ENo.0349　ラキア・パラミダス

自らがハイドラ大隊に組み込まれてから、初の大規模戦闘であるリソスフェア要塞攻略戦。

ラキアは戦場を冷静に分析していた。
その日の霧はとても深く、攻撃側に有利に働くだろう。
味方の侵入ルートを絞れない敵勢力は混乱をきたし、電線やトーチカなどの防衛施設は早々と排除されるハズだ。
耐久力の高い機動兵器にだけ気をつければいい。

はたして彼女の読みは的中した。
機動兵器の粒子ビームを何発か被弾したものの、しっかりと粒子コーティングをして対策しておいた彼女の機体に大した被害はなく、粒子防御を怠った味方機が蒸発するのを横目に、
彼女は縦横無尽に戦場を駆け巡り、十分な戦果を稼ぐことができた。


戦闘後、拠点の自室に戻った彼女の端末に、１通メールが届いていた。
差出人には、ただ”Ｍ”とだけあり、

「目覚ましい活躍をしたようだね、おめでとう！君には期待しているよ。今後も頑張ってくれたまえ！」

と書かれていた。

（なんだこれは？コークスの悪ふざけか？）

フレイド・コークス。
ラキア専属の記者兼バディの男だが、そんなイタズラをするようなタイプには見えなかった。
あの男なら、直接通信で伝えてくるだろう。人を持ち上げておいて、チクリと釘を差すことも忘れない、例のあの口調で。

もっとも、ラキアはそれほどフレイド・コークスのことを知っているわけではないので、実は悪ふざけが好きな男だったりするかもしれない。
大体、記者やライターなんてものは、品性が下劣なものと相場が決まっている、とラキアは偏見に満ちた断定を下す。

そうして、ダストボックスに放り込んで削除をクリックすると、メールの存在自体ラキアはすぐに忘れてしまった。

鉄の騎兵を駆る騎士のためのユニオン。
とある王国が買い占めた土地に建つ巨大な要塞『エクゼター』を本拠地に活動をしている。

ユニオンメンバーになるには、騎士としての十分な名声、もしくは一等以上の位をもった騎士による推薦が必要。
シンボルマークは、青地に銀のガントレット