第7週目 Lloydの一週間
◆日記
ウルフィング・スモークとinsanely(リー、レッド、ロイド、史料によって扱いは異なる)の間にどういったやり取りがあったかは後代においても明らかになっていない。しかし、彼等はどこかの段階で接触し、このテロリズムにそれぞれの役割を果たしたと考えられている。前者はスケープゴートとして、後者は実行者として。少なくとも、実行者が彼で無ければ考えられない程の破壊行為が行われた。後々『商材』が残されていたことが判明したが、当時はそれすら発覚しなかった。
ドラゴネットは一夜にして消滅した。
†
「最終確認に入ろう。
ファティマはこの操縦棺から遠隔ハッキング。セキュリティの破壊及び偽装、特に監視カメラのそれを徹底。
5分前の映像を回してもらう。中継用の『ノースポール』は輻輳させているが、問題が発生したら全て捨て置いて逃げろ。
操作が済んだら離れていい。念の為こちらも終わったらジュネリアに着信を入れる、その時は状況問わず離脱しろ」
「……はい」
「足を変える場所も予定通りに。 ……本当にジルさんと二人で?」
「関係性を考えれば君達二人が一番足がつきやすいんだ、我慢してもらう他無い」
白い短髪の鬘に灰色の長髪をすっかり収めたロイドは、闇色のこれまた全身を覆うコートに身を包み、各所を縛り留めながら口にした。郊外の廃工場を彼が改造した場所だった。
二人はそれぞれのやり方で了解を示した。ジュネリアの脇に隠れるように立つファティマは些かどうかと思うほど緊張しているように見受けられたが、少なくとも二人共こちらへ向けてくる視線は熱意に事欠かない。逆に勝手走られるのが怖い程だった(二人の受け持つ内容が極端に自由度に欠けているのはそのためだった)。
「ジルは俺と一緒に接近、裏手で下ろす。外壁の監視カメラを壊すから、確認できたら3分後にステルスで侵入。
駐車場のバスを奪取しておく、VLDを掌握して乗せてくれ。如何にも内部の人員が脱出したように見せかける。
電磁鉄線通りを抜けて、大農園まで出れば十分だ。途中で俺が合流するつもりだが一応覚えておいてくれ。
子供を大勢連れての撤退だ、目立つぞ。屋外では決してフードを外すな」
「了解、任せて」
同じく黒いコートで全身を包んだジルが短く答えた。普段の少女からは想像できない、笑みの無い顔と、声。少なくとも緊張と集中には事欠かない。ロイドはジルの様子から必要なしるしだけを読み取ると、それを必要とさせた屑への憎悪を脇へ押しやった。
「俺はハッキングの成功を確認次第正門から突入。あらゆる障害を排除する。バスの発車を待って時限爆弾を設置し離脱。
設備の物理的破壊段階で記録に残る恐れがある。全員、何があっても絶対に俺と合流しようとするな。
想定される不測の事態は子供達の自発的脱走だが、そこまでは面倒見切れない。放っておいて後は予定通りでいく。
何か意見はあるか?体調に問題は?」
全員が押し黙った。ロイドが小さく頷き、右手をさっと上げた。
状況開始。
†
廃工場を出たロイドとジルは、例の如くロイドがジルを抱えて暗くなりかけた霧雨の中を駆けた(速力もさることながら、ジルの消耗を抑えるためだった)。
「ここだ。今一度確認しよう」
市街の中では珍しい、丘のようになった荒れ地のままの斜面の中程に降り立つと、ジルは頭に叩き込んだ目標を探して目を凝らし、ロイドは懐から青写真を取り出した。
「リー、あれで間違いない?」
「うん、あれがVLD収容所。目標の監視カメラはそれで間違いない」
事前調査の甲斐あって、待機場所はドラゴネット社の陣容を背面から一望できる場所であった。表通りからは逆に社屋が邪魔で死角となっている。
「まずい時は俺の判断で連絡する。無ければ予定通りってことで、いいな?」
「うん。 ……気をつけてね」
「ありがとう」
ロイドはその場を離れた。
†
彼にとっては全く楽な作業であった。
可動式監視カメラが項垂れた(ファティマがハッキングにより制御を奪取した証拠だった)のを確認し、正門から入っていった。警備の誰何に消音銃で気安く応え、警備員室で休憩中の控えにも同様に挨拶を加えておいた。通行人に通報されてはたまらないので表の死体も警備員室に放り込んだ。
フードを下ろし白髪頭と黒いバイザーを露わにした。正面玄関から入った先でも同様だった。受付の死体の脇に嵩張るECMを放り込み、突撃銃を二丁構えて身を翻す。本来無用の長物だが、襲撃者を武装テロ集団と装うには必要な小道具だった。
後は淡々とした作業だった。半キロ四方ほどの敷地内は彼にとってはそう広いものではなかったし、職員の殆どは武装してすらいなかった。予め予定していたとおり、一筆書きで設備を隈なく周りながら銃弾を撒き散らしていった。彼等の殆どはドラゴネットの暗いところと関わりを持たなかったし、関わる者の中にも自身の職務について疑問を抱いている者もいた。しかし彼等の人間性や降伏の仕草は一切無視された。ロイドがその必要を認めなかったからだった。
会議室は攻撃手榴弾で内側から弾け飛んだ。便所は散弾銃で便器と人肉を混淆させた。今夜の残業を呪っていた事務員たちの生は、遠く喧騒が聞こえた次の瞬間唐突に終わりを迎えた。デスクから顔を上げる途中でディスプレイごと頭蓋を銃弾に砕かれていた。地下も含め全てのフロアで同様に殺戮は行使された。社長室には誰もいなかったが、テルミットを放り込んで焼き尽くした。後ろ暗い部分を隠すように構えられた6階建のドラゴネット本社棟は、突入開始から3分で従業員の墓標に変化した。
研究棟は流石に騒ぎを聞きつけた職員が電話機を操作している姿が見受けられた。勿論そのためにECMを用意したため、繋がるのは誰も受話器を取る者のいない本棟とVLDの収容所の他に無い。攻撃が迅速だったため、対応策を練れている様子も無かった。取るものもとりあえず研究棟から脱出してきた白衣の女を直上から狙撃した。頭頂から赤い奔流と豊かな長髪をなびかせながら、糸の切れた操り人形のように顔面から地面に倒れ伏した。脱出を阻止するため、屋上を先に制圧した。ヘリは全てガソリンに火を点けた。研究棟も本棟同様に鏖殺された。規模が小さいため2分で済んだが、状況を考えれば決して十分とは言えなかった。設備は後回しにした。
研究棟の裏口を抜けVLD収容所へと侵攻した。打ち合わせていた監視カメラを銃撃で破壊し、一番大きなバスの尻を軽く持ち上げてガソリン残量が十分であることを確認した。鍵にドロイドを取り付けておいた。後は勝手に鍵を開けて中で暖機させておいてくれる。
所内は全く混乱していた。先走りVLDを逃がそうと収容室に駆け寄った研究員は真っ先に頭蓋を撃ち抜かれた。奥で何人かの職員が半笑いの怯えきった顔で両手を上げていた。笑い返して全員を銃殺した。最後の一人は面倒だった。グレーのインナーに黄色い上着という、ファティマと同じ格好をしたVLDと思しき少女に前に立たせ、その後ろで豚のように縮こまっていたからだった。跳弾で傷つけても困るため、やむを得ず少女を掴み上げて退かし足元の頭蓋を蹴り潰した。加速度がかかりすぎたためか、少女は失神していた。
