第4週目 Lloydの一週間
◆日記
ロイド……灰色の未確認機がのろのろと頭を向け、こちらを振り向いた。
被弾箇所から血のような液体を滴らせる痛ましい姿に、胸が痛む。
似ている。私が守れなかったあのひとに。
『…………なぁんだ……そこに いたのか
ジル……スチュアート』
心臓がびくりと跳ねた。
声なき声が耳を打った。
「え…………」
『……ジル!敵から目を離すな、しっかりしろ!』
Anubisの叱咤が少女を現実に引き戻す。
ドゥルガーの群れは未だ健在。薄れる霧と灰燼の向こうから、一機がその見えない腕を振り被ってきていた。
「……っ、わかって、る!」
銃口を翻し、空間を歪める暗緑色の閃光を全力で連射する。
この奇怪な力を酷使し続けたらどうなるのか。Anubisの心中には不安があったが、どうすることもできなかった。
この戦場には最早彼女の他にドゥルガーへ有効打を加えられる者はいなかった。先刻まで気炎を吐いていたロイドが膝を突いた今、彼女が敵を倒さねばこちらが全滅することは火を見るより明らかだった。
「痛ぅっ……」
焼け付くような痛みが腕を走る。砲身の光が掠れ、トリガーが反応を返さなくなった。
一種の弾切れのような状態なのか、徐々に病んだ暗緑色の光が灯り出す。余りにももどかしいリロードの時間。
しかし、その対価として先頭を進んできたドゥルガーは完全に破壊しつくされた。
勿論、それで全てではない。後から続く二機が腕を振り上げる。
辛うじて身を躱し、見えざる腕の危害範囲から逃れたジルは、思わずロイドのいた方へと振り返った。庇わなければ。反射的にそう思っていた。
ロイドは既に立ち上がっていた。四つん這いではなく、逆関節状の後脚で。
胸の前で構えた両腕が閃く。ドゥルガーとロイドの間に伸びていた不可視の力場が断ち切られた。
オ、オォ、 オ、
OAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHH!!!!!!!
咆哮と共にロイドが飛び掛かる。
体ごとぶつかるような斬撃。右袈裟、逆袈裟、右薙ぎ、左薙ぎ。一閃一閃が地面まで殴りつけるような、荒々しい斬撃。
直後、小さく跳躍し脳天から下突で縫い付けた。
尚も藻掻くドゥルガーを蹴り飛ばし、見えざる腕から素早く飛び退く。先程までの捨身の獣のような動きの中に、『彼らしい』動きが増えていた。
「……大丈夫」
今は、目の前の敵を倒す。
砲身に病んだ暗緑色の光が戻ってきていた。
††††††
「これで、最後……!」
Anubisのライフルが最後の一体となったドゥルガーを追い詰める。
電磁波の高まりと共に段違いに増した俊敏さで跳ね回り身を躱してくる。あるいは、一人では仕留めきれなかったかもしれない。
砲身が光を失う。だが、ジルの心中には緊張はあっても焦りは無かった。
ロイドは期待を裏切らなかった。
滑るように低く跳んだロイドがドゥルガーを空中で捉えた。殆ど地面と平行になるほど傾けた体ごと、叩きつけるように闇色の両爪を振り下ろす。
それで、終わりだった。
真っ向から三枚に下ろされた断面から、病んだ暗緑色の炎が奔る。
最早完全に機能を喪失したその鉄屑の脇に、倒れ込むようにロイドが手を突いた。脇腹が抉れ、左肩に巨大な穿孔機が半ばまで進んだような穴が開いていた。
「ねえ……大丈夫?」
ジルの声は震えていた。通信回線は愚か、外部音声すら開いていなかった。
我知らず呼びかけていたことに気付いてから、怖くなった。返事など返ってこないのではないか。ひょっとしたら、さっきの声は自分の幻聴だったのではないか。都合のいい奇跡が降って湧いてくることを、子供のように夢想しているだけなのではないか。
ロイドが振り返った。
四つん這いのまま、引き摺るようにゆっくりとAnubisの方へと歩いてくる。
硬直したまま見下ろすその足元まで歩を進め、やがてゆっくりと頭を下げて。爪先に顔が触れて、静止した。
††††††
Anubisを跪かせることすらせず、ジルは操縦棺を飛び降りていた。
脚に走る着地の衝撃も意に介さず、ロイドの操縦棺へと飛びつき、首元へと駆け上がる。
