ENo.0113　ブラック・タグ

　相変わらず操縦棺の中の生活は続く。
　いい加減にファイルを観閲する日々も飽きが来ていた。
　何か気分転換をと彼女に頼むことにした。

「それならば音楽でも流しましょうか、無線での受信放送ですが問題はありません」

　無線での音楽放送、たしかに気分転換には良さそうだ。
　鬱陶しい霧の中でもこの頭に残留する無秩序な気持ちも晴れるかもしれない。

「では、どのような音楽を流しましょうか？」

　どんな音楽……つまりジャンルであろうか。
　だとすれば――

ﾆｱ『ジャズを頼む』
　『クラッシックがいい』

「ジャズを頼む」

「了解です、マスター」

　～♪

　霧の影響か音質は良くなくノイズ混じりではあるが音楽が流れ始める。
　どこだか懐かしいような心地良さが操縦棺の中で響く。
　不思議と片手にグラスを握りたくなるようなそんな気分……。

「お酒は出せませんからね。　厳禁です」

　何故だか心境を言い当てられてしまった。
　そんなにも酒を欲しがっていそうな感じだったのだろうか。
　もしかしたら私は酒好きだったのかもしれない……。

　少しずつだが記憶を取り戻してきているのかもしれない。
　いずれはすべての記憶を取り戻して……きっと。

当機関は残像領域における医療情報機関です。
人工知能による新型医療情報統合システムの技術研究を嘱託されています。
現在進行中の「■■■■■計画」は――

――故ニヨり中断――
――――――からの出資は停止されタタめ規模を大幅に縮小しておリマス。

霧侵食により施設――――棄シマシタ。

――続セヨ――継続セヨ――

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※ユニオン活動は「制御*5」、「素材+1」で固定されます。