ENo.0068　リュミドラ・カラビネル・レギナルト

【懐かしきは何処に？】

相棒は、自分の子供ができても性格は相変わらずだったようだな。

……。

………………。

なんとなく、アルヴィオという『相棒の子供』の事を調べた。
現ストレガのハイドラライダー。
私が相棒と共に酒を飲み明かした戦争を生きた機体。

……相棒はやはり、育児的な何かに関しては特に考えてはいないような、いやそうあるべきという主張なのかそれとも「路銀は自分で稼いで世界を見よ」なのか。

脳味噌まで半分バイオ兵器に蝕まれた状態でも、まだ思考はできている。

「がんばるぞー」
「あいっぼー」
「あいぼー」

右腕がバタバタと暴れる。バイオ兵器により触手のような、蠢く肉の塊に金属の籠手（ガントレット）を嵌めて腕に見せたソレが。バイオ兵器特有の気の抜けた声と共に踊る、躍る、暴れる。

「私の邪魔をするな、莫迦生物」

まだ生きている左腕を動かし、近くに転がっていた酒瓶で右腕を思いっきり肉叩きを振るうが如く暴力をあてつける。

「しんだー」

動かなくなる。

「考え事してる時は静かにしていろと、私は言っているんだ。共生状態で脳味噌半分食わせてやってもこれか」

「いきているんだー」

「最悪だ」

右腕の感覚が戻ってくる。ぐちゃぐちゃに痛い。

「————だァ、ンだこれよォ痛ってえ！！！！」

自分で殴ったのだからそりゃそうなのだが。
話を戻す。

相棒はそうして、アルヴィオをこの土地に旅行させたとは思えない。
アルヴィオ自身が、母である相棒の事を知りたいと飛び出し、そうしてここに辿り着いただけだ。
ならば、私ができるのは、ここで相棒が成しえた事を相棒の事を「母親の事を」知りたい子へ話す語り部である。

……時間は、決して長くはない。
だが、コロッセオで戦っている間にも話してやるぐらいはできるだろう。

……なあ、相棒。
またお前と一緒にいる夢を見させてくれよ。
お前の子供がどれだけお前にそっくりか、
この私に見せておくれよ。
竜魔族の私に、な。




【メモ】
・ピクセラにカフェの正式名を伝える。
　先に話したメッセージでは間違えた名前を発していた。
⇒酒で呂律が若干怪しかった事にしておく。
　⇒が、ちゃんと伝える。路銀に困る奴は、
　　いつ見ても面白いものだからな。

・そろそろカフェでボロ布はやめておくか？
　⇒客と店長に店員が正気度をちゃんと
　　保ってられるならやめる。
　　⇒そうでなくてもえびっこが驚くので、
　　　ちょっと考え物であるが。
　　　⇒そろそろちゃんと喋ってもいいだろう。
　　　　　筆談は腕が疲れる。酒が飲めない。

Cafe ＆ Maintenance Mer-Millia

巨大樹木の中から、機械の大百足を探せば良い。
その樹の足元に、腕のいい整備士――あるいは料理人のいる店があるのだ。

カフェ＆メンテナンス『メル・ミリア』は、今日も密やかに営業を続けている。
禁忌戦争を生き抜き、霧とともに消えたとされたハイドラ大隊から戻ってきたと噂されている店主は、もはや多くを語らない。ただ、樹木に絡みつくように“眠っている”機械の大百足は、その時の店主のウォーハイドラだとされる。
時々たまに、思い出したように起き上がって、生きているかのように周りを歩き回るのだという。だから、この辺の木の根は金属の多脚にずたずたにされてしまって、あまり真っ当には育たないんだそうだ。店主はそう言って笑っていた。

今日のおすすめは、禁忌戦争で破壊されたと言われる要塞のひとつを模した店主手作りのケーキ。

！店および店主（ENo.7サブ）の既知可　4期既知（ENo.4）も可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/decoherence/union.html

（整備極ユニオンです。購入はユニオン主の独断。）