「こいつ、ここに置いていくよ」
収容室を全て開放し、ぼんやりとしている子供たちの部屋の中に少女を横たえた。一番年齢の高そうな少年が微かに頷いただけだった。自発的な活動は望めそうもない。好都合だった。勝手に逃げ出されるとジルが全員を追いかける羽目になるからだった。
素早く研究棟に引き返し、設備を片端から破壊していった。細かく調べる余裕は無いため、特に大きなものから順番に、堅牢な覆いは道中拾っておいた消防斧で破壊した。露出させた電子回路を破片手榴弾で粉砕した。給電部も予備電源も破壊し、記憶装置は余分に用意したC4と雷管を差し込んでおいた。監視カメラの破壊から丁度3分が経過していた。
†
ジルの手によるVLDの脱出は順調に進捗していた。研究棟の設備が自律思考を妨げていたらしく、ジルが踏み込んだ時には年長と思しき少年が全員を取りまとめ、今にも脱走しようとしているところだった。脱出手段の提案は全く従順に受け容れられた。
「みんな乗ったね?!出発するよ!」
「お願いします」
十分に暖機されたバスは急発進した。鍵の代わりを務めたドロイドが移動経路をそのままナビゲートしているため、迷うことはなかった。通報を受けて現場に急行しつつあった警察機構の車両に見咎められることもなく、そのまま雨脚の強まりつつある市街を滑るように抜けていった。
その様子を見送ったロイドはようやく安堵の溜息をついた。ステルスを纏い直し、裏の斜面を跳んで上空で待機していた飛行船へと取り付いた。乗り込んだ先ではアルメロが寝椅子に寝そべっていた。社長室から盗んでおいた葉巻を箱ごと渡しておいた。
「ホント馬鹿げてるな。お前、もっと真面目にテロリストやった方が儲かるんじゃないか?」
「興味無い。それよりもちゃんと中継しろよ、反故にすればどうなるかは眼下の通りだ。」
ハッ、と嘲笑したきり、アルメロは葉巻を吹かす作業に没頭した。ECMの影響下を脱したため、市街に置いてある自身の端末を遠隔制御し、ジュネリアの端末へとメッセージを送る。
そのまま飛行船を飛び降りた。まだまだのんびりとはできない。非番の職員も皆殺しにする必要があった。少なくとも、ロイドはファティマの要望をそのように解釈していた。悍ましき職業意識の発露だった。
結局、ジルと合流したのは更に十数分後、既に大農園を目前とした地点だった。
(広域メッセージとユニオン説明文に続く)
ドラゴネットは一夜にして消滅した。
†
「最終確認に入ろう。
ファティマはこの操縦棺から遠隔ハッキング。セキュリティの破壊及び偽装、特に監視カメラのそれを徹底。
5分前の映像を回してもらう。中継用の『ノースポール』は輻輳させているが、問題が発生したら全て捨て置いて逃げろ。
操作が済んだら離れていい。念の為こちらも終わったらジュネリアに着信を入れる、その時は状況問わず離脱しろ」
「……はい」
「足を変える場所も予定通りに。 ……本当にジルさんと二人で?」
「関係性を考えれば君達二人が一番足がつきやすいんだ、我慢してもらう他無い」
白い短髪の鬘に灰色の長髪をすっかり収めたロイドは、闇色のこれまた全身を覆うコートに身を包み、各所を縛り留めながら口にした。郊外の廃工場を彼が改造した場所だった。
二人はそれぞれのやり方で了解を示した。ジュネリアの脇に隠れるように立つファティマは些かどうかと思うほど緊張しているように見受けられたが、少なくとも二人共こちらへ向けてくる視線は熱意に事欠かない。逆に勝手走られるのが怖い程だった(二人の受け持つ内容が極端に自由度に欠けているのはそのためだった)。
「ジルは俺と一緒に接近、裏手で下ろす。外壁の監視カメラを壊すから、確認できたら3分後にステルスで侵入。
駐車場のバスを奪取しておく、VLDを掌握して乗せてくれ。如何にも内部の人員が脱出したように見せかける。
電磁鉄線通りを抜けて、大農園まで出れば十分だ。途中で俺が合流するつもりだが一応覚えておいてくれ。
子供を大勢連れての撤退だ、目立つぞ。屋外では決してフードを外すな」
「了解、任せて」
同じく黒いコートで全身を包んだジルが短く答えた。普段の少女からは想像できない、笑みの無い顔と、声。少なくとも緊張と集中には事欠かない。ロイドはジルの様子から必要なしるしだけを読み取ると、それを必要とさせた屑への憎悪を脇へ押しやった。
「俺はハッキングの成功を確認次第正門から突入。あらゆる障害を排除する。バスの発車を待って時限爆弾を設置し離脱。
設備の物理的破壊段階で記録に残る恐れがある。全員、何があっても絶対に俺と合流しようとするな。
想定される不測の事態は子供達の自発的脱走だが、そこまでは面倒見切れない。放っておいて後は予定通りでいく。
何か意見はあるか?体調に問題は?」
全員が押し黙った。ロイドが小さく頷き、右手をさっと上げた。
状況開始。
†
廃工場を出たロイドとジルは、例の如くロイドがジルを抱えて暗くなりかけた霧雨の中を駆けた(速力もさることながら、ジルの消耗を抑えるためだった)。
「ここだ。今一度確認しよう」
市街の中では珍しい、丘のようになった荒れ地のままの斜面の中程に降り立つと、ジルは頭に叩き込んだ目標を探して目を凝らし、ロイドは懐から青写真を取り出した。
「リー、あれで間違いない?」
「うん、あれがVLD収容所。目標の監視カメラはそれで間違いない」
事前調査の甲斐あって、待機場所はドラゴネット社の陣容を背面から一望できる場所であった。表通りからは逆に社屋が邪魔で死角となっている。
「まずい時は俺の判断で連絡する。無ければ予定通りってことで、いいな?」
「うん。 ……気をつけてね」
「ありがとう」
ロイドはその場を離れた。
†
彼にとっては全く楽な作業であった。
可動式監視カメラが項垂れた(ファティマがハッキングにより制御を奪取した証拠だった)のを確認し、正門から入っていった。警備の誰何に消音銃で気安く応え、警備員室で休憩中の控えにも同様に挨拶を加えておいた。通行人に通報されてはたまらないので表の死体も警備員室に放り込んだ。
フードを下ろし白髪頭と黒いバイザーを露わにした。正面玄関から入った先でも同様だった。受付の死体の脇に嵩張るECMを放り込み、突撃銃を二丁構えて身を翻す。本来無用の長物だが、襲撃者を武装テロ集団と装うには必要な小道具だった。
後は淡々とした作業だった。半キロ四方ほどの敷地内は彼にとってはそう広いものではなかったし、職員の殆どは武装してすらいなかった。予め予定していたとおり、一筆書きで設備を隈なく周りながら銃弾を撒き散らしていった。彼等の殆どはドラゴネットの暗いところと関わりを持たなかったし、関わる者の中にも自身の職務について疑問を抱いている者もいた。しかし彼等の人間性や降伏の仕草は一切無視された。ロイドがその必要を認めなかったからだった。