どこにハッチがあるかはわかる。彼はこれと実によく似た操縦棺を与えてくれた。だから、これもきっと。
「…………え……?」
無い。最も被弾の恐れが小さい首元の窪み、開閉蓋があるはずのところには、何の継ぎ目も隙間も見受けられなかった。左手脇に隠蔽されていたはずの外部操作盤も無い。
そんな馬鹿な。愕然としたまま、酷く滑らかな壁面に爪を当てていた。がりがりとそれらしき場所を引っ掻いても、何の抵抗も無く爪は滑っていった。
焦燥だけが頭に充満する。動悸が酷くなり、気が遠のく。力任せに壁を叩いた。何の反応も無い。
急に膝から力が抜け、脇へとぺたりと座り込んでしまった。妙に激しい息遣いが聞こえる。自分の呼吸音だった。ずっと息を吸うことすら忘れていた。
霞む視界の中、呆然と壁を見上げる。惑う心を無視して、呼吸は急速に落ち着きを取り戻していた。
「………………リー……」
酷く小さな声が漏れる。迷子の子供のように、か細い声。
その直後に、壁面にひとりで極細い溝が走り出した。
長方形を描いた溝が、重い擦れる音を立てながら太くなる。そのまま、切り取られたような壁面がジルの脇へと倒れるように開いた。
真っ暗闇の洞穴が覗き、その側壁にもたれ掛かりながら何かが出てこようとして。
躓いて、ジルの膝へと頭から倒れ込んできた。
「ゲッホ、ゲホ……」
跳ねるように顔を背け、水難後に自発呼吸を取り戻したように咳き込んだ。
灰色の頭髪。青白い男の顔。襤褸のような黒いコートから顔を出す、同じく蒼褪めた手と、足。
言葉を失うジルの膝の上で、一通り咳き込んだ後、手をついて身を起こそうとして……起こせず、仰向けになった。
「ごめ、ごめん……まだ、うまくうごけない……」
「うん……うん……」
息も絶え絶えに、かろうじて言葉を発する。その逆さまの顔に向けて、ジルはこくり、こくりと頷き返した。
「あれから……ずっと……ひとりで、よく、がんばった、ね、……ありが、とう、いきてて、くれて」
「ううん……」
ぼろぼろと落ちてくる涙に、男が眩しそうに目を細めた。
「おそくな、って……ごめん…………ただいま、じる」
「ううん…………おかえり、リー」
少女の手が、抱きしめるように男の首に回された。
(ユニオン説明文に続く)
被弾箇所から血のような液体を滴らせる痛ましい姿に、胸が痛む。
似ている。私が守れなかったあのひとに。
『…………なぁんだ……そこに いたのか
ジル……スチュアート』
心臓がびくりと跳ねた。
声なき声が耳を打った。
「え…………」
『……ジル!敵から目を離すな、しっかりしろ!』
Anubisの叱咤が少女を現実に引き戻す。
ドゥルガーの群れは未だ健在。薄れる霧と灰燼の向こうから、一機がその見えない腕を振り被ってきていた。
「……っ、わかって、る!」
銃口を翻し、空間を歪める暗緑色の閃光を全力で連射する。
この奇怪な力を酷使し続けたらどうなるのか。Anubisの心中には不安があったが、どうすることもできなかった。
この戦場には最早彼女の他にドゥルガーへ有効打を加えられる者はいなかった。先刻まで気炎を吐いていたロイドが膝を突いた今、彼女が敵を倒さねばこちらが全滅することは火を見るより明らかだった。
「痛ぅっ……」
焼け付くような痛みが腕を走る。砲身の光が掠れ、トリガーが反応を返さなくなった。
一種の弾切れのような状態なのか、徐々に病んだ暗緑色の光が灯り出す。余りにももどかしいリロードの時間。
しかし、その対価として先頭を進んできたドゥルガーは完全に破壊しつくされた。
勿論、それで全てではない。後から続く二機が腕を振り上げる。
辛うじて身を躱し、見えざる腕の危害範囲から逃れたジルは、思わずロイドのいた方へと振り返った。庇わなければ。反射的にそう思っていた。
ロイドは既に立ち上がっていた。四つん這いではなく、逆関節状の後脚で。
胸の前で構えた両腕が閃く。ドゥルガーとロイドの間に伸びていた不可視の力場が断ち切られた。
オ、オォ、 オ、
OAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHH!!!!!!!
