか修復されてきていてむず痒かった。
「というわけでしばらく泊めてくれ。
本当に大丈夫か見ていたいし、まあ、有事の際には役に立つよ。」
率直に過ぎる好意の表明に、ジルの顔は発熱したかのように赤くなった。
余りにも図々しい申し出に、顔を隠すように両手で摘んだティーカップを口に当てて問い返す。
「えっと、泊まる……のは、うちに……ですよね?」
「そうだよ。例の部屋は訳あって引き払ったし、こう天変地異が起こると何があるかわからん。
連携は密に取るべきかと思う。いや、とにかく最近君のことが気がかりで仕方ない、それが一番だ。」
色々言いはしたが、要はそれだけだ、と口にして、頬の瘡蓋を掻きながら茶を啜った。上等な葉は、こんな時でも良好な鎮静効果を齎していた。
「私は大丈夫ですけど……でも、私は大して料理は出来ませんし……
多分、いろいろ不便だとは思いますけど、それでもいいのなら……」
未だいくらか朱の差した顔のまま、申し訳なさそうに苦笑してジルは承諾した。
「私は体調のほうはもう大丈夫なので……Anubisからも余分に血を吸われることはありませんし
その、無理だけはしないでくださいね……?」
「君がしないならな。まあ、面倒をかけるよ。」
内心の強烈な安堵をバイザーの下に隠し、男は笑い返した。似合いもしない、人のそれのような笑い方だった。
(ユニオン説明文へ続きます)
霜の巨人の陥落。
時を同じくして、跳躍し襲い掛からんとしていたウグイスが姿勢制御を失った。
まあ、無理も無いさ。あらゆる無茶を総動員したアセンブル、受動的かつ意図的に引き起こしたオーバーロード。その引き金となった被弾の衝撃。
よくもまあ制御下に置き続けたものだ。それを成し遂げたベティの肉体と精神、技術に、リーは心からの敬意を抱いていた。
だからこそ、アフターケアは可能な限りに。彼女にはそれだけではまるで足りない価値がある。そして俺はそれをはっきりと明言した。
重力に組み敷かれ、急速に地表に向けて加速していくウグイスに向け、ブライトネイルがそれに数倍する加速をもって追い縋る。
加速に反比例して体感時間が鉛のように鈍化する。認識の中でウグイスが静止する。
剥がれ飛ぶ装甲の破片。血のように流れ出すなけなしの貯水。力無く投げ出されて尚、電磁アックスを離さない、腕。
距離2975……634…158、今!
落下するウグイスを僅かに通過し、反転。両腕でウグイスを支え、脚部フライトユニットを地表に向け全力噴射(フルバーニアン)。
衝撃を与えることなく加速を殺し、殺し、殺し殺し殺し殺し……巻き上がる噴煙と蒸気。
溶け出した地上を、逆関節が踏み締めた。
「ウグイス、ベティへ。 聞こえていてもいなくても構わない。 お疲れさま。後の半分は俺が持つよ。」
霧が凍り、ダイヤモンドダストが降り頻る中を、ブライトネイルが跳んだ。
いつしか覗いた空からは、嫌になるような陽光が降り注いでいた。
††††††
少女が戦場から戻ってきて、一息つけたかどうかといった頃。
素早く二度、ノックの音がスライドドアから飛び込んできた。
彼女の部屋にノックをしてくる者は一人しかいない。だから逆に、その手順が普段と違うことが気になった。
念のため、その彼から与えられたテーザーを手に取り……その間に、端末が鳴動した。短いメッセージ。
『開けてくれ』
ドアの向こうには、案の定白髪頭の黒尽くめが立っていた。無表情の両頬に深い裂傷がいくつも走っていた。
「悪い、ひとまず入れてくれ。」
††††††
椅子に降ろそうとした腰が妙に勢いがついて、男が小さく詫びた。
「悪い、久し振りに腰を降ろしたものだから。」
呼吸と発声に妙な音が混じっていた。何か狭い空間を空気が抜けるような音が。
「その様子だと、君はもう無事らしいな。いくらか無理を追加したみたいだが、まあとにかく良かった。」
リーはあくまで素っ気無く口にした。些か余裕が失われている。男の希少な側面を誰よりも多く見てきたジルの目は、その事実を朧げに読み取っていた。
「わ、私は大丈夫です。それより、リーさんのほうが……なんだか辛そうに見えます。……本当に大丈夫ですか?」
「何が大丈夫なものか。結局起き上がって、まあ、随分と派手にやって。
俺は君に寝てろって言ったんだ。全く聞いちゃいない、いや当然なんだが。」
咎める言葉と裏腹に、口元は笑っていた。
この男を好意的に解釈するものだけが見つけ出せる、いくらかの朗らかささえ添加されていた。
自身については応えなかった。その必要も認めなかった。
「君は人事不省に陥って何も知らないだろうが。
俺は出撃直前に呼び出されてあの寒気の中走らされた挙句、
危うく戦闘開始に遅れるとこだったんだ。ベティも欺いちまったし、大損だ。」
ダイニングの椅子から立ち上がり、断りも無く台所へと入っていく。勝手に湯を沸かし始めた。
「ああ……もしかしたら既に耳にしているかもしれないが。
ベティは戦闘終了後昏倒した。手荒く無理をしてたから入院してもらったけど、大事は無いと思う。」
告げられた少女はひどく動揺した。
リー・インに自分の状態を知られていることは、すでにアヌビスから聞いて知っていた。
問題はそこではなく、ベティ・ヴィーナスが入院しているということだ。
「……ごめんなさい、また、迷惑を……。
……ベティさんは、ほんとに大丈夫なんですよね……?」
心配を越えて、恐怖とも取れるような声と表情。
リーはジルの狼狽をちらりと見やっただけで、まるで無視するように続けた。
「その点は問題無い。元々そうしたいと希望していたし、今回は俺も彼女を補佐するために動いたからね。
事態を想定して、搬送する病院をいくつか目星つけていたし、処置は適切に行われたよ。」
淡々と口にしながら、ハーブティーを淹れていく。その下の表情は誰にも窺えなかった。彼自身何故そのことに言及を始めたのか、追って考えてようやく結論が出たばかりだった。
「むしろ、精神状態の方が心配かな。俺も色々迷惑かけて、随分と嫌な気分をさせてしまったし……
気に入らないメフィルクライアに痛打を加えていくらか気分が晴れているといいんだが。
