ENo.0021　『鉄喰み』

『鉄喰み』のボディを解体していると、
知り合いに何度も声をかけられた。
あれほど溺愛していた（と見られている）ハイドラを
解体していたらそれはそうか…。
巨大なワーム型ハイドラは、今や巨大な骨格標本型ハイドラになっていた。
…屑鉄退廃地区『ナインドラゴン』のスペースにも限りはあるからね。
企業の信頼を得るためには試供品を活かさなければならないし、
それを置くには『鉄喰み』は大きすぎる。
『鉄喰み』は不満そうに鳴くけれど、
損して得とれ、だとか、そういう言葉を言い聞かせて納得させる。
雌伏の時。

追記…ルルちゃんに頼まれていることは最低限こなしているから大丈夫だとは思うけれど、
今のハイドラを見たら文句を言われてもしょうがないし、
そうなったらまた検討しなきゃならないね。

………？

悪い夢を見ていたようだ。
『鉄喰み』を…彼女をそんな目に合わせるのは、
やっぱり僕としてはお断りだ。

六週目。
エンサイクロペディア・フラグメント。
レーダーによって喪われた技術？の断片にアクセスし、
それを共有する新技術らしい。
別の次元の知識を引っ張ってくるのはいかにも『鉄喰み』らしいと思う。
今回はまた瞬間領域霊送箱を『鉄喰み』に取り付けた。
いまや存在すらも不確かな『鉄喰み』の眼が不気味に光る。
その眼は獲物を捉える捕食者そのものに見える。
まあ、獲物を落とすには些か火力が足りないか…と苦笑した。
ルルちゃんに任せよう。

廃棄された様々なものが集まり、
それを目当てに人々が集まり、
集まるために様々な建物が増えていった地区。
ハイドラパーツの素材になりそうな質の資材も転がっているようだ。







------メタ記述欄------

加入フリー、コンタクトは@BesthubbyJPか

霧戦争discordにて

無論『鉄喰み』にコンタクトをとってもよいです
（性質上即時対応にならない可能性は高いけど）