咆哮と共にロイドが飛び掛かる。
体ごとぶつかるような斬撃。右袈裟、逆袈裟、右薙ぎ、左薙ぎ。一閃一閃が地面まで殴りつけるような、荒々しい斬撃。
直後、小さく跳躍し脳天から下突で縫い付けた。
尚も藻掻くドゥルガーを蹴り飛ばし、見えざる腕から素早く飛び退く。先程までの捨身の獣のような動きの中に、『彼らしい』動きが増えていた。
「……大丈夫」
今は、目の前の敵を倒す。
砲身に病んだ暗緑色の光が戻ってきていた。
††††††
「これで、最後……!」
Anubisのライフルが最後の一体となったドゥルガーを追い詰める。
電磁波の高まりと共に段違いに増した俊敏さで跳ね回り身を躱してくる。あるいは、一人では仕留めきれなかったかもしれない。
砲身が光を失う。だが、ジルの心中には緊張はあっても焦りは無かった。
ロイドは期待を裏切らなかった。
滑るように低く跳んだロイドがドゥルガーを空中で捉えた。殆ど地面と平行になるほど傾けた体ごと、叩きつけるように闇色の両爪を振り下ろす。
それで、終わりだった。
真っ向から三枚に下ろされた断面から、病んだ暗緑色の炎が奔る。
最早完全に機能を喪失したその鉄屑の脇に、倒れ込むようにロイドが手を突いた。脇腹が抉れ、左肩に巨大な穿孔機が半ばまで進んだような穴が開いていた。
「ねえ……大丈夫?」
ジルの声は震えていた。通信回線は愚か、外部音声すら開いていなかった。
我知らず呼びかけていたことに気付いてから、怖くなった。返事など返ってこないのではないか。ひょっとしたら、さっきの声は自分の幻聴だったのではないか。都合のいい奇跡が降って湧いてくることを、子供のように夢想しているだけなのではないか。
ロイドが振り返った。
四つん這いのまま、引き摺るようにゆっくりとAnubisの方へと歩いてくる。
硬直したまま見下ろすその足元まで歩を進め、やがてゆっくりと頭を下げて。爪先に顔が触れて、静止した。
††††††
Anubisを跪かせることすらせず、ジルは操縦棺を飛び降りていた。
脚に走る着地の衝撃も意に介さず、ロイドの操縦棺へと飛びつき、首元へと駆け上がる。
どこにハッチがあるかはわかる。彼はこれと実によく似た操縦棺を与えてくれた。だから、これもきっと。
「…………え……?」
無い。最も被弾の恐れが小さい首元の窪み、開閉蓋があるはずのところには、何の継ぎ目も隙間も見受けられなかった。左手脇に隠蔽されていたはずの外部操作盤も無い。
そんな馬鹿な。愕然としたまま、酷く滑らかな壁面に爪を当てていた。がりがりとそれらしき場所を引っ掻いても、何の抵抗も無く爪は滑っていった。
焦燥だけが頭に充満する。動悸が酷くなり、気が遠のく。力任せに壁を叩いた。何の反応も無い。
急に膝から力が抜け、脇へとぺたりと座り込んでしまった。妙に激しい息遣いが聞こえる。自分の呼吸音だった。ずっと息を吸うことすら忘れていた。
霞む視界の中、呆然と壁を見上げる。惑う心を無視して、呼吸は急速に落ち着きを取り戻していた。
「………………リー……」
酷く小さな声が漏れる。迷子の子供のように、か細い声。
その直後に、壁面にひとりで極細い溝が走り出した。
長方形を描いた溝が、重い擦れる音を立てながら太くなる。そのまま、切り取られたような壁面がジルの脇へと倒れるように開いた。
真っ暗闇の洞穴が覗き、その側壁にもたれ掛かりながら何かが出てこようとして。
躓いて、ジルの膝へと頭から倒れ込んできた。
「ゲッホ、ゲホ……」
跳ねるように顔を背け、水難後に自発呼吸を取り戻したように咳き込んだ。
灰色の頭髪。青白い男の顔。襤褸のような黒いコートから顔を出す、同じく蒼褪めた手と、足。
言葉を失うジルの膝の上で、一通り咳き込んだ後、手をついて身を起こそうとして……起こせず、仰向けになった。
