ENo.0292　ディーヴァ

雑然。
その二文字がふさわしい場所だった。
ハイドラキャンプ『サルガッソ』の北部…にはまだまだ足を運ばねばならない程の場所。
そこまで行けばむしろ、よくない世界ならではの『ルール』に基づいた、むしろ奇妙なまでの整然さが見られるのだろうが。
ここでは人が多い。多少、財布の収納場所や裏道の位置などに気を付けておけば平和なものだ。


「わあ　…」


車椅子型軽二輪ユニットと、生活用両義手『レイユアハンズオンミー～ﾅﾃﾞﾅﾃﾞｼﾃｰver～』を身に着けた少女と共にあなたは人ごみの中を歩いていた。
目的地はすでに目前。
遊技場…もっと俗な言い方をすれば、ゲーセン。


「ありがとう　ございます　一度　行ってみたかったん　ですよ」

「誘える　人が　いなくて」

「…いえ　その言い方は　失礼ですね　あなたと　行ってみたくて」

「ささ　入って　みましょう」


重量作動型の自動ドアを抜けると、音が洪水となって押し寄せてくる。
装飾、筐体がそれぞれ光を乱反射させる。
液晶の暗い明かりが対照的に静かに利用者とコインを待つ。
こちらに背を向けた人間たちが手からメダルを離し、その結果に一喜一憂する。


「すごい　まるで　海　みたい　です」


そんな感想を漏らしながら、大きく開いた目に光の乱舞を映しながら少女はゆっくりと車輪を進める。
あなたもそれに続く。
さて、どこへ行こう？
やはりゲームセンターと言えば…



対戦ゲームだ
エアホッケーだ
⇒音ゲーだ
ガンシューティングだ
プリクラだ
女児向けアーケードトレーディングカードゲームだ



奥まった所に固まっておいてある音ゲーが数種類。
そのうちの一つの前までやってきた。
クールなネオンが筐体を彩り、挑戦的な目と恰好をしたキャラクターがコインの投入を待っていた。

「わ　かっこいい」

「ふむ　ふむ　上から　流れてくる　棒　に　合わせて　ボタンを　押す」

「これが　簡単な　やつ　ですか？」

「…　行きます」

あなたに誘導されながらゆっくりと両義手を構え、挑む。
1回目のディーヴァ音ゲー機動!!
[命中!!]
[命中!!]
[命中!!]
[直撃!!]
『イントロ』に動体視力で応対し30回中28回命中させた
2回目のディーヴァ音ゲー機動!!
ディーヴァはノーツを発見できなかった
あなたはノーツの位置とコツを直接通信で送った
『サビ』はディーヴァに速射ノーツで挑戦し、50回中37回迎撃された
ディーヴァのコネクト!!音ゲーは微かな音楽!!
3回目のディーヴァ音ゲー機動!!
『アウトロ』に落ち着いた心で応対し、20回中20回命中させた

画面に静けさが戻った…
サビで慌ててしまい、結構なミスを重ねたため評価はBと表示されてしまっている。
やや大きめに少女は息を吐く。


「ふう　む　むずかしい」

「でも　なんていうんでしょうか　とても　こう」

「音楽に　ノる　というのを　感じさせて　くれて　気持ちいい　ですね」


あなたを振り返り、にっこりと笑いかける。
その後ろで、次の曲選択の制限時間がゆっくりと進んでいく…

（ディーヴァ　好感度+5）

その後も、一通りは回っただろうか。
彼女はどのゲームも楽しそうに触れ、挑戦し、迷い、笑った。
そろそろ帰るか、という空気になる。


「…」


その途中、ふと彼女が一点に目を向ける。
そこには入り口に近い所に呼び込みも兼ねて、景品が展示されているクレーンゲームコーナー。
視線を追えば、エビのようなぬいぐるみ…『エウリプテリダぬいぐるみ』を見ているの、だろうか？


「かわいい　ですね」


…さて


⇒クレーンに挑戦する
いや、隣の硬質ダガーTシャツが欲しいのだろう
君の方が可愛いよと口説く
俺の方が可愛いよと対抗する


「あ　…」


少女があなたの行動を悟って声を上げるのにも構わず、ガラス張りのそれに相対する。
硬貨を投入し、いざ…！

あなたの背水許容!!連コ上等!!
アームは旋回してぬいぐるみを狙い撃つ！！
アームは命中させられなかった…
あなたの背水許容!!
ぬいぐるみの最大防御!!
……
…

数枚のコインと引き換えに、そのエビのようなぬいぐるみがついにアームに捕まり、身を出口へとくぐらせた。


「わあ　…！」


歓声が上がる。
あなたはエウリプテリダぬいぐるみを掴み、渡してやる。
彼女は胸の前でそれを抱きかかえる。


「あの　あの」

「ありがとう　ございます　…！」


笑顔の花が、電飾の光に負けない位に咲いた…

（ディーヴァ　好感度+15　70突破　『？？？』解放）

「♪（ローテンポで作業に向いた曲が流れている）」
（射撃５　素材＋１）

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緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

新しく、ブースター付きのベッド、スプリングがよく効いたベッド、噴霧機能の付いたベッドが置かれている…