ENo.0257　アグリオ・ブリッツ

『……で、アタシに連絡してきた訳ね』
「うん、ミス・フラーレス……いや、カレンさん。 貴女なら今回の件に興味を示すと思って」
『ふふ、そうね。 確かにこの世界の戦闘を観測してて、その現象を見て面白いと思った事は確かよ』
「……再起動、か。 誰がどうやって発見したのかは僕には分からないけど、単なる噂だと思ってた事が実際にあるなんて」

『誘われたからには行くんでしょう？』
「うん、その為に色々相談に乗って貰ったから、今の自分に出来る精一杯を尽くすつもり」
『……アグロヴァル、貴方は本当に祖父に似たわね』
「えっ？ じいちゃんに？」
『お人好しで、協力を仰がれれば惜しみなく手を尽くす……クロードと出会った頃を思い出すわ』
「……」

『……ま、与太話は作戦終了後でも良いわね。 それじゃあ、観測用のプログラムをヘッドセットに送っておくわ。 戦闘開始直前に展開して頂戴』
「了解、他に注意点は？」
『……なるべく怪我しないように、かしら。 友人の孫を預かってる訳だしね』
「……なるべく気を付けます」
『まぁ、戦場に放り込まれる家訓ならある程度はしょうがないわ。 動ける程度の怪我で済ませてね』
「動けない程度の怪我ってそれ、外の気温を考えると凍死コースなんだけど……」

『……念の為、上着の防護魔法の水晶、エンチャントしといてね』
「そうする……」

『アタシが出来得る限りのバックアップをするんだもの。 『今後』の働きにも期待してるわよ？』
「勿論。 その為にも僕は貴女の組織に入る事に決めたんだ。
　……この世界から帰って、独り立ちしたその時には。 どこか面白そうな『外の世界』を調査させてよね、カレンさん」
『……御舟みたいに元気でいてくれるなら、どんな世界にだって連れてってあげるわよ。
　だから今はここでの戦闘に集中する事！ 分かったわね？』
「言われなくても。 それじゃあ行ってきます！」

正式名称は『フラーレス(F) ワールド(W) アドベンチャラー(A)』である。
『フラーレス世界旅団』と言う別称もあるが、特にどっちで呼べと言う事はない模様。

とある世界にて、世界間の移動を自由に行う方法を確立させた人物が、
己の探求心・知識欲を満たす為に作りだした個人的秘密組織。

組織加入者は、設立者の部下として様々な世界の調査を命じられる……と言うと堅苦しいが、
特に調査の期日等は存在せず、自由に旅して良い位の緩さである。

定期的、不定期に関わらず専用の端末でデータ送信をすればある程度の収入が約束され、
活動拠点としてどんな世界からでもアクセス可能な部屋を支給される。 ホワイトだね！

余談ではあるが、
『組織名？ 万が一所属を聞かれた時名乗るのに必要だから作っただけで、通称は略称で文字数少ない方にしただけよ』
とは設立者の弁。

今回の戦場では面白そうな事になる気配がした為、組織加入者でなくても可能な限りのバックアップを約束している。