「ごめ、ごめん……まだ、うまくうごけない……」
「うん……うん……」
息も絶え絶えに、かろうじて言葉を発する。その逆さまの顔に向けて、ジルはこくり、こくりと頷き返した。
「あれから……ずっと……ひとりで、よく、がんばった、ね、……ありが、とう、いきてて、くれて」
「ううん……」
ぼろぼろと落ちてくる涙に、男が眩しそうに目を細めた。
「おそくな、って……ごめん…………ただいま、じる」
「ううん…………おかえり、リー」
少女の手が、抱きしめるように男の首に回された。
(ユニオン説明文に続く)
NEWS
本日のニュースです雨は降り続いています。もはや、我々になすすべはないのでしょうか
各地でヒルコ教団の一派が、船に乗って逃れられるとして、チケットを高額で販売しています
時折、地響きのような振動が、あちこちで発生しています
そのなかで、マテリアルベルトは声明を発表しました
「我々には、新しい世界を受け入れる用意がある」
「世界の中心に存在するタワー。何のために存在するのか。いま、それが――」
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「ううむ、やはり今回も末端の者が勝手なことを……」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「チケットを高額で売ったとして、自分自身は船に乗れないのだが」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「せっかく賜ったチケットを売るようなものに、与える慈悲はないがね」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「まもなく、神は目覚める。神……そう、残像領域の主であり、意志だ」 |
ヒルコ教団の巫女『ネコ』からのメッセージ 「全ては神である魔王『セワ』の見た夢……神が滅びた後もなお、走り続ける残像の夢」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「貴様は、なぜ死なない? なぜ、私の力を受けて、そんなにも……」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「なぜ、貴様に触れる事すらできない? 追いつくことさえ……できないのか?」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「仮にそうだとしても、私は諦めることはない。私は遺跡と共にある」 |
デバステイター・センチネル≪ΜΕΛΠΟΜΕΝΗ≫ 「そして、使命と……領域拡散精神遊離環と共にある。だから、私は無敵なんだ」 |
◆訓練
適性の訓練をしました適性が47上昇した
ヒルコ教団とスポンサー契約を更新しました!!
ヒルコ教団とスポンサー契約を更新しました!!
ヒルコ教団とスポンサー契約を更新しました!!
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金塊を200cに換金した!!
金塊を200cに換金した!!
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◆作製
作製しようとしたが必要資金が不足したため、無料で頑張って作製しました
作成時補助発動! 加重!! パーツ重量が 54 増加!!
作成時補助発動! 加重!! パーツ重量が 54 増加!!
呪いの人形27と呪いの人形27を素材にしてdustdisablerを作製した!!
