ENo.0005　パアム・ライザ

――――――ただいま留守にしております。メッセージをどうぞ。
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薄装甲の出現を確認しました。

5年前と性質が変化していないかどうか確認するため、入手にかかります。

なお、前回作成した高圧軽量素材はいい武器になりました。工房にデータとか置いておきますので、勝手に持っていってください。
なので、暫く放って置いてください。

可愛い後輩へ。
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「……まただ。」

通信を試みること数度。未だにパアム・ライザとの連絡はつかない。
更に言うならば、留守電メッセージの内容が一定時間ごとに変わっているかのように見えて、実のところ、ローテーションしているだけだと判明した。
何故こんな事をする必要があるのだろうか。

「……今更、逃げたんでしょうか。」

ただ、ここで逃げる理由が見当たらない。私に何も伝えない理由が見当たらない。

定時連絡を買って出た、中の良い後輩――と、いうのが研究所内での私の評価。
しかしその実、敵対国へ残像領域からの資材を優先的に流すように送り込まれたスパイの一人。

普段はかわいい後輩を演じていたが、その実、彼女と私は上下の関係が逆転していて、ある程度はっきりしていたはずだ。

不仲、というほどでは無かったが、腹に一物持っていた私を、警戒していたのは確かだろう。
だけど、実際に、プレディと名付けられた彼女の二足歩行装甲を見て憧れて、それの後継機の開発に携わって興奮して、
彼女との歯に衣着せぬ交流が楽しかったのは確かなのだ。

だから、何も言わずにいなくなったことが、たとえ私が信用できない人間であったとしても、

「嫌だ。」

何も話されないのが嫌だ。何も言わなくなったのが嫌だ。信用されないのが嫌だ。

おそらく、あと一人か二人、私の知らない所でも私のような密偵が動いていることだろう。おそらく私が彼女が逃げたことを報告したら、それらを使って、彼女の母親を人質に取るなどして、脅迫を――

ここまで考えて、ふと思う。

「彼女は――先輩は、帰ってくるはずだ。」

母親を置いてはいけないはず。そして、必ず帰るとも誓ったから、安心させる意味も込めて、定期連絡を行っている筈だ。


どうせ、待つしか無い。今は、ローテーションを組んで流れてくる自動応答を少し自分で編集して、ごまかすしか無いだろう。

「はあ、私もヤキが回りましたね」

少し微笑んで、私は報告用のテキストファイルを書き換えた。

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それは大きな倉庫。―――ただし外部から何か引きちぎられたような跡がそこかしこに見て取れます。

外からひとまずの補修がされており、ハイドラの整備施設などが備え付けられているようです。

また、倉庫の脇には、油臭いパイプベッドが備え付けられたバラックが存在しており、時折、珈琲の香りが漂ってきます。
「……もうちょっと居住性高めましょうか。」



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・射撃特価ユニオンです。

・一応参加自由ですです。