会議室は攻撃手榴弾で内側から弾け飛んだ。便所は散弾銃で便器と人肉を混淆させた。今夜の残業を呪っていた事務員たちの生は、遠く喧騒が聞こえた次の瞬間唐突に終わりを迎えた。デスクから顔を上げる途中でディスプレイごと頭蓋を銃弾に砕かれていた。地下も含め全てのフロアで同様に殺戮は行使された。社長室には誰もいなかったが、テルミットを放り込んで焼き尽くした。後ろ暗い部分を隠すように構えられた6階建のドラゴネット本社棟は、突入開始から3分で従業員の墓標に変化した。
研究棟は流石に騒ぎを聞きつけた職員が電話機を操作している姿が見受けられた。勿論そのためにECMを用意したため、繋がるのは誰も受話器を取る者のいない本棟とVLDの収容所の他に無い。攻撃が迅速だったため、対応策を練れている様子も無かった。取るものもとりあえず研究棟から脱出してきた白衣の女を直上から狙撃した。頭頂から赤い奔流と豊かな長髪をなびかせながら、糸の切れた操り人形のように顔面から地面に倒れ伏した。脱出を阻止するため、屋上を先に制圧した。ヘリは全てガソリンに火を点けた。研究棟も本棟同様に鏖殺された。規模が小さいため2分で済んだが、状況を考えれば決して十分とは言えなかった。設備は後回しにした。
研究棟の裏口を抜けVLD収容所へと侵攻した。打ち合わせていた監視カメラを銃撃で破壊し、一番大きなバスの尻を軽く持ち上げてガソリン残量が十分であることを確認した。鍵にドロイドを取り付けておいた。後は勝手に鍵を開けて中で暖機させておいてくれる。
所内は全く混乱していた。先走りVLDを逃がそうと収容室に駆け寄った研究員は真っ先に頭蓋を撃ち抜かれた。奥で何人かの職員が半笑いの怯えきった顔で両手を上げていた。笑い返して全員を銃殺した。最後の一人は面倒だった。グレーのインナーに黄色い上着という、ファティマと同じ格好をしたVLDと思しき少女に前に立たせ、その後ろで豚のように縮こまっていたからだった。跳弾で傷つけても困るため、やむを得ず少女を掴み上げて退かし足元の頭蓋を蹴り潰した。加速度がかかりすぎたためか、少女は失神していた。
「こいつ、ここに置いていくよ」
収容室を全て開放し、ぼんやりとしている子供たちの部屋の中に少女を横たえた。一番年齢の高そうな少年が微かに頷いただけだった。自発的な活動は望めそうもない。好都合だった。勝手に逃げ出されるとジルが全員を追いかける羽目になるからだった。
素早く研究棟に引き返し、設備を片端から破壊していった。細かく調べる余裕は無いため、特に大きなものから順番に、堅牢な覆いは道中拾っておいた消防斧で破壊した。露出させた電子回路を破片手榴弾で粉砕した。給電部も予備電源も破壊し、記憶装置は余分に用意したC4と雷管を差し込んでおいた。監視カメラの破壊から丁度3分が経過していた。
†
ジルの手によるVLDの脱出は順調に進捗していた。研究棟の設備が自律思考を妨げていたらしく、ジルが踏み込んだ時には年長と思しき少年が全員を取りまとめ、今にも脱走しようとしているところだった。脱出手段の提案は全く従順に受け容れられた。
「みんな乗ったね?!出発するよ!」
「お願いします」
十分に暖機されたバスは急発進した。鍵の代わりを務めたドロイドが移動経路をそのままナビゲートしているため、迷うことはなかった。通報を受けて現場に急行しつつあった警察機構の車両に見咎められることもなく、そのまま雨脚の強まりつつある市街を滑るように抜けていった。
その様子を見送ったロイドはようやく安堵の溜息をついた。ステルスを纏い直し、裏の斜面を跳んで上空で待機していた飛行船へと取り付いた。乗り込んだ先ではアルメロが寝椅子に寝そべっていた。社長室から盗んでおいた葉巻を箱ごと渡しておいた。
「ホント馬鹿げてるな。お前、もっと真面目にテロリストやった方が儲かるんじゃないか?」
「興味無い。それよりもちゃんと中継しろよ、反故にすればどうなるかは眼下の通りだ。」
ハッ、と嘲笑したきり、アルメロは葉巻を吹かす作業に没頭した。ECMの影響下を脱したため、市街に置いてある自身の端末を遠隔制御し、ジュネリアの端末へとメッセージを送る。
そのまま飛行船を飛び降りた。まだまだのんびりとはできない。非番の職員も皆殺しにする必要があった。少なくとも、ロイドはファティマの要望をそのように解釈していた。悍ましき職業意識の発露だった。
結局、ジルと合流したのは更に十数分後、既に大農園を目前とした地点だった。
(広域メッセージとユニオン説明文に続く)
NEWS
本日のニュースです北の遺跡にてセクション・4を攻略したとの知らせが入りました
同時に、北の遺跡が隆起をはじめ、巨人となって立ち上がりました
何が起こっているのか、我々にはまだわかりません
北の遺跡こと、巨人遺跡は、ゆっくりと南に向かって歩き出したというのです
「我々は思い違いをしていました。ドゥルガー素体は遺跡の中にあった、それが前情報でした」
「しかし、実際は、遺跡そのものがドゥルガーの身体だったのです――」
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「おっと、北の遺跡が変形したようだな」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「これも予定調和。北のドゥルガーの目的は、タワーの攻略。それも分かっている」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「ドゥルガーは世界を滅ぼすために捻じ曲げられている。救済に縋りつく人類を、今度こそ抹殺するために」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「君たちには期待している。きっと北のドゥルガーを内部から破壊せしめるだろう」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「だから、遺跡攻略にこだわっていた。あれほどの大部隊、遺跡が変形してからでは送り込むのは不可能だからな」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「えっ……変形?」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「どういうことなの……遺跡は、ドゥルガー素体を守る殻だって……まさか……えっ?」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「貴様ら、何かしたのか……? わからない……えっ……変形?」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「どうして……こんなこと、一つも教えられてない……」 |
◆訓練
適性の訓練をしました適性が65上昇した
ロイドはハイドローロフォンVer‐Kを1071cで購入した!!