◆戦闘システム決定
バーサーク に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1にAberrationAstrayを装備した
脚部2にハイマットフルバーストを装備した
スロット3に<W-E>を装備した
スロット4に重霊障^2パイルA『塩化ナトリウム』を装備した
スロット5にTendernessThrobingを装備した
スロット6にZ.A-C/1855L1を装備した
スロット7にゼノハイラΛを装備した
スロット8にリーイン・カーネイションを装備した
スロット9にリーイン・カーネイションを装備した
スロット10にdustdisablerを装備した
スロット11にDirtyKaratを装備した
◆僚機設定
ジル・スチュアートとバディを結成した!!
◆意思表示設定
意志設定……生存優先
◆ミッション
ミッション設定……ミッションB
ユニオン活動
毛皮の無い灰狼の活動記録
リクライニングベッドの上で、男は興味深そうに自身の手を眺めていた。
指を含めた全ての関節を一つずつ折り曲げては伸ばす。各々の腱が突っ張り抵抗するが、独立させて動かせる。逆の手でくまなく圧してみる。柔らかいというには語弊があるかもしれないが、圧力に応じて僅かながらも表皮が延び寄り肉が沈むのがわかる。ふと思い立ち、ベッドの背面に仕込んだ小振りのナイフを取り、目立たない程度に軽く刃を当ててみた。厚手の刃は音も無く表皮とその下の毛細血管を切開し、滴のような血がぷくりと顔を出す。血の滴は一瞬で干涸びるように凝固し、灰色の粉となってぱらぱらと剥がれ落ちた。慌てて逆の手で受け止める。舌を当ててみると酷く苦い味がした。傷口は塞がっていた。
「……不便かもしれないな」
いくらかの落胆を孕んだ声だった。
††††††
自分でも訳がわからないままジルと再会したリー(公式にはリーもレッドも死亡しているため、当分ロイドで通すことにした)は、結局芋虫のように立ち上がれないまま、正体不明の機体をレッカーに任せてAnubisの操縦棺に潜り込んだまま(リーは自分もレッカーに乗せてもらうことを提案したが、ジルは頑として聞かなかった)住居へと帰還した。
そのままベッドへと運んでもらい、身を横たえて半日。男を慮り、聞きたいことも聞かずにそっと離れたジルへ全身が燃えるような申し訳無さを感じながら、リーは黙々と手足の操作の習熟に勤しんだ。
力は入る。恐らく硬貨くらいは折り曲げられるし、荷が無ければ一般車程度の速さで走ることもできるだろう。だが、それ以上は期待できなかった。男の知る限り、それが血と肉の耐久限界だった。それはそれで大したものではあるが、男の要求水準から言えば不安でしか無かった。
ナイフの腹を押す親指は、冷たい表面に沿って僅かに潰れていた。特注の合金はびくともしない。どうして突然こうなったかに興味はなかった。考えたのは、これでジルの役に立てるのか、ということだった。
握り締めた手元から、べきりという嫌な音がした。
腹立ちの余り加減を誤ったかと慌てて手元を見ると、ナイフは刃も柄も潰れて拉げていた。手指は砕けも傷つきもしていなかった。
そのまま逆の手で触れてみる。硬い感触が返ってきた。別のナイフで力任せに斬りつけてみる。刃が立たなかった。指を開き、逆の腕を突いてみる。やすやすと肉を削ぎ切った。抉れた傷はやはり灰色の粉を噴き、瞬く間に元通りに塞がった。
「そう捨てたもんでもないな」
男はあっさりと評価を翻した。その独言にどこか悼むような響きが混じったことにも驚かなかった。
自身の生命と肉体は手段であり道具に過ぎないと認める彼をしても、形を変え20年以上も連れ添った義肢だけは別であった。
それは道具であり手足でもあったが、それ以前に繋がりであり、負債であり、恩であり、彼等が残し彼女が繋いだ遺産であった。男が生に執着する理由の半分であった。
