ENo.0667　ラピュリメント＝バーキュラ

とうとう、メルサリアの最終試験がはじまる。
こちらも機体を仕上げなくては………

クロガネさん？ちょっとアドバイスがほしいのだけどもいいかな？
「いいよ！どんなアドバイスがお望みかな？………え？操縦棺の設計に関して？」

もしも、ドゥルガーが逸話の代物なら下手すればハイドラ分隊のほうが壊滅するかもしれない。

もう、誰かを責めたくはないんだ。
もう、誰かに生死の重荷を負わせたくないんだ。
もう、誰かが墜ちるのを見たくないんだ。

「ごめん、一発だけ許してくれないかな？」

「ラピュリメント・バーキュラ！！何を甘えた事を言っているんだ！」
「私だって、もう誰かが死ぬのを見たくない！君のことも含めてだッ！」

………本音を言ってしまえば、まだ彼………ニーユ＝ニヒト・アルプトラとの事が忘れられなくてね。

最後には、自分しかその首を覆えないんだ。
他のパーツはここまで生き残った猛者が設計したもので行こうと思えるんだ。
ただ、操縦棺だけは自分で『造り』たいんだよ。これまでは、瞬間領域離脱装置で無理矢理誤魔化していたけれど

「私の、ロウブリンガーの防御支援が足りないってことなら幾らでも！！！」

そういうことじゃ、なくて。落とし前をつけなくちゃいかなくなったというかだよ
逃げてきた過去と向き合って、今と未来と正面見て生きたくなったんだ

魔女の演劇は終わらせようと思う

一人の『ヘレナ・ヴィーティヒ』として
ひとりの残された者として

ごめんね。ありとあらゆる事が優しい嘘で固められた存在、を演じていたみたいなんだ。

この物質としての私は、本物だけど………
素直に生きるのが『赦される』のなら、この青空の下で胸を張って生きたい。

………贅沢なことを言っているのは自分でもわかってる。

世界を救う礎になるなら、私の我が儘を聞いてくれてもいいじゃないか………
貴女が好きな食べ物は何かな？それを決戦前夜に食べよう？

セッキュ・ベーシュレード倶楽部の跡地であった。

素材やパーツの噂話を収集する趣味の女が居た
あったのは、酒場の一角にテーブルと椅子と酒類とグラス

コロッセオの配当金を巡って欲張りな強盗が頻繁に押し寄せたため、「本人不在、探さないでください」と書かれた紙が一枚はさまれていた。
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その酒場から離れた区域の廃倉庫………をリフォームした所に臨時(といっても整備されている)の部屋

「ここまで来るのは、珍しいね。」
ラピア、部屋の主が来訪者にそう語る

「やー、たいやき食べる？」
とシェフィル(コロッセオの彼)に叱られたラヴィーネが歓迎するだろう