ENo.0176　カヴネル・レビン

その日のオレは、デバステイターを取り囲む邪魔な雑魚を狩って回っていた。
例の輪に対する切り札も用意してある。抜かりはないつもりだった、が…。

「セシィ…？　おい、セシィ！　聞こえてるのか！！」

セシィのやつ。さっきから通信に対する反応が薄い。具合は良くないとニーベの旦那からは聞いていたが…何やってんだ、あいつ！！

例の輪を濃霧領域で迎撃。そのままセシィの援護を試みようとしたが、上手く追いつけない。この切り札のために増やした貯水量が枷となってしまっていたのだ。

活路を見いだせないまま、次の輪が迫る。
幾度目かの濃霧領域の展開を試みるが、相棒からの返答は貯水残量が0になったことを示すアラート音だった。

「クソッ…！！」

ごめんな、相棒。
直撃の寸前、オレは『ライトニング』との精神直結状態を強制遮断。緊急脱出した。

相棒の口から吐き出された直後のオレが見たのは、熱に浮かされたように暴走する、濡れ羽色のハイドラ機体だった。

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「…ッ！　このッ…！」

セシィの見舞いから帰ったオレは、格納庫の壁をひたすら殴り、蹴り、身体をぶつけて回った。
護れなかった。あの時も…あの時だって！！

『黄色い死神』。そう仇名されていた頃のことを、オレは思い出した。

飾り気のない格納庫。その奥には、黄色い機械仕掛けの竜が佇んでいるという。

格納庫はだだっ広く、まだまだ他のハイドラも入れそうだ。
拠点として利用したいなら、ここの所有者に申し出てみるのもいいだろう。

看板には次のように書かれている。

ここを拠点とする者は、以下の恩恵を受けることができる。
・訓練は基本的に制御のみだ。
・購入は主に追加素材、または機動力強化が中心だ。
・ブックメイクは原則行わない。

オーナー：Eno176