ロイドはUNLEASHEDFIREを414cで購入した!!
ロイドはUNLEASHEDFIREを414cで購入した!!
ロイドはUNLEASHEDFIREを414cで購入した!!
ヒルコ教団と契約成功!!
ロイドは試製重精密FCSB-0を0cで購入した!!
ヒルコ教団と契約成功!!
ロイドはwil_Cf-スペクトル-01を0cで購入した!!
ヒルコ教団と契約成功!!
ロイドは試製変形粒子ブレードA-0を0cで購入した!!
ヒルコ教団と契約成功!!
ロイドは〈巡礼者〉を0cで購入した!!
金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
◆作製
作製しようとしたが必要資金が不足したため、無料で頑張って作製しました
作成時補助発動! 加重!! パーツ重量が 60 増加!!
作成時補助発動! 加重!! パーツ重量が 60 増加!!
呪いの人形30と呪いの人形30を素材にしてUNLEASHEDFIRE-Ⅱを作製した!!
◆戦闘システム決定
バーサーク に決定!!
◆アセンブル
脚部2にハイマットフルバーストを装備した
スロット3に複製試作偽肢『アガトラム』Mk.Iを装備した
スロット4にUNLEASHEDFIREを装備した
スロット5にクゥル・ツテクの『自我』を装備した
スロット6にUNLEASHEDFIREを装備した
スロット7にUNLEASHEDFIRE-Ⅱを装備した
スロット8にUNLEASHEDFIREを装備した
スロット9にUNLEASHEDFIREを装備した
スロット10にハイドローロフォンVer‐Kを装備した
スロット11に複製試作偽肢『アガトラム』Mk.Iを装備した
◆僚機設定
ジル・スチュアートとバディを結成した!!
◆意思表示設定
意志設定……生存優先
◆ミッション
ミッション設定……ミッションB
ユニオン活動
毛皮の無い灰狼の活動記録
ジル・スチュアートと多数のVLD……ドラゴネット社の洗脳を受け使役されていた生身の少年少女たち……を乗せたバスは、電磁鉄線通りを抜け市街の外、およそ居住地としては不適切な荒野へと到達していた。それは、ようやくジルが緊張を解き得ることを意味してもいた。
リー(ジルとそのパートナーについて知る者には既知の事実だが、彼女は私的にはロイドのことをこう呼ぶ)が言うには、最も注意深く避けねばならないことは誰かが足取りを追われること、そして事件との関与を”疑われる”ことだった。過去、自身を矢面に立て企業連に害意を示した彼の言葉をジルは疑わなかった。この地点まで見咎められることなく到達できればまず心配いらない、という言葉もそのまま受け取った。
運転はドロイドが代行しているから窮屈なシートに座り続ける必要も無い。軽く伸びをして凝りを解し、高くなっている運転席から身を下ろした。VLD(最早こう呼ぶのも不適切だろう)達が不安そうな目をちらちらと向けていた。皆一様に幼い。中には胎児のように小さく丸まり眠っている子も、その子に膝を与え頭を撫でている子もいた。彼らの不安も解してやる必要があるように思われた。その内の一人が立ち上がり、揺れる車内をジルの方へと歩いてきた。額に宝石のように煌く石が嵌められている。脱出に際し、子供たちを纏め上げ大いに貢献した少年だった。
「ごめんね。何の説明もなく連れ出しちゃって」
「いえ、気にしてはいません。おかげで逃げ遅れずに済みました」
歳の頃はジルとそう離れてはいない。ファティマより上かもしれない。利発さを伺わせる落ち着いた表情に快活な笑みを浮かべていた。
「ぼく達の状況を知って助けてくれた、そう考えてます。やり方はまあ乱暴でしたが」
返答に窮したジルが少年の苦笑から目を逸らした丁度その時、未だ走行中の車両のドアが二度ノックされた。少年の表情に緊張が走ったが、ジルは逆に安堵していた。端末にローカル無線からの着信が届いたからだった。思えばこのやり取りも5年ぶりだったろうか?それは少女にとっては郷愁を覚えるのに十分過ぎる時間であった。
†
乗り込んできた男は既に白髪頭でもバイザーゴーグルでもなく、灰色の長髪と穏やかさの欠片も無い剣呑な眼を露わにしていた。あれほどの破壊行為を行ってきたにも関わらず妙に身奇麗に見える。雨中を身のままで走ってきたためだった。
「遅くなった。目的は達した。ジュネリアには連絡を飛ばした、途中足を伸ばして脱出が完了しているのも確認した。
つまり、残っているのは事後処理だけだ。その点については今暫く努力する必要がある。」
手袋を放り投げ、意味もなくフードの下の顔を両手で擦りながらリーは淡々と口にした。切り替えようとしているんだ、ジルはそう解釈した。男が”他所向き”の態度を取った後、時折そのようにする様をジルは何度か目にしていた。水を滴らせているコートを運転席の脇に掛け、ようやく思い出したようにジルの方へと向き直った。
「とりあえず、君の仕事は一段落だ。お疲れさま、ジル。大いに助かったよ」
「ううん、リ……ロイドもお疲れさま」
そのまま奥の子供達を見やり、最後に少年へと視線を向けた。補助席を引き出し勧めた。
「君には大いに助けられたみたいだ。ありがとう。このまま話を聞いてもらっても?」
「構いません。それに、少なくともぼくはあなたに解放されたと知っています。邪魔をさせられた子を傷つけなかったのも」
「そういう仕事だっただけだ。それに、後から恨む事になるかもしれない。俺は君達のこれからを保証できかねる」
バスが緩やかに減速し始めていた。不意に窓に影が差し、次いで橙色の淡い明かりがぽつぽつと差し込んだ。雨音が止んでいた。
「どこです、ここ」
「君達の新しい仮住まいだ」
†
「……こんな大きな……家?持ってたの?」
