ENo.0219　アクロ

おいおい見たかよ！　何をって、ほら‥‥エ、エンサイクロペディア・フロッグマン？
まぁいいや、カラテマスターに対抗するために遺跡から盗み出した情報がドンピシャよ！
ハイドラが天高く両手を突き出せば、魔法めいた銀の鱗粉が俺たちの背中を後押しするんだぜ？
あれを奇跡と言わずして何と言うよ！　もー、これは勝ったね。やっぱハイドラは最高だな！！

――――。

契約先のお偉いさんが直々に「お前はモグリだ」と罵ってきた。
予想通り本社の爆発程度じゃ傾きそうもないが、社長代行が雑務を兼ねる程には危ういか。
俺はあの時、確かにシルウェストリスと契約を交わした‥‥と思う。
受け取った書類にも不審な所は見当たらない。わからねぇ‥‥

「フィズ」が残したメールをゴミ箱からひっくり返す。削除を面倒臭がったのが幸いした。
あのいけ好かねぇアマは「フィズという社員は存在しない」と言った。
社員ではない、か。
あるいは、被検体か。
ひとまず遺言に従ってシルウェストリスのご機嫌を取るとしよう。
「猫が立って歩く町‥‥ねぇ？」
フィネデルシェロが本物なら、そこを探しに行くのも面白そうだ。

雑居ビル地下のゲーセンでは、今日もキッズたちが剥きたての角を突き合わせている。