がらの悪い看護婦に金をつかませているから、目が覚めたら即座に見舞いに行く。」
「わ、私も! お見舞いに行くとき、連れて行ってください!」
「当然だ、元気が有り余ってるなら尚更だ。」
湯気を立てる強い香りのハーブティーを行儀悪く啜りながら、ダイニングへと戻ってきた。逆の手に持ったもう一個のカップを当然のように少女の前に置く。
「君が倒れたと聞けば、ベティも君と同じように思うだろうな。
忘れるなよ、その気持ちを。身を投げ打ったりすり潰したりすれば、結局は望まぬ苦労をかけることになる。
要は、ベティも俺も君のことが気がかりで仕方なかったってことだよ。
ああ、ニーユも実に心配していた。様子を教えろって頼まれてる。」
「……ごめんなさい。私は……私は、ただ……もう誰も……失いたくなくて……
一人でも、あの時の私のような気持ちを……味わってほしくなくて……」
ジルの返答は、ひどく小さく、震えていた。
果たしてそれが、申し訳ないという気持ちからなのか
それとも……過去を思い出してなのか。
どちらかなのか、両方なのかかは、わからなかったが。
リーはただ黙って聞いていた。その根本に何があるのか。わかるはずもなかった。
結局、いつも通りわかっていることだけを口にした。
「謝ることじゃないよ。思うに、それだけ君が好かれてしまったってことさ。
迷惑かもしれんが。俺も君が好きだ。虚勢を張られたり倒れられるのは面白くない。
健やかにしてるのがいいな。」
なんでもないことのように口にして、脇腹をまさぐった。砕けた肋骨がいくらか修復されてきていてむず痒かった。
「というわけでしばらく泊めてくれ。
本当に大丈夫か見ていたいし、まあ、有事の際には役に立つよ。」
率直に過ぎる好意の表明に、ジルの顔は発熱したかのように赤くなった。
余りにも図々しい申し出に、顔を隠すように両手で摘んだティーカップを口に当てて問い返す。
「えっと、泊まる……のは、うちに……ですよね?」
「そうだよ。例の部屋は訳あって引き払ったし、こう天変地異が起こると何があるかわからん。
連携は密に取るべきかと思う。いや、とにかく最近君のことが気がかりで仕方ない、それが一番だ。」
色々言いはしたが、要はそれだけだ、と口にして、頬の瘡蓋を掻きながら茶を啜った。上等な葉は、こんな時でも良好な鎮静効果を齎していた。
「私は大丈夫ですけど……でも、私は大して料理は出来ませんし……
多分、いろいろ不便だとは思いますけど、それでもいいのなら……」
未だいくらか朱の差した顔のまま、申し訳なさそうに苦笑してジルは承諾した。
「私は体調のほうはもう大丈夫なので……Anubisからも余分に血を吸われることはありませんし
その、無理だけはしないでくださいね……?」
「君がしないならな。まあ、面倒をかけるよ。」
内心の強烈な安堵をバイザーの下に隠し、男は笑い返した。似合いもしない、人のそれのような笑い方だった。
(ユニオン説明文へ続きます)
NEWS
本日のニュースですイオノスフェア要塞周辺に現れた新たなる人類のついての続報です
彼らに触れると、旧人類である私たちの身体は更新されてしまい、新人類同様意思疎通が不可能になります
幸い彼らの活動は鈍く、イオノスフェア周辺から拡散はしていません
しかし、霧が無くなり、いつどこで新人類が発芽するかは未知数で……
辺境のレジスタンス『ルオシュ』からのメッセージ 「ルオシュだ。こちらはすでに包囲されてしまったようだ」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』からのメッセージ 「貴公はもう少し自由な位置にいるはずだ。俺のことは構わなくていい。まだ時間はある。彼らの活動は鈍い」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』からのメッセージ 「文献によれば、新しい世界に彼らによって更新され、ゼロに戻るという話だ。なに、死ぬのと同じだ」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』 「……貴公は、ピザが好きか? 俺は……大好きだ」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』 「こんな時に、こんな話をするのを、許してくれ。俺は、ずっと走り続けていた。自分を顧みず、ただ、戦いの中に身を投じていた」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』 「ふと立ち止まって、青空を見た時……俺の今までを振り返った。美しい日々だったと思う。ただ、俺の欲しいものは、そこになかった」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』 「貴公のような者たちと語り合い、笑って、ピザを焼いて、コーラを飲むような……それが俺の本当に欲しかったものかもしれない」 |
辺境のレジスタンス『ルオシュ』 「……貴公は、ピザが好きか? 俺は……大好きなんだ」 |
メルサリアからのメッセージ 「とうとう、ハイドロエンジンの制御に完全に成功した。市場に出すには、もう間に合わないだろうが」 |
メルサリアからのメッセージ 「鍵は……失われたカルマの力だ。わたしはこの超常の力を完全にコントロールした。もう、足りないパズルのピースはない」 |
メルサリアからのメッセージ 「そう、なんでそんなことができたか……わたしの身体、ドゥルガーそのものになるために、手に入れた身体の力だ」 |
メルサリアからのメッセージ 「わたしは破壊されたアンビエント・ユニットの身体を手に入れて、それをレストアした。昔の……話だ。そう、わたしこそが、アンビエント・ユニット。残像領域宿業滅術装置……」 |
メルサリアからのメッセージ 「なぁ、最後に……わたしに付き合ってくれないか? 最終で、最後の……性能評価試験だ」 |