「どちらかと言うと車かな?君も初めて見るんだったな。5年半前、ハイドラ大隊に来る時に使ったんだ」
嘗てリーが本拠としていた自走式移動基地《ツチノコ》は、過去の戦火で焼き尽くされた大農園の風景にすっかり溶け込んでいた。バスはドロイドの運転でその収容口に乗り込み緩やかに停止していた。子供達は殆ど眠ってしまっていた。少年が目配せすると、起きていた子達が軽く頷いた。信頼を勝ち得てるらしい。降車するリーにジルと少年が続いた。
降りた先には先客がいた。白い長髪が腰まで届く長身の女と、上から下まで黒尽くめの少年だった。少年の方はジルにも面識があった。
「男の方がカロス、女の方がカラと言う。困ったら言えと言われてたから頼らせてもらった」
「また会ったねおねえちゃん。いつもお買い上げありがとうね。」
無邪気と言うには些か能天気に過ぎる笑顔を浮かべたカロスに対し、カラの方は渋面と言っても通りそうな冷たい微笑であった。余り愛想良く返すのも憚られ、ジルはぎこちない苦笑を返した。
「私まで呼べとは言ってないけど?」
「そこの菓子屋に相談したらあんたを頼れと言われた。正直来なかったらどうしようかと思っていた」
「僕は戦うことしか知らないからね。最近ようやく売り買いが身についたくらいで。」
いい機会だからまた教えてあげるわ、暇だし、と冷たく笑うカラを手で指し示し、リーはジルと少年に顔を向けた。
「正直、君達の扱いは難しい。いくらか職能を身につけた者もいるようだが、いきなり放り出しては無責任が過ぎる。
そこで、当面の衣食住と、人生の先達を用意してみた。食うには困らないし、何か困れば面倒を見てくれる。
市街は遠いが、移動手段は用意してあるから不自由はない。勿論出ていくのも自由だ、送ってもらってもいいだろう」
「……こう言っては何ですが。話がうま過ぎます。あなた全然得しないじゃないですか」
経験故に手放しに喜べず、また他の子供達をここまで連れてきてしまった手前、少年は断りを入れつつも疑念を口にした。ジルにしても、リーが何処かで放り出すとは思わなかった(実際には、リーはファティマに”救いたい”と言われなければVLDは捨て置くか殺すつもりだった)が、ここまでやるとは考えもしなかった。
「そうでもない。前払いでもらってる。今後も継続して払ってもらうことになっている。
額面はともかく、そういう約束だ。その中でお互いの要望を最大限満たす手法がこれだっただけだ」
訝しむ少年に対しリーはにべもなかった。
「俺としては極力、当面の間君達に出ていかれたくない。どういった形で俺達の行動が漏れるかわからない。
だからある意味、これも君達を縛る牢獄のようなものだ。俺はそれをより納得しやすいように努力しているに過ぎない。
それに、実質丸投げである点も事実だ。無論俺に人の面倒を見る能力など無いから、彼等の方が随分ましだろうが」
ジルは苦笑を抑え切れなかった。リーはいつも自分のできる限り、身の丈いっぱいよりも背伸びして人の面倒を見る。よく明後日の方に突っ走っちゃうけど、少なくとも不自由はさせない。彼女には、男の言い様と実際の乖離は実に”彼らしい”ものに思われた。
「後はこまめに様子を見に来るくらいか。俺の並べられる飴はこれが限界だ。
そして納得してもらえなくてもここまで連れてきてしまった。前の方がよかったら精々恨んでくれ」
「ここまでやっておいてそういう言い方する人、初めて見ましたよ。せっかくだし、早速困りごとを聞いて下さい。
ぼく達の他に、外で働かされてた子がいるんですが、その子たちも呼んで構いませんか?ぼくなら呼べるんです」
「その子が納得するならば。必要なら俺が攫ってきてもいい」
そこまで聞いて、少年は破顔した。屈託の無い笑顔だった。リーは笑わなかった。
「それならば、ぼく達はあなたの用意してくれた仮住まいでありがたくのびのびとさせてもらいます」
「感謝されても困る。籠の中にいる限り君達はただ勝手に生かされているに過ぎない。
勿論その外もより大きな牢獄でない保証は無いが」
「ですが、そこに自由意志とわがままの余地があるのは大違いです。
ええ、だからぼく達は感謝したいんです。ありがとうございます。お世話になりますが、どうかよろしくお願いします」
リーは小さく頷いた。戸惑ってるんだな、ジルはそう感じた。
†
結局、残りの元VLDの子供達はカロスが連れてくることになった。額に石を持つ少年が遠隔通信のようなもの(そういった特殊能力があるらしい)で全員を脱走させ、人目につかないところに誘導してくれるため、いちいちどこの工事現場やら屋敷やらに乗り込まずに済む為だった。
ツチノコの操縦室を確保して、リーとジルは漸く人心地ついた。ジルはリーの勧めるまま背の高いシートに腰掛け、淹れたてのハーブティーをありがたくいただいた。
「少し休養が必要だと思う」
別にシートをこちらに向けて腰掛けたリーは、徐にそう口にした。
「俺達みたいな引篭りが態々遺跡を抜けている理由を用意しておきたい。疑いを向けられないように。
それに、他人を頼りまくったから少し疲れた。今俺は君と二人きりでゆっくり過ごしたい。猛烈にそうしたい」
驚きで一寸言葉を失っていた。リーがこれまで見せた中で最も率直な弱音だった。
少し間を置いて、ジルは満面の笑みを浮かべ応えた。彼がここまで甘えてくれたという事実がじわじわと胸に回っていた。
「リーとなら、どこへでも」
喜色に輝くジルに対し、リーは実に頼りない調子だった。自案に自信が無いのだった。
「ありがとう。だが、聞いてから決めて欲しい。もう少し南に温泉というのがあるらしいんだが。
どうだろう?」
