ENo.0292　ディーヴァ

「チェックメイト　です」



ぱちり、と駒が盤に置かれる。
あなたの『王』は金、金、桂馬、竜、馬、銀、･･･何をどうしたらこんな四面楚歌どころか8面全てが囲まれる羽目になるのだろうか。
この王はどこまでも愚物で、部下の動かし方も身の振り方も知らなかったのだろうか。
或いは･･･



⇒ルールを知らないからと直感でコマを動かせるようにハンデ入れたのは間違いだったと苦笑する。

そう。香よりも貫通力のある変異体の銀が突如として陣地を荒らし、攻められればその名の通り玉は自由自在に跳ねまわり、飛車は敵の駒の上空をすり抜け、金は隣接した敵の駒を買収に掛かった。

ここはユニオン『ジャンクヤード・ノイエ』における、ディーヴァの部屋。
部屋の隅に掘り出し物らしき『将棋』というボードゲームを見つけたあなたは、先の条件でディーヴァと遊んでいた。
そう、あくまで遊びであり、真面目ぶった対局ではない。
ある種、タワーディフェンスというか、発想力のトレーニングというか、何にせよ馬鹿馬鹿しくも楽しいひと時を過ごしていた。



「本来は　時計を　真ん中に　置いて　お互い　べちべち　叩きながら　やる　らしいですね」

「不思議な　文化　です。　柱時計　でも　いいんでしょう　か」



膝の上に乗せたエウリプテリダぬいぐるみを彼女の義手が撫でる。
あなたは素敵な文化のすれ違いを敢えてなのか、無知からなのかスルーし、駒と盤を片付けた。
そのままぐるりと周囲を見回す。
何かあるだろうか･･･



冷蔵庫の中身を覗く
⇒家具を見てみる
暇つぶしの道具を探す
パンツァークリンゲの姿を探し求める



気にはなっていたのだが、家具、というには物々しいモノばかりが並べられていた。
以前、入浴シーンを覗いてしまう原因となった円筒状の機械。
ミサイルポッドにしか見えないドレッサー。
不要なまでに硬度の高そうな金属と、突起を切りそろえて足にしただけに見える謎部品から流用されたと思しき机。
ベッドも、やや不自然な棺桶状の物であるが･･･これは･･･



⇒ハイドラや機体のジャンクパーツの流用品だと気付く
ディーヴァのセンスが破滅的だと分かる
自分も欲しいと駄々をこねる



「そう　です　よ」

「操縦棺　なんて　それこそ　人が　乗る　パーツ　だから　寝心地も　いいんです」

「それに　どんな　ジャンク　だって　バラせば　何かには　使え　ます」

「完璧な　形は　保っていなくても　ちゃんと　役には　立つんです」



その物言いに、一瞬彼女自身の事を重ねてしまう…が、無意識に言っているのだろう。
特に気負った様子もなくただにこにこと笑っており、あなたは肩透かしの気分を味わった。
ディーヴァがキュルキュルと義足代わりの軽タンクを回してあなたの隣に来る。

「中には　とんでもない　ものも　投棄　されて　いたり」

「何の　事情か　綺麗な　まま　放棄　されている　ものも」

「･･･　ちょっとでも　なんて　単なる　エゴとは　想うのですが」

「あ　次　これで　遊んでみませんか　『人生ゲーム　～生体電池編～』」



不思議な物品たちに見つめられて、二人の時間は穏やかに進んでいく･･･。

「♪（海の波音が流れている）」
（射撃５　素材＋１）

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緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

各自持ち寄ったよくわからない家具が最近増えてきている。生活感↑↑↑