メルサリアからのメッセージ 「わたしの夢を、わたしの生きた千年を、わたしの……あの日見た、ドゥルガーの形を。評価してくれ。見届けてくれ。そして……記録してくれ。それがわたしの、最後の願いだ」 |
メルサリアからのメッセージ 「すこし、話したいことがある……もしよかったら、ミッションAに来てくれないか?」 |
連盟残党のオペレーター『レンネニア』からのメッセージ 「バルーナス様の消息は依然つかめていません。全力で捜索中です」 |
メルククラリス 「アンビエント・ユニット・メルククラリスより、ハイドラ大隊へ……聞こえていますか?」 |
メルククラリス 「メルサリアの願いを、どうかかなえてやってください」 |
メルククラリス 「ドゥルガーは進化します。それに合わせて、ハイドラも力を高めていくのです」 |
メルククラリス 「両者の力が無限に到達したとき……アルラウネは、真に目覚めるのです。見てください、アルラウネは、すでに芽生えています」 |
メルククラリス 「残像の影を苗床にして、アルラウネが根を伸ばしているのです。だから、新世界はいま、動けない」 |
メルククラリス 「次はあなたの番です。ハイドラのミストエンジン無限起動を苗床にして……グローバル・インフィニット・フェイス・トランスファー・システム……」 |
難攻不落を誇るリソスフェア要塞に対し、企業連盟はついにハイドラ大隊を招集しました
表向きは治安維持のため、と説明していますが、目的は明らかでしょう
ハイドラ大隊の矛先はリソスフェア要塞には向かっていませんが
そう遠くないうちに要塞攻略の指令が下ると思われます
混線 「霧を止めることはできない」 |
辺境軍閥はこの戦いで戦力の3割を失ったとみられています
ただ、≪月の谷≫の遺産技術を手に入れた彼らには、まだ切り札があるとされています
辺境軍閥の士気は依然高く、苦しい戦いを強いられ……
混線 「霧を数えることはできない」 |
生まれ変わる体組織、更新される細胞
流れる水のようにとどまることはなく、全てが清純のまま腐ることはなく
ただそれは輝きを持って迎えられる…………
混線 「そう、霧を破壊することはできないよ」 |
辺境で虐げられていた非合法組織や宗教団体もレジスタンスに賛同、合流を始めています
ただ、企業連盟の戦力と物量は圧倒的で、大規模な反攻作戦も検討されていると……
混線 「ぼくたちは、きみたちを選んだ。そして、きみたちを招集した。なぜなら、きみたちは――」 |
本日のニュースです本日のニュースです本日のニュースです本日のニュースです
本日のニュースです本日のニュースです本日のニュースです本日のニュースです本日のニュースです……
混線 「きみたちは……留めることのできない意力を、計算式で表せない超常を、破壊できないはずの無敵を、超えて、その向こうの景色に到達するはずだから」 |
混線 「じゃあ、明日のニュースにチャンネルを合わせようか。マイクチェック。ワン、ツー。本日のニュースです。イワシヤマ動物園で、元気なカピバラの赤ちゃんが――」 |
◆訓練
制御*3の訓練をしました制御*3が21上昇した
制御*3の訓練をしました制御*3が23上昇した
制御*3の訓練をしました制御*3が25上昇した
制御の訓練をしました制御が28上昇した
◆破棄
リーは高出力照準装置56を破棄した!!
100c相当の資材を手に入れた
100c相当の資材を手に入れた
リーはコンデンサー56を破棄した!!
100c相当の資材を手に入れた
100c相当の資材を手に入れた
リーはHI-M.R.W.E.を破棄した!!
968c相当の資材を手に入れた
968c相当の資材を手に入れた
リーは霊障増幅器を破棄した!!
1377c相当の資材を手に入れた
1377c相当の資材を手に入れた
リーは増幅術式《ミストヴァンジェンス》を破棄した!!
1362c相当の資材を手に入れた
1362c相当の資材を手に入れた
◆送品
リーはジル・スチュアートに"Eclat.Aile"を送品した
リーは【削除済み】にHI-M.R.W.E.を送品した
リーは【削除済み】に霊障増幅器を送品した
◆送金
リーはリグに1200c送金した
リーは【削除済み】に1000c送金した
リーはジル・スチュアートに1000c送金した
◆受品・入金ログ
マヒロから試製幻想噴霧腕部A-0が届いた[代理]エンセイルからコロッセオおやっさんが届いた
[代理]エンセイルからコロッセオおやっさんが届いた
サクラBBSから400cが送金された
ことのはのアリーから2000cが送金された
◆購入
リーはMR-E.M.A.Rを834cで購入した!!
リーはMR-E.M.A.Rを834cで購入した!!
リーはMR-E.M.A.Rを834cで購入した!!
リーは漆黒火蜂を1449cで購入した!!
リーはMR-E.M.A.Rを834cで購入した!!
リーはCold-Winterを570cで購入した!!
◆作製
資金を100を投入した!!
作成時補助発動! 薄防!! 防御値が 56 減少!!
噴霧強化!
作成時補助発動! 薄防!! 防御値が 56 減少!!
噴霧強化!
試製幻想噴霧FCSA-0と試製幻想噴霧腕部A-0を素材にしてBN-LASTRESORTを作製した!!
◆戦闘システム決定
ティタンフォート に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1にマッハコフィンを装備した
脚部2にBN-BEYONDtheNOONTIDEを装備した
スロット3にMR-E.M.A.Rを装備した
スロット4に反証/disproofを装備した
スロット5にMR-E.M.A.Rを装備した
スロット6に冥界への扉『HADES』を装備した
スロット7に反証/disproofを装備した
スロット8にMR-E.M.A.Rを装備した
スロット9にMR-E.M.A.Rを装備した
スロット10に大型ブースター『アノトガスター』を装備した
スロット11に漆黒火蜂を装備した
◆パーツ改名
◆パーツアイコン変更
◆僚機設定
ベティ・ヴィーナスとバディを結成した!!
