ENo.0146　フレースヴェルカ

今日は彼女の日記はなかった。



真面目に知らべるつもりはあったのですね。あの子。
戦場中での学習能力に関しては間違いなく既存のウォーハイドラの機能を上回っているんですけど。
それゆえに、『　　　』の時には悲惨な結果を作りだしてしまったというべきで。
そうならないように、今私が居るんですが。

私たちが雷球領域と呼ばれる破壊武装を使用できるのは、一重にその適正にあります。
ウォーハイドラ自体に適性がなければそれを十分に扱う事が出来ません。
それは何であっても一緒です。

とはいえ。本来ならばその適正は持っていなければいけないのですが。
高い高い代償により、私は扱う事が出来ますが。
代わりに、他のウォーハイドラが本来扱える武装全てへの適性を失いました。
本当に高い代償でした。
そこから長い年月をもって、少しずつ他処理を形成していく事で。
私はその身体を最適化し続けていくことにしたのです。

けれど。
私一人ではどうにもならない位置になってしまいました。
だから、眠っていたあの子を起こすしかなかったのです。

私にできたのは、私にできるのは、その程度。
その程度でしかないのですから。


ただ。
《Flesvelka》。
貴方には言っておかなければいけないことが二つあります。
一つはあまりにも扱いが悪い事。
貴方が扱うそれは、私その物。
それに気づくまでは許しますが、気づいた時貴方はどういう風に振るまいますか。
もう一つは。


貴方は。『　　　　　　　』だという事に気づいた時。どうしますか。

壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが……無い。何処かへ消えてしまったかのようだ。
ある一人の幽霊が、それについて聞かれるとニヤリと笑う。




「どこだと思う？メテルカならわかんじゃねえかな。」