ENo.0406　ファイブカード

　
輝かしい日だ。



目を覚ましたここは知っている。
『ファイブカード』の操縦棺。愛娘の胎内。
儂が最期を迎えた場所。

そして今、こうして再び身と命を授かっている。ということは。



───産み直してくれたのか、娘よ。






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まず手を付けたのは情報収集だった。

果たしてあれから何年が経っていたのかは及びも付かなかったが。
今の世で役目を果たすには今の世を知らなければならなかった。



この機体は『霧笛の塔』のハイドラ大隊に登録されている。良し。
儂と同じようにこれまで『ファイブカード』を駆っていた残像たちがいた。良し。
戦場の仕事は毎週のように舞い込んでくる。良し。
現在は企業連盟と対立し、残像領域の秘奥に触れようとし、行く先々で『禁忌』と呼ばれるユニークユニットの襲撃を受けている。
……良くない。



何やってんだ……全然良くないぞ……。
もうちょっといつも通りの小競り合いが続いてる世の中じゃなかったのか？

しかし次の仕事の連絡がもう来ている。
企業間の代理戦争。
どうやら『シャドウ』の禁忌と『ルミナス』の禁忌がいる。
『コロッソス』だか言う大物もわんさといる。

ちょっと待ってほしい。
儂は今だいぶ長い眠りから目覚めた（目覚めさせられた）ばっかりで戦場に立つのも久しぶりだし、
それに今の『ファイブカード』の変わり果てたアセンブルをちょっとまだ把握しきれてないし、
HCSもなんかよく分かんない変態アップデートが何重にもかかってるしおなか痛くなってきたし。

これ死ぬんじゃないのか？　もう死んでんだぞこっちは？

かつての乗り手たちの遺したもの。

今は霧の立ち込めるハイドラの開発プラントとしてここに在る。
かのハイドラを生み出した者と、生み出した場とがここに在る。