ENo.0065　夜明けの口笛吹き

良い〝モノ〟を見つけてしまった。
その出会いは偶然に過ぎなかった。
私は銃弾やミサイルによる勝利よりも、情報や戦略を駆使しての勝利を好む。
たまたま彼女が索敵に特化していたから。
気に入って話しかけたに過ぎなかった。

実際のところ、私の周りには大駒が揃っている。
私の片腕たるルーク。凄腕パイロットのナイト。索敵屋のビショップ。
どいつもこいつもポーン程度に収めるには惜しい人材だ。

他にも名うてのハイドラ乗りが大勢いる。
そいつらはそれぞれが戦闘のプロだ。
たまにゴミも混じっているが、そういう輩は自然と淘汰されていく。
ここはそういう場所だからな。

明け方、ハイドラ乗りたちが撤収したあとの荒野を私は歩いている。
口笛を吹いている。
悪魔の口笛だ。
死を運ぶものの音色だ。
支配者の歓声だ。

夥しいほどの死体は起き上がる。
起き上がって、身体はぐねぐねに畝って、捩れて、慟哭を上げて、新しい息吹を吐き出した。
ポーンたちの動力は、哀しみと怒りだ、なんて、そんな、チャチなわけがない。

ただ喰らいたい。渇きを満たしたい。その欲望に殉じて死ぬ生きる死ぬだけのののの駒。

私から言わせれば、正者も死者も聖者も使者も皆変わらない。
生きるために殺す。
誰だってそうやって明日を拝んでいるじゃないか。

だから生きとし生けるものすべてがそうしているように、
ポーンたちにも生を謳歌する権利があるはずだ。

あらゆるしがらみを取り払って迎える夜明けはきっと何よりも美しい景色に違いない。
眼球が腐っていようと、感性が喪われていようと関係ない。
ただ本物を享受できるという事実があればそれに優るものなどなく、そこに本人の幸福だの権利だのは一切要らない必要ない。

剥ぎ取ってしまいたい。
あの子のツノを。

Cafe ＆ Maintenance Mer-Millia

巨大樹木の中から、機械の大百足を探せば良い。
その樹の足元に、腕のいい整備士――あるいは料理人のいる店があるのだ。

カフェ＆メンテナンス『メル・ミリア』は、今日も密やかに営業を続けている。
禁忌戦争を生き抜き、霧とともに消えたとされたハイドラ大隊から戻ってきたと噂されている店主は、もはや多くを語らない。ただ、樹木に絡みつくように“眠っている”機械の大百足は、その時の店主のウォーハイドラだとされる。
時々たまに、思い出したように起き上がって、生きているかのように周りを歩き回るのだという。だから、この辺の木の根は金属の多脚にずたずたにされてしまって、あまり真っ当には育たないんだそうだ。店主はそう言って笑っていた。

今日のおすすめは、禁忌戦争で破壊されたと言われる要塞のひとつを模した店主手作りのケーキ。

！店および店主（ENo.7サブ）の既知可　4期既知（ENo.4）も可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/decoherence/union.html

（整備極ユニオンです。購入はユニオン主の独断。）