ENo.0123　Rache

【再生開始】

『……信じられないな、ここは一体どうなってんだ』

『俺は、この目で確かに見た 霧で霞んでいたが……アレはあいつの後ろ姿だ。』
『見間違えなんて絶対にしねぇ、記憶力に自信がある。上に買われるほどのな。これしか俺には存在意義がないんだ。……だが、』

『あいつは、……あいつは俺の目の前で死んだんだ。……看取ったんだ、命という灯火が消えた瞬間を俺は確かに見たんだ。』
『死体を抱えて帰るなんて出来なかった。あそこはそれほど危険だった。……どうしても置いていくしかなかったんだ。』
『あいつを殺したアレを許さねぇ、記憶したんだ。いつか絶対に殺すってな。』

『なのに、なんであいつがここにいるんだ！』
『本当は生きていたのか？あれは俺がみた夢だったのか？』
『あの血は、あの温かさは、あの交わした言葉の数々は、あの、視線は……全て、夢だったと？』
『は、──』

『はははは、冗談キツイぜ』

『…………一緒に帰ることは出来なかったが、せめて弔うために、俺は国に帰ろうとして……それで。』

『俺は、どうして……』
『見慣れているはずの死に、』


『いや、もし、あれが本当にあいつだったら、……俺は確かめなくちゃいけねぇ』
『とにかくもう一度探し出す。それで』


『俺は……────…』

【再生終了】

必要最低限の整備が出来そうなドックに、パイプ椅子がふたつあるだけの簡易的な休憩所。