◆意思表示設定
意志設定……生存優先
◆ミッション
ミッション設定……ミッションC
バルーナスからの信用……♥♥♥♥♥♥♥
ユニオン活動
38週目後編 half&halfの活動記録
††††††
「あ、ジル、今大丈夫かい?ベティが目を覚ましたそうだ。」
床に直接座り込み端末を弄っていたリーが、突然顔を上げた。
「ほ、本当ですか?!大丈夫です、すぐ行きましょう!」
ジルの反応も早かった。すぐに腰を上げ、上着を着込む。
「OK.可能な限り急いで行くのと、歩いて行くの。どちらがいい?」
「急ぎます!」
「わかった」
並んで外へ出た次の瞬間。
ジルが自身に行ったバイオ技術との融合。それが齎した反射神経の強化が、自分に何が起きたかを教えていた。
両足が揃った瞬間を膝裏から刈られた。必然反転し落ち行く上半身が支えられた。黒いバイザーと白髪頭が真顔で覗き込んでいる。
つまり。抱きかかえられている。
「…………え?」
「全速力で行く。君が大丈夫というなら、耐えてみせろ」
リーの容赦の無い耐久試験が始まった。
勿論、彼が想定していたものとは異なる部位への負荷試験となったのは言うまでも無い。
††††††
覚醒したベティの病室に、退室した担当医と入れ替わるように、ノックの音が2回。
未だはっきりしない頭でどうぞ、と言うと、最早見慣れたものになりつつある白髪頭の黒尽くめと薄赤色の少女が乗り込んできた。
「お、お邪魔します……」
「お疲れさま、ベティ。見舞いの品も無くて悪いが。加減はどうかな?」
「ジ、ジル?えっ、リーさん?!」
頭に疑問符だけが浮かぶ、驚愕も無理は無かった。まだベティが覚醒してから幾許も無い。
「驚かせて悪いね。いや、後は何とかするって言った手前、何か面倒があったらまずいと思って。
熱心な看護士に頼んで、目を覚ましたら教えてもらえるようにしてもらった。」
「え、えっと……つまり、リーさんが病院まで運んでくれたんですか……?」
「救急隊より早いしね」
なんでもないことのように口にした。
もしやまた抱えられて運ばれたのかとベティが考えると、喉が詰まるような感覚に襲われた。
「だ、大丈夫なんでしょうか……?リーさんから聞いて、心配で……」
「いや、命に別状はないよ。頭と背中を強く撃って、右指と右手首がまともに動かせないだけだって」
ジルの問いかけになるべく心配事を増やさぬよう、苦痛を誤魔化すように笑って答えた。
奇しくもそれは、ジルがベティに送った通信と似たような構図になっていた……のだが。
「大筋その通りだろうが、もう少し詳しく聞かせてもらっても?
ちなみに、操縦棺を外から開けて、応急処置してここまで運んだのは俺だよ。」
その努力をあざ笑うように斬って落とされた。リーなりの(全く傍迷惑な)温情の発揮だった。
ベティが見せた気丈さが後になって嘘偽りの謗りを受ける事態に、この男にさえ厳然と存在する恥の意識が強烈に反発していた。
「……空元気を出しても無駄か。
自分でも信じられない話ですが、電磁アックスに供給されるはずのエネルギーの一部が、操縦桿を通じて右腕に流れ込んだらしいんです。
それで、筋肉がやられて……今は自力で食事をするのも不可能だろう、って。
ですが担当医は容態が快方に向かい次第、リハビリを行い元通りの指の動きを取り戻すと約束をしてくれました」
だから今を乗り越えれば、きっと大丈夫。そう付け加えて、二人を気遣うかのようにはにかんでみせた。
それでも、実際の齎す刺激を緩和するには至らなかったらしい。ジルの顔には強い狼狽が影を差していた。
言葉を見つけられずにいるジルに、ベティの困ったような目線がリーへと流れた。
まあ、そうなるよな。気分を変える必要があった。リーは一つの解決策を見つけ出していた。
「当分は面倒だらけだな。必要なものは手配するよ。立ち入って良ければ、部屋に置いてる物も。」
「そこは素直に甘えさせてもらいますけど……
へ、部屋に入るまではいいですって!他の友人に頼みますから!」
私物を取りに行かれるとなると女性にしかわからない諸問題が直面する。
まさかリーにそれらの知識が十全にあるとは思えず、それで無くとも異性に家主不在の自室に入られるのは御免だった。
拒絶の意思を表明すると、ジルにお使いを頼むよう視線だけで訴え、軽く頭を下げた。
「えっと、リーさん……ベティさんの私物に関しては、私が行きますから……他のところをお願いしてもいいですか?」
ベティからの視線を受け、ジルも静かに頷いて答えた。無言の会話が成立していた。
その様子をバイザー越しにちらりと眺めて、リーは己の企みの成功に安堵した。
「そうだな。協力してもらえるなら有難い。俺より余程適任そうだ」
頷き合う女二人に何食わぬ顔でそう応じた。全く悪辣なやり方であった。
††††††
「それとリーさん、ウグイスは今どうなってます?
操縦棺の中からいきなりベッドの上にいて……何かしたかどうか記憶があやふやで……」
「ブライトネイルで回収して、君のガレージを開けさせてもらって安置したが。
大破としか言いようの無い状態だったから、ラモラックに連絡して持っていってもらって検査してもらってるよ。」
さも当然のように、さらりと言ってのけた。勿論、ベティは動揺するほかなかった。
「ウグイスを、ブライトネイルで?本当に運べたんですか?
