ENo.0096　ルオルカ・マーマレイド

@会議室

『…………悲劇的になりたい奴だけ順番に並んでこい……！』
「……」
「ふぅん……」

会議室に響き渡る、その宣戦布告とも取れる秘密通信。
おそらく標的である未確認機『エイレンスキアナハ』からのものであろうそれに対する反応は様々で、ファレンを気遣う者、暴言に憤る者、気にも留めずあしらう者、逆探知を試みる者、相手を品定めするように観察する者。

「話す度に程度が下がってるんじゃないか？三下みたいだけど」

その中で立ち上がり、端末のカメラを掴んだルオルカに、室内の視線が集まった。

「これ、カメラ入ってるんだっけ？」
「ええ、しっかりばっちりうつってますよ」
「おっけー、カッコよく写して、角度はそのままで……」

画面に写るのは、カメラ目線の、気取ったような不敵な笑み、

「なぁに、一言言ってやるだけさ。今回のパーティのメインディッシュにね」

それは決意も覚悟も混ざらない、どこまでも軽くて、安い挑発。

「丸焼きになる準備は出来たかい？シェフが今から向かうから、羽根でも毟って待っててくれよ！」

ま、戦場を片してからになるけどね、と極めつけのウィンクが飛ぶ前に、一方的に通信は切られていた。

「なんかハッキングみたいなのが来てて……誰か不正アクセスでもしました？あんまり害意なさそうだからいま頑張って対処してるんですけど」

ノイズとエラーメッセージの入り交ざった画面の中の宿禰がウイルス？型の敵と戦っているような映像が流れる（見た目より余裕そうであるが）

「ちょっと～！えびっこちゃん挟まないで～～～～」

画面はバグバグ、端末はえびっこちゃんに挟まれて大変そうである。

「あ、大事そうな話はそっちの小型の端末の方からするので……」

と小型端末の方の「すくねくん」を指さした。