ENo.0325　"Black Star"

【7週目】

　ロケット。その単語をニュースで聞いた時、わずかに脳裏で煌く影が映った。もちろん我々が毎日おもちゃのように使っているロケットではない。一つのビルのような、大気圏を超えるような大きなロケットだ。それは時に宇宙に行き、時に敵の都市へ行く。どちらも輝かしい景色をテレビを中継して伝えてくれたものだった。だが、その報道は残存領域のものではない。ここではそのような戦い方も、そのような科学の発展も乏しいのだ。ではどこで？

　それ以上は思い出せなかった。薬の飲み過ぎかもしれないし、そうでなくても酷い頭痛に参った脳には重労働だったかもしれない。結局一日中ロケットの事ばかり報道するニュース番組を切る。そして鉄錆の味がする完全栄養ドリンクを飲み干すと、ブリーフィングを開く。

　ここ数週間の戦績は控えめに言ってもクソだった。よって現在は第四ブロックまで格下げを食らっている。同じ任務の場合、今までの戦績が近しいもの同士で部隊が編成される。そしてそれは数字が小さいほど戦績が良いということだ（もちろん例外的に上位陣が下のブロックに配属されることもあるが）。このシステムは無情なまでに正しい。使い潰しのきく傭兵、戦力になるランカー同士はお互いにカバーし合って温存させ、戦力になるか怪しい新兵などは損耗しても痛手ではない。また苦戦する戦場は安全な戦場に比べ、『生きて帰れれば』成長の機会をより多く得られる。傭兵の命をベットし、成長をリターンとして得る。俺はカス札にはなりたくない。

　【せっかく二人の上司が繋いだ命なのだから……】

　頭に何かぼんやりとした思考が浮かぶ。だがそれを掴もうとした時、鋭い頭痛がした。ダメなのだ、薬を飲んでも抑えられない痛みが突き刺す。私の過去にたどり着こうとする時だけは、なぜかいつも。ラジオを付ける、テレビと違い無法者の多いこの電波コンテンツは、ロケット以外の話題も運んでくれるだろうと考えた。その時、最近は聞かなかったあのノイズが聞こえ……何かがおかしいことに気付いた。

　ノイズの上から、さらに別のノイズが乗っている。そのノイズはまるで別世界から飛んできたように重なり合っている。そして、声が聞こえてきた。

[こちらГ-1...]

整備ユニオン
ユニオン購入は最序盤のうちは素材+1
その後は基本経験値+1、様子を見てAP+10%

かつて残存領域に存在した兵器研究開発機関らしいが、正式名称は忘れ去られ、その標識も掠れてほとんど読み取れない。そのため、資料に残されたそれっぽい名前が当てられ、トレードマークも掠れたものをそのままコピーして使っている。当時の人員は全て撤退してしまったが、旧基地に残された試作品や資料は未だに多く残っている。少なくともしばらくの間は、ここの遺産が尽きることはないだろう