ENo.0292　ディーヴァ

ハイドラの関係者である限り、否応なくその時間は訪れる。
出撃前。
整備士が最終チェックを目を皿にして行い、ライダーが精神統一したり現実逃避したり意気揚々としたりする姿を見せ、オペレーターが彼等や機体を見守る。
十人十色、種種雑多、或いは呉越同舟の様相すら呈しているその時間は、まだらなものだ。
例の彼女･･･ディーヴァもまた、ハイドラライダーの一人である。
そんな彼女はこの時間、あなたへとコンタクトを取ってきた。
或いは、些細な約束があなたとの間にあったのかもしれない。

彼女は特に気負った様子や緊張を見せず、非常にリラックスして見えた。
とにかく集中したい、というタイプでも無いあなたにとって、彼女とのコンタクトはマイナスにはならないだろう。



「失礼します　こちら　ディーヴァ　現在　ウォーハイドラ　『オフィーリア』　から　通信中」



「本日　も　お天気　は　良い　霧　ですね　うふふ」

･･･以前、ユニオン内部で話した事を思い出した。
なんとなく持ち出した話題であったが･･･彼女はそのジョークを気に入ったようである。
少々耳に刺さる音質になっているが、彼女はころころと笑った。
･･･さて



調子はどうか尋ねる
機体について尋ねる
任務について尋ねる
⇒彼女が失った感情について尋ねる
パンツァークリンゲの話をする



あなたは前回の彼女が話していた、彼女自身の事･･･事故で手足を無くした事。そして感情の一部を無くしたことを尋ねようとした。
しかし、その言葉は喉から今は出てこない･･･
雰囲気が悪いのか、覚悟がつかないのか。
笑っている彼女を見て、あなたは言葉をひっこめた。



調子はどうか尋ねる
⇒機体について尋ねる
任務について尋ねる
×彼女が失った感情について尋ねる
パンツァークリンゲの話をする



「オフィーリア　ですね？」

「とても　いい子　ですよ。　人型　なので　手足　そのままの　感覚で　動かせて」

「･･･あ　でも　ブースト　を　どういう　感覚で　使っているか　は　聞かないで　下さいね？　こう　おなかを　ふんって　･･･」



屁かな？と返す
⇒出会いを尋ねる



「懐かしい　です　ね」

「まだ　私が　普通に　歌姫　を　やっていた　時　突然　この子　が　吹き飛んできて」

「何が　あったのか　は　分かりません　が　その時の　ライダーさん　も　亡くなって　しまって」

「こう　賠償　と　言うのでしょうか　ライダー　適性の　あった　私に　譲渡　され　ました」

「･･･　ちゃんと　クリーニング　は　して　もらいました　よ？」



まるで普通の事のように話しているが･･･中身はとんでもなかった。
戦闘か、或いは事故か。それで大きな被害を受け、更に内部で死亡したライダーの代わりにそこに座るというのは･･･。
たまたま、事故にあって。
たまたま、ライダー適性があって。
たまたま、そういった事への悪感情を抱かなくなって。
あまりにも･･･　出来過ぎではないか？

不意に　

ぶつっと

通信が、乱れる。



・・・



それは、ほんの一瞬。
通信の向こうの誰かから。
伺うような。
息遣いが、しただけ。



ディーヴァ？と呼びかける。
⇒誰だ、と誰何する



しかし、それは再度、極めて短く終わる。
ノイズを走らせて、いつもの顔がまた現れる。
ディーヴァだ。



「あら　通信　障害　でしょうか」

「霧か　電磁波か　･･･　今日は　ここら辺に　しましょう　か」

「頑張って　きますね　また　お話　しましょう」

「それでは　これで」



通信の向こう、青い頭がぺこりと下げられ、そして途切れた。

「♪（緩やかなチェロ演奏が流れている）」
（射撃５　素材＋１）

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緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

新しく、ブースター付きのベッド、スプリングがよく効いたベッド、噴霧機能の付いたベッドが置かれている…