リー(ジルとそのパートナーについて知る者には既知の事実だが、彼女は私的にはロイドのことをこう呼ぶ)が言うには、最も注意深く避けねばならないことは誰かが足取りを追われること、そして事件との関与を”疑われる”ことだった。過去、自身を矢面に立て企業連に害意を示した彼の言葉をジルは疑わなかった。この地点まで見咎められることなく到達できればまず心配いらない、という言葉もそのまま受け取った。
運転はドロイドが代行しているから窮屈なシートに座り続ける必要も無い。軽く伸びをして凝りを解し、高くなっている運転席から身を下ろした。VLD(最早こう呼ぶのも不適切だろう)達が不安そうな目をちらちらと向けていた。皆一様に幼い。中には胎児のように小さく丸まり眠っている子も、その子に膝を与え頭を撫でている子もいた。彼らの不安も解してやる必要があるように思われた。その内の一人が立ち上がり、揺れる車内をジルの方へと歩いてきた。額に宝石のように煌く石が嵌められている。脱出に際し、子供たちを纏め上げ大いに貢献した少年だった。
「ごめんね。何の説明もなく連れ出しちゃって」
「いえ、気にしてはいません。おかげで逃げ遅れずに済みました」
歳の頃はジルとそう離れてはいない。ファティマより上かもしれない。利発さを伺わせる落ち着いた表情に快活な笑みを浮かべていた。
「ぼく達の状況を知って助けてくれた、そう考えてます。やり方はまあ乱暴でしたが」
返答に窮したジルが少年の苦笑から目を逸らした丁度その時、未だ走行中の車両のドアが二度ノックされた。少年の表情に緊張が走ったが、ジルは逆に安堵していた。端末にローカル無線からの着信が届いたからだった。思えばこのやり取りも5年ぶりだったろうか?それは少女にとっては郷愁を覚えるのに十分過ぎる時間であった。
†
乗り込んできた男は既に白髪頭でもバイザーゴーグルでもなく、灰色の長髪と穏やかさの欠片も無い剣呑な眼を露わにしていた。あれほどの破壊行為を行ってきたにも関わらず妙に身奇麗に見える。雨中を身のままで走ってきたためだった。
「遅くなった。目的は達した。ジュネリアには連絡を飛ばした、途中足を伸ばして脱出が完了しているのも確認した。
つまり、残っているのは事後処理だけだ。その点については今暫く努力する必要がある。」
手袋を放り投げ、意味もなくフードの下の顔を両手で擦りながらリーは淡々と口にした。切り替えようとしているんだ、ジルはそう解釈した。男が”他所向き”の態度を取った後、時折そのようにする様をジルは何度か目にしていた。水を滴らせているコートを運転席の脇に掛け、ようやく思い出したようにジルの方へと向き直った。
「とりあえず、君の仕事は一段落だ。お疲れさま、ジル。大いに助かったよ」
「ううん、リ……ロイドもお疲れさま」
そのまま奥の子供達を見やり、最後に少年へと視線を向けた。補助席を引き出し勧めた。
「君には大いに助けられたみたいだ。ありがとう。このまま話を聞いてもらっても?」
「構いません。それに、少なくともぼくはあなたに解放されたと知っています。邪魔をさせられた子を傷つけなかったのも」
「そういう仕事だっただけだ。それに、後から恨む事になるかもしれない。俺は君達のこれからを保証できかねる」
バスが緩やかに減速し始めていた。不意に窓に影が差し、次いで橙色の淡い明かりがぽつぽつと差し込んだ。雨音が止んでいた。
「どこです、ここ」
「君達の新しい仮住まいだ」
†
「……こんな大きな……家?持ってたの?」
「どちらかと言うと車かな?君も初めて見るんだったな。5年半前、ハイドラ大隊に来る時に使ったんだ」
嘗てリーが本拠としていた自走式移動基地《ツチノコ》は、過去の戦火で焼き尽くされた大農園の風景にすっかり溶け込んでいた。バスはドロイドの運転でその収容口に乗り込み緩やかに停止していた。子供達は殆ど眠ってしまっていた。少年が目配せすると、起きていた子達が軽く頷いた。信頼を勝ち得てるらしい。降車するリーにジルと少年が続いた。
降りた先には先客がいた。白い長髪が腰まで届く長身の女と、上から下まで黒尽くめの少年だった。少年の方はジルにも面識があった。
「男の方がカロス、女の方がカラと言う。困ったら言えと言われてたから頼らせてもらった」
「また会ったねおねえちゃん。いつもお買い上げありがとうね。」
無邪気と言うには些か能天気に過ぎる笑顔を浮かべたカロスに対し、カラの方は渋面と言っても通りそうな冷たい微笑であった。余り愛想良く返すのも憚られ、ジルはぎこちない苦笑を返した。
「私まで呼べとは言ってないけど?」
「そこの菓子屋に相談したらあんたを頼れと言われた。正直来なかったらどうしようかと思っていた」
「僕は戦うことしか知らないからね。最近ようやく売り買いが身についたくらいで。」
いい機会だからまた教えてあげるわ、暇だし、と冷たく笑うカラを手で指し示し、リーはジルと少年に顔を向けた。
「正直、君達の扱いは難しい。いくらか職能を身につけた者もいるようだが、いきなり放り出しては無責任が過ぎる。
そこで、当面の衣食住と、人生の先達を用意してみた。食うには困らないし、何か困れば面倒を見てくれる。
市街は遠いが、移動手段は用意してあるから不自由はない。勿論出ていくのも自由だ、送ってもらってもいいだろう」
「……こう言っては何ですが。話がうま過ぎます。あなた全然得しないじゃないですか」
経験故に手放しに喜べず、また他の子供達をここまで連れてきてしまった手前、少年は断りを入れつつも疑念を口にした。ジルにしても、リーが何処かで放り出すとは思わなかった(実際には、リーはファティマに”救いたい”と言われなければVLDは捨て置くか殺すつもりだった)が、ここまでやるとは考えもしなかった。
「そうでもない。前払いでもらってる。今後も継続して払ってもらうことになっている。