非常時ですしガレージに持っていったのは気にしませんけど、ラモラックにまで……
私、連絡先教えてませんよね?本当に、本当に、受け入れてもらえました……?」
「代表連絡先くらいは自力で調べられるさ。後は、バウンス&トランプルの製作担当者へ回してもらった。
真っ当な企業人と言葉を交わすのは初めてだったが、信用はしてもらえたみたいだったな。
技術者というのはやはり評価されると率直になりやすいみたいだ。俺も似たようなものだが。」
狼狽するベティに対し、あくまでリーはのんびりとした態度で返した。
「これぐらいは手間でもなんでもない。言葉通りに何とかしただけだ、むしろ手落ちがあったら言ってくれ。
まあ、俺も散々心労をかけたし、おあいこだよ。」
「おあいこって言われても、そんな……
今こうやって手配してくれたことに値する何かを、二人に与えていたと思ってはいませんし。
貴方を心配するにしても、オーバーロードを希望したにしても、結局は自分の我儘を押し付けている形になってませんでした?」
「ハハ、ベティ。君の卑下を止める方法はわからないが、俺からすれば十二分に過ぎる、だよ。
あの霜の巨人への痛打と引換の負傷だ、君はもう少し堂々と振舞っていいと思う。特に君を慕う子の前では、ね。」
まあ、重傷の中そう求めるのも酷ではあるな。暗くなり勝ちなベティを慰めるつもりか、呵呵と笑って付け足した。
一方ベティは、ジルの存在を無視した会話を繰り広げたことを省みたものの、男の言葉で忘れかけていたものを二つ思い出した。
そうか、もっと胸を張って良かったんだな。少しだけ頬に紅が差した。
そして、もう一つ。
「そ、それだ!メフィルクライア!メフィルクライアはやられたんですよね?」
「霧の消失から判断するに、機能停止……と看做しているが。ジル、君は終いまで粘っていたな?」
「あ、はい……。メフィルクライアの、その……断末魔のようなものも、聞こえました。
それでその後に、残っていた霧も全部晴れていって――」
「あ……そうですよ、霧が無くなってるじゃないですか!」
そうだった。二人の来訪以来衝撃を受けてばかりであったため、つい問題を先送りにしてしまっていた。
「残像領域から霧が無くなるなんて、一体どうしたんですか!?
いやそれより、陽が射していることに何とも思わないのですか!?」
狼狽にいくらか息荒く声を上げた。その目は主にリーに向けられている。
むべなるかな、急上昇した気温に対し酷く重苦しい印象を与えるインバネスコート姿は実に暑苦しかった。
「この天変地異。理屈はわからんよ。一つだけわかっているのは、何が起こるかわからんということだけだ。」
偉そうに口にしながら、身を乗り出したベティの傍まで歩み寄り……その耳元へと口を寄せ、擦れた声で耳打ちする。
「(言葉通りの意味だ。ジルには俺がついていくから、少しばかりは安心してくれ。君も危険が迫ったら呼んでくれ)」
死角で、ナースコールのようなものを渡してきた。
受け取り、無言で頷く。普通に話せばいいだろ、と内心では動揺していたが、リーに向けた顔は口角がかなり上がっていた。
「で、当座の端末。不便だろうし音声操作対応の物だ。俺とジルにそれぞれ必要なものをよろしくな。」
薄くはにかみながら、さも本命のようにサイドテーブルに端末を置いた。
また来るよ、と身を離せば、話は終りとばかりにもうドアに向けて歩き始めている。
「急に気温が上がって汗もかきやすくなるし、ジルも体調を崩さないようにね」
「はい、ありがとうございます。ベティさんも、怪我で体が弱っていますし……お体、大事にしてくださいね」
笑顔で返事をした後、不安そうな顔で右腕に視線を向けた。
二人の間にドアの開く音が割って入った。振り向けば、リーが廊下に鎮座するワゴンと看護士を指で示していた。
††††††
二人が去り、患部の湿潤材を取り替え終えたベティは、一人嫌になるほど明るい窓の外を眺めていた。
いつまでも己の哀れさと惨めさに目を向けている暇などない。
この地に陽が射したように、今こそ前を向き、明るい方向へ歩き出さねばならないのだ。
決意を改めた瞬間、二人から受け取った優しさが胸を揺り動かす。無意識のうちに、涙が頬を伝っていた。
「あ、ジル、今大丈夫かい?ベティが目を覚ましたそうだ。」
床に直接座り込み端末を弄っていたリーが、突然顔を上げた。
「ほ、本当ですか?!大丈夫です、すぐ行きましょう!」
ジルの反応も早かった。すぐに腰を上げ、上着を着込む。
「OK.可能な限り急いで行くのと、歩いて行くの。どちらがいい?」
「急ぎます!」
「わかった」
並んで外へ出た次の瞬間。
ジルが自身に行ったバイオ技術との融合。それが齎した反射神経の強化が、自分に何が起きたかを教えていた。
両足が揃った瞬間を膝裏から刈られた。必然反転し落ち行く上半身が支えられた。黒いバイザーと白髪頭が真顔で覗き込んでいる。
つまり。抱きかかえられている。
「…………え?」
「全速力で行く。君が大丈夫というなら、耐えてみせろ」
リーの容赦の無い耐久試験が始まった。
勿論、彼が想定していたものとは異なる部位への負荷試験となったのは言うまでも無い。
††††††
覚醒したベティの病室に、退室した担当医と入れ替わるように、ノックの音が2回。
未だはっきりしない頭でどうぞ、と言うと、最早見慣れたものになりつつある白髪頭の黒尽くめと薄赤色の少女が乗り込んできた。
「お、お邪魔します……」
「お疲れさま、ベティ。見舞いの品も無くて悪いが。加減はどうかな?」
「ジ、ジル?えっ、リーさん?!」
頭に疑問符だけが浮かぶ、驚愕も無理は無かった。まだベティが覚醒してから幾許も無い。
「驚かせて悪いね。いや、後は何とかするって言った手前、何か面倒があったらまずいと思って。
熱心な看護士に頼んで、目を覚ましたら教えてもらえるようにしてもらった。」
「え、えっと……つまり、リーさんが病院まで運んでくれたんですか……?」
「救急隊より早いしね」
なんでもないことのように口にした。
もしやまた抱えられて運ばれたのかとベティが考えると、喉が詰まるような感覚に襲われた。
「だ、大丈夫なんでしょうか……?リーさんから聞いて、心配で……」
「いや、命に別状はないよ。頭と背中を強く撃って、右指と右手首がまともに動かせないだけだって」
ジルの問いかけになるべく心配事を増やさぬよう、苦痛を誤魔化すように笑って答えた。
奇しくもそれは、ジルがベティに送った通信と似たような構図になっていた……のだが。
「大筋その通りだろうが、もう少し詳しく聞かせてもらっても?
