ENo.0201　水槽の脳髄

「ノウさん、最近調子いいみたいですね」
《そうかな？　まあ戦果も上々、そこらのレーダー機よりはよっぽど稼いでるしな》
「いやいや、そうじゃないです。バイオ融合手術を受けたての頃はずっと言ってたじゃないですか、声が聞こえるって」
《あー、アレ？　わりと慣れてきたんだよ、聞き流せるようになってきたっていうかさ。今でもずっと声はしてんだけど》
「やっぱり時間での慣れが物事を解決するっていうのはあるんですね」
《それに戦場に出れば嫌でも聞くしさ！　まあ俺に戦果を献上してくれるんだから我慢するけど》
「ステルス機による防衛戦果は戦場に一人残されたのでもなければ高くはなりませんが、培養指揮による戦場防衛はその例外ですからね。
　攻撃戦果も、火器もなく霊障用機というわけでもない機体でただ戦うよりは培養槽による活性化を評価対象とした方がずっと効率的に稼げます」
《やっぱり俺あいつらにオンブにダッコじゃん……やっぱ俺が稼ぎてえ……》
「我慢してください、大隊いちバイオ兵器の扱いが上手いライダーということになればそれはそれで注目されますよ。
　現在も、白兎生体化学に最も貢献しているライダーという称号は得ていますからね。
　何で輝くかは問題じゃありません、何かに特化していれば自然と人はこっちを見るんです」
《なんかメチャクチャいいこと言ってるような面してるけど騙されねえからな！！！　俺にさせた火器訓練とか俺に見せた撃墜シーン集ビデオとかは何だったんだよー！！！》

生体脳使用ハイドラ『オーヴァルック』のサポート専門チームの待機所。
『オーヴァルック』帰投時は機体と生体脳の保全を行い、出撃時は戦果査定用の戦闘中継を見ながら手に汗握り、時には野次も飛ばす。