額面はともかく、そういう約束だ。その中でお互いの要望を最大限満たす手法がこれだっただけだ」
訝しむ少年に対しリーはにべもなかった。
「俺としては極力、当面の間君達に出ていかれたくない。どういった形で俺達の行動が漏れるかわからない。
だからある意味、これも君達を縛る牢獄のようなものだ。俺はそれをより納得しやすいように努力しているに過ぎない。
それに、実質丸投げである点も事実だ。無論俺に人の面倒を見る能力など無いから、彼等の方が随分ましだろうが」
ジルは苦笑を抑え切れなかった。リーはいつも自分のできる限り、身の丈いっぱいよりも背伸びして人の面倒を見る。よく明後日の方に突っ走っちゃうけど、少なくとも不自由はさせない。彼女には、男の言い様と実際の乖離は実に”彼らしい”ものに思われた。
「後はこまめに様子を見に来るくらいか。俺の並べられる飴はこれが限界だ。
そして納得してもらえなくてもここまで連れてきてしまった。前の方がよかったら精々恨んでくれ」
「ここまでやっておいてそういう言い方する人、初めて見ましたよ。せっかくだし、早速困りごとを聞いて下さい。
ぼく達の他に、外で働かされてた子がいるんですが、その子たちも呼んで構いませんか?ぼくなら呼べるんです」
「その子が納得するならば。必要なら俺が攫ってきてもいい」
そこまで聞いて、少年は破顔した。屈託の無い笑顔だった。リーは笑わなかった。
「それならば、ぼく達はあなたの用意してくれた仮住まいでありがたくのびのびとさせてもらいます」
「感謝されても困る。籠の中にいる限り君達はただ勝手に生かされているに過ぎない。
勿論その外もより大きな牢獄でない保証は無いが」
「ですが、そこに自由意志とわがままの余地があるのは大違いです。
ええ、だからぼく達は感謝したいんです。ありがとうございます。お世話になりますが、どうかよろしくお願いします」
リーは小さく頷いた。戸惑ってるんだな、ジルはそう感じた。
†
結局、残りの元VLDの子供達はカロスが連れてくることになった。額に石を持つ少年が遠隔通信のようなもの(そういった特殊能力があるらしい)で全員を脱走させ、人目につかないところに誘導してくれるため、いちいちどこの工事現場やら屋敷やらに乗り込まずに済む為だった。
ツチノコの操縦室を確保して、リーとジルは漸く人心地ついた。ジルはリーの勧めるまま背の高いシートに腰掛け、淹れたてのハーブティーをありがたくいただいた。
「少し休養が必要だと思う」
別にシートをこちらに向けて腰掛けたリーは、徐にそう口にした。
「俺達みたいな引篭りが態々遺跡を抜けている理由を用意しておきたい。疑いを向けられないように。
それに、他人を頼りまくったから少し疲れた。今俺は君と二人きりでゆっくり過ごしたい。猛烈にそうしたい」
驚きで一寸言葉を失っていた。リーがこれまで見せた中で最も率直な弱音だった。
少し間を置いて、ジルは満面の笑みを浮かべ応えた。彼がここまで甘えてくれたという事実がじわじわと胸に回っていた。
「リーとなら、どこへでも」
喜色に輝くジルに対し、リーは実に頼りない調子だった。自案に自信が無いのだった。
「ありがとう。だが、聞いてから決めて欲しい。もう少し南に温泉というのがあるらしいんだが。
どうだろう?」
ユニオン設備……自走式移動基地《ツチノコ》を建設!!
ユニオン設備
┗バニラクッキー
┗ハニートースト
┗カフェ・ラッテ
┗自走式移動基地《ツチノコ》
ユニオン連帯
┗ジル・スチュアート
ユニオン金庫……15998c
利子配当…………1599c
ファティマを対象に配当率を1.01に設定!!
Lloydを対象に配当率を1.01に設定!!
遺跡探査機『ムーンダスト』を対象に配当率を1.01に設定!!
ガブリエラ・ストークスを対象に配当率を1.01に設定!!
ミロク・イツコを対象に配当率を1.01に設定!!
適性の訓練をしました
適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
100c支払い、今回の戦闘においてAPを10%強化した
ENo.42からのメッセージ>>ジル・スチュアート 「[献金しました] 」 |
◆戦闘結果
戦闘報酬
戦闘収入 1600
追加収入 40
攻撃戦果補正20%(MAX)
支援戦果補正7.71%
防衛戦果補正13.1%
撃墜数補正 0.1%
販売数補正 0.5%
設備営業補正0.505%
敵警戒値補正1.014%
追い上げ補正3.1%
合計現金収入2524
--弾薬費請求 0
--整備控除修正額505
整備請求額 0
ユニオン費 -96
手当金 100
パーツ販売数 5個
今回の購入者-->>53 >>405 >>432 >>432 >>432
◆反応値が2成長しました
◆整備値が1成長しました
◆適性値が4成長しました
◆経験値が65増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
追加収入 40
攻撃戦果補正20%(MAX)
支援戦果補正7.71%
防衛戦果補正13.1%
撃墜数補正 0.1%
販売数補正 0.5%
設備営業補正0.505%
敵警戒値補正1.014%
追い上げ補正3.1%
合計現金収入2524
--弾薬費請求 0
--整備控除修正額505
整備請求額 0
ユニオン費 -96
手当金 100
パーツ販売数 5個
今回の購入者-->>53 >>405 >>432 >>432 >>432
◆反応値が2成長しました
◆整備値が1成長しました
◆適性値が4成長しました
◆経験値が65増加しました……
◆素材が組織から支給されました……
ロイドはロボットアーム31を入手した!
ロイドは対魔呪符31を入手した!