ちなみに、操縦棺を外から開けて、応急処置してここまで運んだのは俺だよ。」
その努力をあざ笑うように斬って落とされた。リーなりの(全く傍迷惑な)温情の発揮だった。
ベティが見せた気丈さが後になって嘘偽りの謗りを受ける事態に、この男にさえ厳然と存在する恥の意識が強烈に反発していた。
「……空元気を出しても無駄か。
自分でも信じられない話ですが、電磁アックスに供給されるはずのエネルギーの一部が、操縦桿を通じて右腕に流れ込んだらしいんです。
それで、筋肉がやられて……今は自力で食事をするのも不可能だろう、って。
ですが担当医は容態が快方に向かい次第、リハビリを行い元通りの指の動きを取り戻すと約束をしてくれました」
だから今を乗り越えれば、きっと大丈夫。そう付け加えて、二人を気遣うかのようにはにかんでみせた。
それでも、実際の齎す刺激を緩和するには至らなかったらしい。ジルの顔には強い狼狽が影を差していた。
言葉を見つけられずにいるジルに、ベティの困ったような目線がリーへと流れた。
まあ、そうなるよな。気分を変える必要があった。リーは一つの解決策を見つけ出していた。
「当分は面倒だらけだな。必要なものは手配するよ。立ち入って良ければ、部屋に置いてる物も。」
「そこは素直に甘えさせてもらいますけど……
へ、部屋に入るまではいいですって!他の友人に頼みますから!」
私物を取りに行かれるとなると女性にしかわからない諸問題が直面する。
まさかリーにそれらの知識が十全にあるとは思えず、それで無くとも異性に家主不在の自室に入られるのは御免だった。
拒絶の意思を表明すると、ジルにお使いを頼むよう視線だけで訴え、軽く頭を下げた。
「えっと、リーさん……ベティさんの私物に関しては、私が行きますから……他のところをお願いしてもいいですか?」
ベティからの視線を受け、ジルも静かに頷いて答えた。無言の会話が成立していた。
その様子をバイザー越しにちらりと眺めて、リーは己の企みの成功に安堵した。
「そうだな。協力してもらえるなら有難い。俺より余程適任そうだ」
頷き合う女二人に何食わぬ顔でそう応じた。全く悪辣なやり方であった。
††††††
「それとリーさん、ウグイスは今どうなってます?
操縦棺の中からいきなりベッドの上にいて……何かしたかどうか記憶があやふやで……」
「ブライトネイルで回収して、君のガレージを開けさせてもらって安置したが。
大破としか言いようの無い状態だったから、ラモラックに連絡して持っていってもらって検査してもらってるよ。」
さも当然のように、さらりと言ってのけた。勿論、ベティは動揺するほかなかった。
「ウグイスを、ブライトネイルで?本当に運べたんですか?
非常時ですしガレージに持っていったのは気にしませんけど、ラモラックにまで……
私、連絡先教えてませんよね?本当に、本当に、受け入れてもらえました……?」
「代表連絡先くらいは自力で調べられるさ。後は、バウンス&トランプルの製作担当者へ回してもらった。
真っ当な企業人と言葉を交わすのは初めてだったが、信用はしてもらえたみたいだったな。
技術者というのはやはり評価されると率直になりやすいみたいだ。俺も似たようなものだが。」
狼狽するベティに対し、あくまでリーはのんびりとした態度で返した。
「これぐらいは手間でもなんでもない。言葉通りに何とかしただけだ、むしろ手落ちがあったら言ってくれ。
まあ、俺も散々心労をかけたし、おあいこだよ。」
「おあいこって言われても、そんな……
今こうやって手配してくれたことに値する何かを、二人に与えていたと思ってはいませんし。
貴方を心配するにしても、オーバーロードを希望したにしても、結局は自分の我儘を押し付けている形になってませんでした?」
「ハハ、ベティ。君の卑下を止める方法はわからないが、俺からすれば十二分に過ぎる、だよ。
あの霜の巨人への痛打と引換の負傷だ、君はもう少し堂々と振舞っていいと思う。特に君を慕う子の前では、ね。」
まあ、重傷の中そう求めるのも酷ではあるな。暗くなり勝ちなベティを慰めるつもりか、呵呵と笑って付け足した。
一方ベティは、ジルの存在を無視した会話を繰り広げたことを省みたものの、男の言葉で忘れかけていたものを二つ思い出した。
そうか、もっと胸を張って良かったんだな。少しだけ頬に紅が差した。
そして、もう一つ。
「そ、それだ!メフィルクライア!メフィルクライアはやられたんですよね?」
「霧の消失から判断するに、機能停止……と看做しているが。ジル、君は終いまで粘っていたな?」
「あ、はい……。メフィルクライアの、その……断末魔のようなものも、聞こえました。
それでその後に、残っていた霧も全部晴れていって――」
「あ……そうですよ、霧が無くなってるじゃないですか!」
そうだった。二人の来訪以来衝撃を受けてばかりであったため、つい問題を先送りにしてしまっていた。
「残像領域から霧が無くなるなんて、一体どうしたんですか!?
