ENo.0390　ピクセラ

【Eno79を先に読むとスムーズ！】

「タッドくんて、死ぬのが怖くないの？」

何を今更そんな質問を、と思われるかな。
別にそれでもいい、ボク自身もそう思ってるしね。

単純に今までは聞く機会も、それをつくる気もなかった。
……正直、タッドくんの事情にそこまで興味なくて。ボクはボクで自分のことをどうにかするのに精一杯だから、人のことにまで首を突っ込んでなんていられなかったというか。

でも、どうにか返済の目処が経ってきて、少しずつ自分以外のことを考える余裕が出てきて。

「キミが何のために身体を張ってるのか、せめてちゃんと教えて。
最初は成り行きで組んだとはいえさ、僚機じゃん。ボクたち」

そう、ボクたちは僚機だ。
そして。悔しいけど。認めたくないけど。
タッドくんは僚機として、ボクにとって替えの聞かない人間になってきていることに、気づいてしまったのだ。
……深い意味はない。ただ、今更タッドくんに死なれたりしたら、次を探すのが手間だからってだけの話。
あとは、戦闘中に庇ってもらった恩もなくはないしね。かわいいボクを守るのは当たり前のことだけど。

えーと、それで、まぁ。
タッドくんが何をしたいのか知って、ボクにできることがあるなら手伝ってやってもいいかな～みたいな？　そういう？
あんまり一人で無茶やらかされて死なれたら困るし？

だから、ボクの方から歩み寄ってやったっていうのに、タッドくんはこっちを見もしないし、すぐ話を打ち切って帰ろうとするし。

挙句の果てには、

……考えさせろって？どゆこと？
ボク、そんなに返事に困るようなこと言ったか？
何を考えてるのか、それを聞かせてほしいって言っただけだよね？

逃げんのか。ふざけんな。戻ってこい。
そんな言葉が頭の中に浮かんだ頃には、タッドくんはとっくに見えなくなっていた。

「……バ～～～～カ！！！！」

禁忌戦争から五年。
世界は霧の呪縛から解放され、新たに黄金の楔を撃たれていた。

持つ者は持たざる者を貪り食い、世界は荒廃していた。
だがーー人々の愛する""正義""は、失われていなかった！！