明日の戦場
第7ブロック
通路探索[侵入]
通路を進んでくれ。補給路を確保し、敵を撃破し、安全を確保する。通路はいくつも分岐している。索敵を重視してくれ
来週の霧濃度:112%
来週の電磁波:104%
来週の警戒値:521%
ジル・スチュアート |
Lloyd |
Y・橘・リィンドッグ |
NOWHERE. |
ギベオン |
Byakhee |
灰星 |
水無枷 逢理 |
Naito.asbelt |
オペレーター&シルバー |
クラウス・ファン・レーヴェン |
ハルティ・カーデルマン |
鈴風 千鳥 |
鈴風 千歳 |
アンフィニ&許多 |
オルト・イスケー |
鋼の幽鬼 |
ストラドル |
篁&木賊 |
コルヴス・コラクス |
--- | --- | --- | --- | --- |
--- | --- | - vs - | --- | --- |
『電波塔』[霊障] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電波塔』[霊障] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電波塔』[霊障] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
装甲DR『ポーン』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
装甲DR『ポーン』[電子] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電波塔』[霊障] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
装甲DR『ポーン』[電子] |
『電波塔』[霊障] |
装甲DR『ポーン』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
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『電波塔』[霊障] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
装甲DR『ポーン』[電子] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
『戦闘ヘリ』[物理] |
自走砲『イーグル』[粒子] |
『電波塔』[霊障] |
キャラデータ
名前
Lloyd
愛称
ロイド
機体名
未確認機『グレイハウンド』
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ロイド Lloyd. インセイリー、リー・イン、レッド・リーザリー。それらと同一の存在。 セクション2直前の作戦で死亡したはずの彼が何故存在しているのかは当人にもわかっていない。 白い髪は灰色に染まり、最も大きな特徴だった義肢も血と肉の手足に置き換わっていた。 公的には故人であるため、生前の名前は用いず、とりあえず勝手に使われていた呼称をそのまま使っている。 乗機はかつて駆った愛機ブライトネイルに酷似した灰色のWH、グレイハウンド。これも勝手に使われていた呼称。 グレイハウンド GreyHound. シルウェストリス航空本社襲撃と前後する形で目撃例が生じた暗い灰色の未確認機。 『グレイハウンド』『ミストボーン』『ロイド』『アッシュ・ワン』『灰色の悪魔』等、発見から日が浅く、呼称は発見者がつけたもの、企業が当てたコードネーム、過去の伝説的WHをもじったものなどが好き勝手に用いられている。 決まって戦火の中へ駆けて現れては敵味方を選ばず無秩序な破壊を齎しては灰燼を残して去っていく。 レーダー類の反応からも「突如その場に現れた」としか考えられず、またロストする際も同様であるため、未知の残像、霊障、撃墜された者たちの灰から生まれた怨念の具現化、或いは企業の秘密兵器であり戦場に現れるのはそのテストのためなどと囁かれるが、何れも憶測の域を出るものはない。 灰色の装甲が呼吸をするように膨張と収縮を繰り返す。 逆関節上の脚部だが、しばしば腕部を地に突き四足獣の如く跳躍、走行する。 携行火器の類は無く、専ら腕部から爪状のエネルギー兵器を発生させての接近戦を行う。 戦場で目にした者の多くは、唸る、或いは呻くような怖気の走る声を聞いたと口にする。 インセイリー insanely.ミストアヴェンジャーⅡ襲撃以降行方不明。 リー・イン Ly In.禁忌戦争にて死亡。 レッド・リーザリー LedLeathery.セクション2直前に死亡。 ※既知ロール不可。戦争に忙しかった貴方は、これを見るのは初めてなはずです。 ※よく似たものは見たことがあるかもしれません。5年前は特に。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
__0__1__2__3__4__5__6__7 __8__9_10_11_12_13_14_15 _16_17_18_19_20_21_22_23 |
機体データ |
|
|
1 | 素材 | ロボットアーム31 [31/臂力/---] 特殊B[300] [素材] |
▼詳細 |
---|---|---|---|
2 | 素材 | 対魔呪符31 [31/耐霊/---] 特殊B[300] [素材] |
▼詳細 |
3 | --- | --- | --- |
4 | 速射砲A | 速射砲『トールハンマー』 [29/重霊障/重霊障] 火力[707] 発射数[4] 防御属性[電子] 防御値[289] 精度[452] 貯水量[9] 弾数[30] 武器属性[速射] 異常追加[35] 消費EN[5] 金額[414] 弾薬費[12] 重量[266] [物理射撃] *作者* |
▼詳細 |
5 | 軽ブースターA | UNLEASHEDFIRE-Ⅱ [30/重霊障/重霊障]《装備:7》 | ▼詳細 |
6 | --- | --- | --- |
7 | 術導肢B | 複製試作偽肢『アガトラム』Mk.I [28/重霊障/重霊障]《装備:11》 | ▼詳細 |
8 | 中逆関節A | ハイマットフルバースト [26/重霊障/重霊障] 機動[413] 跳躍[206] AP[1237] 旋回速度[825] 防御属性[粒子] 防御値[423] 貯水量[154] 弾数[1] 積載量[2900] 消費EN[105] 金額[1027] 重量[1204] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
9 | 操縦棺E | AberrationAstray [22/---/---] | ▼詳細 |
10 | 中逆関節A | ハイマットフルバースト [26/重霊障/重霊障]《装備:2》 機動[413] 跳躍[206] AP[1237] 旋回速度[825] 防御属性[粒子] 防御値[423] 貯水量[154] 弾数[1] 積載量[2900] 消費EN[105] 金額[1027] 重量[1204] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
11 | --- | --- | --- |
12 | --- | --- | --- |
13 | --- | --- | --- |
14 | 軽ブースターA | UNLEASHEDFIRE [29/重霊障/重霊障]《装備:4》 | ▼詳細 |
15 | 軽ブースターA | 軽ブースターA設計書 [26/耐粒/---] 特殊B[200] [設計書] |
▼詳細 |
16 | 術導肢B | 複製試作偽肢『アガトラム』Mk.I [28/重霊障/重霊障]《装備:3》 | ▼詳細 |
17 | 軽ブースターA | ハイドローロフォンVer‐K [29/噴霧/噴霧]《装備:10》 | ▼詳細 |
18 | 軽ブースターA | UNLEASHEDFIRE [29/重霊障/重霊障]《装備:9》 | ▼詳細 |
19 | 軽ブースターA | UNLEASHEDFIRE [29/重霊障/重霊障]《装備:6》 | ▼詳細 |
20 | エンジンB | クゥル・ツテクの『自我』 [28/重霊障/重霊障]《装備:5》 | ▼詳細 |
21 | 軽ブースターA | UNLEASHEDFIRE [29/重霊障/重霊障]《装備:8》 | ▼詳細 |
22 | --- | --- | --- |
23 | --- | --- | --- |
24 | FCSB | 試製重精密FCSB-0 [29/重精密/耐電] | ▼詳細 |
25 | 術導肢A | zawerzdrr【無繋呪肢体】 [27/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
26 | 操縦棺B | wil_Cf-スペクトル-01 [29/薄装甲/高圧軽量] | ▼詳細 |
27 | 粒子ブレードA | 試製変形粒子ブレードA-0 [29/変形/噴霧] 火力[1732] 連撃数[1] 防御属性[電子] 防御値[683] 精度[101] 貯水量[202] 噴霧量[69] 弾数[9999] 武器属性[漏出] 異常追加[30] 消費EN[414] 金額[414] 重量[70] [粒子格闘] *作者* |
▼詳細 |
28 | 中多脚A | 〈巡礼者〉 [29/重旋回/重旋回] 機動[366] 跳躍[97] AP[2800] 旋回速度[1012] 防御属性[霊障] 防御値[441] 貯水量[364] 弾数[1] 積載量[4200] 消費EN[441] 金額[1071] 重量[1432] [多脚] *作者* |
▼詳細 |
29 | 砲塔B | <W-E> [26/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
30 | エンジンB | クゥル・ツテクの『自我』 [28/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
Lloydのブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16198!!
ファティマのブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16298!!
アンフィニ&許多のブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16398!!
ニシュカ・パーシスタンスのブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16498!!
葉隠忍のブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16598!!