ENo.0268　ゴートリンデン

目を覚ますとそこは自分の生きてきた世界ではなかった。
『記憶は移植しておきました』
そう言われた通り、俺の頭の中には俺の知らない記憶領域が出来ていた。
いつでもそこからその知らない記憶が取り出せる。
おかしな気分だ。

あの遠い夜、病室に現れた犬の気配は確かに本物だった。

そこから先はAIとやらの記憶だろう。
俺の愛犬ゴートリンデンがその記憶に姿を現すことはなかった。
だが、ゴートリンデンがそばに居た、という記憶だけは。
少年の気のふれたような眼差しと共に残っている。

犬は病室から絶望的な俺を連れ出しどうにかしてここまで生かし続けたのだろう。
ハイドラに乗りながら。

ここで知り合った僚機、金儲けが好きという髪の長い少女、光に消えていった賑やかな少女、戦場ですれ違った『ハイドラ』乗り達。



これ自体まだ夢なのでは？
そう、思えども。


………。

どこからか迷い込んできた雑種の犬。

遊んでほしそうにこちらをじっと見つめる犬。

筋トレをしていると腹に乗ってくる犬。

くんくん言いながら餌をねだる犬。

じゃれついてきては困らせる犬。



がいる体で。

常に見えない何かと格闘する人生。そこに犬が居てもよい。

決まりは特になし。
各自好きなようにエア犬。
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格闘5：機動力+3％

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