ふとおかしくなって、苦笑を漏らした。だらしなく片膝を立て、肘を預ける。誰とも分かち合うことなく、彼は半身を喪失した痛みを噛み締めていた。それは死別した肉親への感謝の情にも似ていた。実に贅沢な感傷であった。
指を含めた全ての関節を一つずつ折り曲げては伸ばす。各々の腱が突っ張り抵抗するが、独立させて動かせる。逆の手でくまなく圧してみる。柔らかいというには語弊があるかもしれないが、圧力に応じて僅かながらも表皮が延び寄り肉が沈むのがわかる。ふと思い立ち、ベッドの背面に仕込んだ小振りのナイフを取り、目立たない程度に軽く刃を当ててみた。厚手の刃は音も無く表皮とその下の毛細血管を切開し、滴のような血がぷくりと顔を出す。血の滴は一瞬で干涸びるように凝固し、灰色の粉となってぱらぱらと剥がれ落ちた。慌てて逆の手で受け止める。舌を当ててみると酷く苦い味がした。傷口は塞がっていた。
「……不便かもしれないな」
いくらかの落胆を孕んだ声だった。
††††††
自分でも訳がわからないままジルと再会したリー(公式にはリーもレッドも死亡しているため、当分ロイドで通すことにした)は、結局芋虫のように立ち上がれないまま、正体不明の機体をレッカーに任せてAnubisの操縦棺に潜り込んだまま(リーは自分もレッカーに乗せてもらうことを提案したが、ジルは頑として聞かなかった)住居へと帰還した。
そのままベッドへと運んでもらい、身を横たえて半日。男を慮り、聞きたいことも聞かずにそっと離れたジルへ全身が燃えるような申し訳無さを感じながら、リーは黙々と手足の操作の習熟に勤しんだ。
力は入る。恐らく硬貨くらいは折り曲げられるし、荷が無ければ一般車程度の速さで走ることもできるだろう。だが、それ以上は期待できなかった。男の知る限り、それが血と肉の耐久限界だった。それはそれで大したものではあるが、男の要求水準から言えば不安でしか無かった。
ナイフの腹を押す親指は、冷たい表面に沿って僅かに潰れていた。特注の合金はびくともしない。どうして突然こうなったかに興味はなかった。考えたのは、これでジルの役に立てるのか、ということだった。
握り締めた手元から、べきりという嫌な音がした。
腹立ちの余り加減を誤ったかと慌てて手元を見ると、ナイフは刃も柄も潰れて拉げていた。手指は砕けも傷つきもしていなかった。
そのまま逆の手で触れてみる。硬い感触が返ってきた。別のナイフで力任せに斬りつけてみる。刃が立たなかった。指を開き、逆の腕を突いてみる。やすやすと肉を削ぎ切った。抉れた傷はやはり灰色の粉を噴き、瞬く間に元通りに塞がった。
「そう捨てたもんでもないな」
男はあっさりと評価を翻した。その独言にどこか悼むような響きが混じったことにも驚かなかった。
自身の生命と肉体は手段であり道具に過ぎないと認める彼をしても、形を変え20年以上も連れ添った義肢だけは別であった。
それは道具であり手足でもあったが、それ以前に繋がりであり、負債であり、恩であり、彼等が残し彼女が繋いだ遺産であった。男が生に執着する理由の半分であった。
ふとおかしくなって、苦笑を漏らした。だらしなく片膝を立て、肘を預ける。誰とも分かち合うことなく、彼は半身を喪失した痛みを噛み締めていた。それは死別した肉親への感謝の情にも似ていた。実に贅沢な感傷であった。
ユニオン設備……バニラクッキーを建設!!
ユニオン設備
┗バニラクッキー
ユニオン連帯
┗ジル・スチュアート
ユニオン金庫……1000c
利子配当…………100c
篠崎生研の『取り立てロボ』を対象に配当率を1.01に設定!!
リュミドラ・カラビネル・レギナルトを対象に配当率を1.01に設定!!
シャーロットを対象に配当率を1.01に設定!!
スクラップブックを対象に配当率を1.01に設定!!
ワンダー&ニャッキーを対象に配当率を1.01に設定!!
