ENo.0034　アンフィニ&許多

マックルランさんがやってきたと同時に、無関係ながら小さな事件が身の回りでたくさん起こっています。

悪いことは続くといいます。
ですから兄さんも乗り慣れている筏さんで出撃できるとはいえ、
前とは環境も敵装備もかなり違うのだということを念頭に入れて、慎重に動くべきだと思います。
兄さんは北部調査が始まってからは一度も戦闘で残像領域の空を飛んでいません。
マックルランさんの保護も急なことでしたから、訓練をする時間的余裕も全くありませんでした。
装備も付け焼き刃に近く、決して万全とは言えない状態です。
それでも私が兄さんの良き目となって、スミスさんと合流するまで
筏さんの索敵・飛行能力を絶対に維持しなくてはなりません。
頑張ります。

いまスミスさんの件の次に特に気がかりなことは、我が社の契約ライダーであるタジマ・ハルカさんのことです。
先日、タジマさんを2年も探していたというご家族がメッセージをマノ社に送ってこられましたが、
その内容は要約すると
「兄のハルカがマノ社に居るのはわかっています」
「彼はひとりでは生きられない体質をしていますので心配でしたが、2年かかってやっと見つけました」
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「マノ社の皆様には今後とも彼をよろしくお願いいたします、対価なら払います」
……ということでした。
不思議なことに、タジマさんに直接会って声を聞きたいとはおっしゃらないのです。
そしてタジマさんも、通信に出る時に『直接じゃないだけマシだ』と言うのです。

私はお互いに会いたがらない家族を生まれて初めて見ました。
家族は離れていると寂しかったり悲しかったりするものだと思っていましたから
（だからこそ、サビラ義姉さんは私達と一緒に暮らすことになったので）、大きな衝撃を受けました。
まるでタジマさんに『もう元の家には帰ってこなくていい』と言っているようにも聞こえたのです。

でも、タジマさんはそのとき、悲しんでいるようには見えませんでした。

セディオレイスさんはタジマさんを本気で心配していたから、2年も彼を探していたのではないでしょうか。
私には、タジマさんのご家族さんがどうしてそんなことを言うのか、わからないのです。

(Special Thanks：
Eno.81 タジマ・ハルカくん
Eno.84 セディオレイスくん
Eno.136 エマニュエル・スミスの兄貴
　　　　ファレン・マックルラン嬢)

「なんかハッキングみたいなのが来てて……誰か不正アクセスでもしました？あんまり害意なさそうだからいま頑張って対処してるんですけど」

ノイズとエラーメッセージの入り交ざった画面の中の宿禰がウイルス？型の敵と戦っているような映像が流れる（見た目より余裕そうであるが）

「ちょっと～！えびっこちゃん挟まないで～～～～」

画面はバグバグ、端末はえびっこちゃんに挟まれて大変そうである。

「あ、大事そうな話はそっちの小型の端末の方からするので……」

と小型端末の方の「すくねくん」を指さした。