ENo.0047　『Unterlegene』

「やっぱり霊障やこの霧の影響で無機物や…
　本来意思を持たないモノが意思を持つようになるって言うのはあるのか？」

『ヘァ！？な　ななんすか突然！？』

「えっいや別に気になったから…えっなんでそんなに驚くんだ？」

『いやっ…？えっ…？んん？なんでっすかね……？
　それでアレっすよね　その意思を持つかって話っすね？
　うーん…俺みたいな元残像がこういう電子に閉じ込められる事例もあれば…
　センチネルみたいなのもいるわけだし有り得ない事の方が少なそうっすよね』

「やっぱそういう感じになるのか……？
　ああ　それってつまり霧が晴れて全て終わったら…
　また君とはお別れになる　って事になるんだろうか」

『同じ結果になるのであればそうなると思うっすよ
　…なるとは思えないっすけど　でも途中で離脱はするかもしれないっす』

「…途中は…それは　かなり困るなあ…」

『そんなこと言われてもなあ～
　大丈夫っすよ　俺なりに視覚補正のプログラムはほぼ最適化できてますし
　いつ離れても平気なようには調整してるっすよ
　それにあんまり俺に辛気臭くならんでいいっすよ　既に死んだ身っすからね』

「そうは言われてもな…うーん…そうか…
　あっそうだ　調整はありがたいがせめて共有はしてほしい
　この間のエンジンいきなりすごい音で鳴ったもんだからびっくりしたんだぞ」

『えっ？』

「えっ？」

―5年前、とあるハイドラライダーが拠点としていたガレージ。
現在はリリアナがガレージの所有権を持ち、ヤシロと相談した結果…宿泊施設に改装予定だった。
改装中の所へ遺跡出現のニュース、
途端に建設業者が別の仕事を捻じ込まれて改装は中止されちぐはぐな拠点になってしまった。

半分がハイドラを整備するガレージ。
半分が宿泊施設の客間や家具も何もない部屋がいくつか。
サボり…もとい休憩所として使われている様だ。