適性の訓練をしました
適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
100c支払い、今回の戦闘においてAPを10%強化した
ENo.363からのメッセージ>>ゴーグルの少年 「[献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] 」 |
ゴーグルの少年 「[献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] [献金しました] 」 |
メッセージ
◆戦闘結果
戦闘報酬
明日の戦場
第7ブロック
地下空間探索[侵入]
遺跡内部に巨大な空間が発見された。謎の部隊が調査に向かっているらしい。奴らを妨害し、撃破してほしい。入り組んだ洞窟になっている。索敵を重視してくれ
来週の霧濃度:92%
来週の電磁波:95%
来週の警戒値:430%
ジル・スチュアート |
Lloyd |
Strav Quasar |
ギムレット |
ルート・ロックサイド |
オペレーター&シルバー |
鳴間 ルル |
『鉄喰み』 |
グロリア=グラスロード |
なおすロボ |
クラリ |
鋼の幽鬼 |
メーネ・フライス |
坂山 錚牟 |
アンフィニ&許多 |
オルト・イスケー |
さんかく |
クリス・バーミリオン |
ファティマ |
ジュネリア=ハーヴェスト |
--- | --- | --- | --- | --- |
--- | --- | - vs - | --- | --- |
『電波塔』[霊障] |
『電波塔』[霊障] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
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『火焔放射戦車』[火炎] |
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重装甲DR『ルーク』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
『電波塔』[霊障] |
『電波塔』[霊障] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
『電波塔』[霊障] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
『電波塔』[霊障] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
車輪戦車『レベデンコ』[物理] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
『電波塔』[霊障] |
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重装甲DR『ルーク』[物理] |
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『火焔放射戦車』[火炎] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
『火焔放射戦車』[火炎] |
重装甲DR『ルーク』[物理] |
キャラデータ
名前
Lloyd
愛称
ロイド
機体名
未確認機『グレイハウンド』
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プロフィール
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ロイド Lloyd. インセイリー、リー・イン、レッド・リーザリー。それらと同一の存在。 セクション2直前の作戦で死亡したはずの彼が何故存在しているのかは当人にもわかっていない。 白い髪は灰色に染まり、最も大きな特徴だった義肢も血と肉の手足に置き換わっていた。 公的には故人であるため、生前の名前は用いず、とりあえず勝手に使われていた呼称をそのまま使っている。 乗機はかつて駆った愛機ブライトネイルに酷似した灰色のWH、グレイハウンド。これも勝手に使われていた呼称。 グレイハウンド GreyHound. シルウェストリス航空本社襲撃と前後する形で目撃例が生じた暗い灰色の未確認機。 『グレイハウンド』『ミストボーン』『ロイド』『アッシュ・ワン』『灰色の悪魔』等、発見から日が浅く、呼称は発見者がつけたもの、企業が当てたコードネーム、過去の伝説的WHをもじったものなどが好き勝手に用いられている。 決まって戦火の中へ駆けて現れては敵味方を選ばず無秩序な破壊を齎しては灰燼を残して去っていく。 レーダー類の反応からも「突如その場に現れた」としか考えられず、またロストする際も同様であるため、未知の残像、霊障、撃墜された者たちの灰から生まれた怨念の具現化、或いは企業の秘密兵器であり戦場に現れるのはそのテストのためなどと囁かれるが、何れも憶測の域を出るものはない。 灰色の装甲が呼吸をするように膨張と収縮を繰り返す。 逆関節上の脚部だが、しばしば腕部を地に突き四足獣の如く跳躍、走行する。 携行火器の類は無く、専ら腕部から爪状のエネルギー兵器を発生させての接近戦を行う。 戦場で目にした者の多くは、唸る、或いは呻くような怖気の走る声を聞いたと口にする。 ※既知ロール不可。戦争に忙しかった貴方は、これを見るのは初めてなはずです。 ※よく似たものは見たことがあるかもしれません。5年前は特に。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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機体データ |
