ENo.0052　ギベオン

「………」
「……」
「………」
「(…寝てるぅ?? いびきとか無いの??)」



「(真っ暗…何も見えない……)」
「(何かが体にまとわりついている)」

「(手…手が動かせない? 手が無い?)」
「(何かが体にまとわりついている)」

「(足…足は動かせない? 足がない?)」
「(何かが体にまとわりついている)」

「(口…拘束されてる? たまに口内にモノを流し込まれる)」
「(ナニカガカラダニ)」



「あああぁううぅぅぅうっ!!!!」
「ひあっ!!?」
　間一髪で、鞭のように振るわれた触手を避けた。
砕ける壁から、ひしゃげるパイプ、断ち切られたケーブルが剥き出しだ。
　こんな寝返りをまともに喰らっていたら、頭が吹き飛んでいたかもしれない…
「あわわわ…」
「…ぅん? なんだ、ナナキかよ」
「何してるんですかギベオンさん、もう!!
変な所で寝て変な夢でも見ました?!」
「あー…」
　言われてみれば。此処は人気は無いが外気のよく当たる場所。
薬品の副作用か、たまに猛烈に眠気に襲われるのだが
今回徘徊を楽しんでいる最中にそれが来た。


　いつもの溜まり場に、ハイドラの元に、二人とも黙って戻った。

此処には肉体のアセンブルがおかしい奴がいる