いやそれより、陽が射していることに何とも思わないのですか!?」
狼狽にいくらか息荒く声を上げた。その目は主にリーに向けられている。
むべなるかな、急上昇した気温に対し酷く重苦しい印象を与えるインバネスコート姿は実に暑苦しかった。
「この天変地異。理屈はわからんよ。一つだけわかっているのは、何が起こるかわからんということだけだ。」
偉そうに口にしながら、身を乗り出したベティの傍まで歩み寄り……その耳元へと口を寄せ、擦れた声で耳打ちする。
「(言葉通りの意味だ。ジルには俺がついていくから、少しばかりは安心してくれ。君も危険が迫ったら呼んでくれ)」
死角で、ナースコールのようなものを渡してきた。
受け取り、無言で頷く。普通に話せばいいだろ、と内心では動揺していたが、リーに向けた顔は口角がかなり上がっていた。
「で、当座の端末。不便だろうし音声操作対応の物だ。俺とジルにそれぞれ必要なものをよろしくな。」
薄くはにかみながら、さも本命のようにサイドテーブルに端末を置いた。
また来るよ、と身を離せば、話は終りとばかりにもうドアに向けて歩き始めている。
「急に気温が上がって汗もかきやすくなるし、ジルも体調を崩さないようにね」
「はい、ありがとうございます。ベティさんも、怪我で体が弱っていますし……お体、大事にしてくださいね」
笑顔で返事をした後、不安そうな顔で右腕に視線を向けた。
二人の間にドアの開く音が割って入った。振り向けば、リーが廊下に鎮座するワゴンと看護士を指で示していた。
††††††
二人が去り、患部の湿潤材を取り替え終えたベティは、一人嫌になるほど明るい窓の外を眺めていた。
いつまでも己の哀れさと惨めさに目を向けている暇などない。
この地に陽が射したように、今こそ前を向き、明るい方向へ歩き出さねばならないのだ。
決意を改めた瞬間、二人から受け取った優しさが胸を揺り動かす。無意識のうちに、涙が頬を伝っていた。
ユニオン金庫……1000c
利子配当…………100c
適性の訓練をしました
適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
100c支払い、今回の戦闘において機動力を3%強化した
メッセージ
ENo.107からのメッセージ>>
ENo107の日記後の通信
ENo.574からのメッセージ>>
メッセージを送信しました
>>Eno.667ユニオン >>Eno.517ユニオン >>Eno.101 >>Eno.167 >>Eno.4 >>Eno.517 >>Eno.411 >>Eno.255
ENo107の日記後の通信
カラミティ 「カラミティだ、アイントプフはなかなかに美味しかった、是非ともまた頂きたいものだ それと――貴様には色々と感謝をせねばならない」 |
カラミティ 「貴様の助言のおかげで、我も視野が広くなったように感じる 変な拘りや、時代の一般論に縛られる必要はない 『我がそう思う』のだから、そうなのだろう」 |
カラミティ 「さて、戦局もいよいよ終盤というところだな 敵は強大になりつつある、常軌を逸した性能の敵機が増えている ――下手を踏めば、二度と目が醒めることはない」 |
カラミティ 「我は生き延びる、そうしたうえで、護るべきものはちゃんと護る――そのつもりだ 貴様も、くたばるんじゃないぞ、無茶をするなどもってのほかだからな」 |
ことのはのアリー 「やあ。ことのはのアリーだ。通信回線を開いてくれて感謝する(続きはEno.574の日記本文へ)」 |
メッセージを送信しました
>>Eno.667ユニオン >>Eno.517ユニオン >>Eno.101 >>Eno.167 >>Eno.4 >>Eno.517 >>Eno.411 >>Eno.255
◆戦闘結果
戦闘報酬
戦闘収入 2900
攻撃戦果補正6.5%
支援戦果補正8.16%
防衛戦果補正15%(MAX)
サブクエスト0.09%
合計現金収入3845
--機体破損請求 0
--弾薬費請求 0
--整備控除修正額114
整備請求額 0
ユニオン費 -96
ユニオン利子100
◆反応値が10成長しました
◆整備値が1成長しました
◆適性値が1成長しました
◆経験値が195増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
攻撃戦果補正6.5%
支援戦果補正8.16%
防衛戦果補正15%(MAX)
サブクエスト0.09%
合計現金収入3845
--機体破損請求 0
--弾薬費請求 0
--整備控除修正額114
整備請求額 0
ユニオン費 -96
ユニオン利子100
◆反応値が10成長しました
◆整備値が1成長しました
◆適性値が1成長しました
◆経験値が195増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
リーは照準装置57を入手した!
リーは冷却パイプ57を入手した!
明日の戦場
第24ブロック
夜明けの前、晴れた暁の空に[侵入]
夜明けがやってくる。誰のものとも知らない、朝がやってくる。けれども、ぼくらは信じている。夜が明けたら、ぼくらは目を覚まして、そして――
来週の霧濃度:0%
来週の電磁波:0%
wyeth |
イル・ザ・クラーケン |
ススハラ・マヤゥ |
ベティ・ヴィーナス |
insanely |
永崎 由愛 |
スタニスワフ・クビツァ |
たけし |
カラト |
ソルディード |
オルハ・D・マインド |
オパール・フェアリー&マイタイ・カザド |
Cerasus yedoensis |
ドゥーベ・カイスト |
エルヴィーネ・フォルスター |
ジョット・ノアイ |
L=F |
メル・ログ |
ピクサードル |
猫ノ亡霊 SECOND |
--- | --- | --- | --- | --- |
--- | --- | - vs - | --- | --- |
生命と全ての機動破壊兵器『タイフーン』[電子] |
生命と全ての機動破壊兵器『テンペスト』[粒子] |
生命と全ての機動破壊兵器『テンペスト』[粒子] |
生命と全ての『火焔放射戦車』[火炎] |
生命と全ての機動破壊兵器『タイフーン』[電子] |
生命と全ての機動破壊兵器『タイフーン』[電子] |
生命と全ての自走砲『イーグル』[粒子] |
生命と全ての『火焔放射戦車』[火炎] |
生命と全ての装甲DR『と金』[電子] |
生命と全ての機動破壊兵器『タイフーン』[電子] |
生命と全ての機動破壊兵器『タイフーン』[電子] |
生命と全ての自走砲『イーグル』[粒子] |
生命と全ての『火焔放射戦車』[火炎] |
生命と全ての自走砲『イーグル』[粒子] |
生命と全ての装甲DR『と金』[電子] |
生命と全ての機動破壊兵器『テンペスト』[粒子] |
キャラデータ
名前
insanely
愛称
リー