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1 | 術導肢A | DirtyKarat [24/重霊障/重霊障]《装備:11》 | ▼詳細 |
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2 | 素材 | ロボットアーム28 [28/臂力/---] 特殊B[240] [素材] |
▼詳細 |
3 | 軽ブースターA | リーイン・カーネイション [24/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
4 | 素材 | レイドーム28 [28/広域索敵/---] 特殊B[240] [素材] |
▼詳細 |
5 | 軽ブースターB | dustdisabler [27/重霊障/重霊障]《装備:10》 | ▼詳細 |
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7 | 重逆関節A | アタランドラの””火花”” [25/重霊障/重霊障] 機動[213] 跳躍[115] AP[2720] 旋回速度[577] 防御属性[粒子] 防御値[797] 貯水量[388] 弾数[2] 積載量[4600] 消費EN[139] 金額[454] 重量[1500] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
8 | --- | --- | --- |
9 | 操縦棺E | AberrationAstray [22/---/---]《装備:1》 | ▼詳細 |
10 | 中逆関節A | ハイマットフルバースト [26/重霊障/重霊障]《装備:2》 機動[413] 跳躍[206] AP[1237] 旋回速度[825] 防御属性[粒子] 防御値[423] 貯水量[154] 弾数[1] 積載量[2900] 消費EN[105] 金額[1027] 重量[1204] [逆関節] *作者* |
▼詳細 |
11 | --- | --- | --- |
12 | エンジンB | TendernessThrobing [26/重霊障/重霊障]《装備:5》 | ▼詳細 |
13 | --- | --- | --- |
14 | 砲塔B | 『スウィートフォッグ』 [25/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
15 | --- | --- | --- |
16 | 軽ブースターB | 軽ブースターB設計書 [21/重量軽減/---] 特殊B[100] 重量[-21] [設計書] |
▼詳細 |
17 | 術導肢B | ゼノハイラΛ [24/重霊障/重霊障]《装備:7》 | ▼詳細 |
18 | --- | --- | --- |
19 | --- | --- | --- |
20 | エンジンB | リアトリスの『再誕』 [24/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
21 | --- | --- | --- |
22 | 軽ブースターA | リーイン・カーネイション [24/重霊障/重霊障]《装備:9》 | ▼詳細 |
23 | 軽ブースターA | リーイン・カーネイション [24/重霊障/重霊障]《装備:8》 | ▼詳細 |
24 | 軽ブースターA | リーイン・カーネイション [24/重霊障/重霊障] | ▼詳細 |
25 | FCSC | Z.A-C/1855L1 [24/重霊障/重霊障]《装備:6》 | ▼詳細 |
26 | --- | --- | --- |
27 | --- | --- | --- |
28 | パイルA | 重霊障^2パイルA『塩化ナトリウム』 [26/重霊障/重霊障]《装備:4》 火力[2864] 連撃数[1] 防御属性[粒子] 防御値[851] 貯水量[289] 弾数[1] 武器属性[貫通] 異常追加[30] 消費EN[99] 金額[396] 弾薬費[140] 重量[204] [物理格闘] *作者* |
▼詳細 |
29 | 砲塔B | <W-E> [26/重霊障/重霊障]《装備:3》 | ▼詳細 |
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マーテル・ライソンのブック結果……22位ランクイン!! 配当金……なし!!
現在のユニオン金庫額……16100!!
ワンダー&ニャッキーのブック結果……7位ランクイン!! 配当金……101c!!
流浪の勝負師が配当を獲得!!
現在のユニオン金庫額……16099!!
リュミドラ・カラビネル・レギナルトのブック結果……9位ランクイン!! 配当金……101c!!
流浪の勝負師が配当を獲得!!
現在のユニオン金庫額……16098!!
ケイリーン・レンテリアのブック結果……ランク外!!
現在のユニオン金庫額……16198!!
スクラップブックのブック結果……18位ランクイン!! 配当金……なし!!
現在のユニオン金庫額……16298!!