ENo.0292　ディーヴァ

重たい空の下で静かな儀式は進む。
死者を悼む、生者のための儀式。

見知った相手は勿論、縁もゆかりも無い者であっても無下にはし辛い。

俯いた人。
眉を顰める人。
ただ無表情な人。
遠巻きに目線だけやる人。
関係ないとばかりに黙って通り過ぎる人。
苛立たし気に脚を踏み鳴らす人。
祈りをささげる人。

あなたもそんな中にいた。

戦場に出るのだ。死ぬことだって当然ある。
安全マージンを取りやすい…とはいえ、それも個人によって差は大きいものだ。
今や残像の向こう、故人となった彼・彼女らが何を抱えていったのか。

簡易な祈りが年老いた聖職者により捧げられる。
人種・宗教のサラダボウルのこの場所では、差しさわりのない程度にまで圧縮される。

儀式は終わりに向かう。

そして、一人。
見慣れた少女が、顔を黒のベールで隠して現れた。

ディーヴァだ。あなたは彼女に気付いた。

周囲に少年少女――同じく顔を覆われている――が並ぶ。

葬送歌の合唱団だろう。

逝くものと、生きていくもの、共に向けられた歌が流れだす。

あなたはふと、ディーヴァと目が合った。
魂の安らぎを願う歌は小さなうねりとなって周囲に満ちている。

彼女の目はあなたを捉える。
普段は茫洋としているその眼光が今は不気味にも、神聖にも見える不思議な光を湛えて、

静かに、あなたを見ていた。


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またあした

それがなくなっただけ

また会おう

それはいずれ叶うから

それまでどうか安らかに

「♪（ケチャが流れている　誰の仕業だろう）」
（射撃５　素材＋１）

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緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

新しく、ブースター付きのベッド、スプリングがよく効いたベッド、噴霧機能の付いたベッドが置かれている…