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ハイドライダー インセイリー insanely. 今日ではリー・インを名乗る。 細身。年齢不詳。やや丸くなりこそしたものの、楽観的、刹那的。 稚気を孕みながらも薄く冷えた笑い。 後天性四肢欠損。椎弓のひとつを脊髄直結端子に置換しており、ハイドラ技術を流用した義肢を備える。 人体と機械の疎通、漸近を強く念じたその技術者達は既に喪われ、今では彼と彼の専用ハイドラ、そして一人の女性にのみその原型を伝えている。 ミストアヴェンジャーⅡ襲来事件と前後して、その技術は意図的に巷間へと流され、やがて少しずつ新たな技術の流れに組み込まれていった………はずだった。 「…ああ、もちろん損はさせないよ。お互い、いい感じにならないかい?」 ハイドラ ブライトネイル BrightNail. この度インセイリーが駆ることになった試作品。どことなく野生的なフォルムの人型ハイドラ。 費用面、運用面から脊髄直結操縦用の機材はスペースこそ設けられているもののオプションとなっており、現在はオミットされている。 デチューンこそされているものの、複層装甲、それを生かした広い可動域、良好なサステンションは攻防両面において高い水準を満たしている。 特徴的な両腕側面を覆う可動式のツインクローと頭部の形状は、前傾姿勢を取るとどことなく袖付きの猫。にゃーん。 アンリーシュドファイア UNLEASHEDFIRE. 全身の中間装甲と置換されたマルチプルブースター及び、肩部・背面ハードポイントに増設された外装エンジン・ブースターユニットにより構成される、限界機動カスタムプラン。 量産、戦略的運用を前提に設計されたブライトネイルの性格とは真っ向から反する、劣悪過ぎる燃費と整備コスト、脆過ぎる装甲、高過ぎる操縦難度。各ブースターはオーバーロードにより櫛の歯が抜けるように損壊し、異常燃焼を起こしたエンジンが一度の交戦で焼け落ちる。 ナンセンスそのものだった筈のカスタマイズだが、設計者はライダーの希望通り構築し、その図面を託して送り出した。 斯くして実戦に投入されたそれは、機体を構成する全てのパーツが定格を大幅に上回る性能を出力、単機で戦況を一変させる打撃力を発揮した。 崩壊寸前のまま飛び回る、貯水量を明らかに超えた大量の霧を吐き出す等数々の異常事象は、技術的説明をつけられないまま一種の霊障として記録されている。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
__0__1__2__3__4__5__6__7 __8__9_10_11_12_13_14_15 _16_17_18_19_20_21_22_23 |
機体データ |
|
|
1 | FCSA | コロッセオおやっさん [52/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
---|---|---|---|
2 | 軽逆関節A | BN-BEYONDtheNOONTIDE [50/高圧霊障/高圧霊障] 機動[1032] 跳躍[504] AP[553] 旋回速度[2018] 防御属性[粒子] 防御値[283] 貯水量[138] 積載量[2100] 消費EN[270] 金額[1377] 重量[800] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
3 | 術導肢A | 反証/disproof [52/高圧霊障/高圧霊障]《装備:4》 | ▼詳細 |
4 | 術導肢A | 反証/disproof [52/高圧霊障/高圧霊障]《装備:7》 | ▼詳細 |
5 | レーダーB | 冥界への扉『HADES』 [49/高圧霊障/高圧霊障]《装備:6》 | ▼詳細 |
6 | 飛行ユニットA | BN-BEYONDtheNOONTIDE [53/高圧霊障/高圧霊障]《装備:2》 | ▼詳細 |
7 | 軽ブースターA | BN-LASTRESORT [56/幻想噴霧/幻想噴霧] | ▼詳細 |
8 | エンジンB | BN-EXILE [51/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
9 | FCSA | コロッセオおやっさん [52/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
10 | 重ブースターA | 大型ブースター『アノトガスター』 [54/---/---]《装備:10》 | ▼詳細 |
11 | 操縦棺B | 少女の指先 [49/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
12 | 軽逆関節A | 屹立 [50/高圧霊障/高圧霊障] 機動[1032] 跳躍[504] AP[553] 旋回速度[2018] 防御属性[粒子] 防御値[283] 貯水量[138] 積載量[2100] 消費EN[270] 金額[1377] 重量[800] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
13 | エンジンA | ミリアサービス式発動機『マントファスマ』 [47/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
14 | 領域瞬間霊送箱A | LASTRESORT [53/重保証/重保証] | ▼詳細 |
15 | FCSA | コロッセオおやっさん [52/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
16 | 重ブースターA | MR-E.M.A.R [55/高圧霊障/高圧霊障]《装備:8》 | ▼詳細 |
17 | 重ブースターA | MR-E.M.A.R [55/高圧霊障/高圧霊障]《装備:3》 | ▼詳細 |
18 | 重ブースターA | MR-E.M.A.R [55/高圧霊障/高圧霊障]《装備:5》 | ▼詳細 |
19 | 素材 | 照準装置57 [57/精度/---] 特殊B[820] [素材] |
▼詳細 |
20 | 操縦棺B | マッハコフィン [54/重保証/重保証]《装備:1》 | ▼詳細 |
21 | 重ブースターA | Ticket_to_heaven [51/---/---] | ▼詳細 |
22 | 噴霧機A | 増幅術式《ミストヴァンジェンス》 [49/耐粒/高圧霊障] | ▼詳細 |
23 | 重ブースターA | 漆黒火蜂 [55/薄装甲/薄装甲]《装備:11》 | ▼詳細 |
24 | 重ブースターA | MR-E.M.A.R [55/高圧霊障/高圧霊障]《装備:9》 | ▼詳細 |
25 | 重ブースターA | トランスファー [53/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
26 | 重ブースターA | トランスファー [53/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
27 | 領域瞬間霊送箱A | Cold-Winter [55/耐粒/重霊障] | ▼詳細 |
28 | エンジンB | ナタリエルの『金釘』 [51/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
29 | 重ブースターA | トランスファー [53/高圧霊障/高圧霊障] | ▼詳細 |
30 | 素材 | 冷却パイプ57 [57/薄装貯水/---] 特殊B[820] [素材] |
▼詳細 |