ENo.0047　『Unterlegene』

─まだ日も出ない時間帯。

「…あれ？それエンジンバラして…今日出撃しないの？」

「えっ　ん？メーレス…？
　こんな朝早くから…いや夜中か？どこに行ってたんだ？」

「あー…朝帰りってヤツだ　サルガッソー行ってた
　…で　俺の記憶が正しいなら今日出撃の日…だった気がするが」

「合ってるよ　ただ…うーん…動作確認の為に昨日の夜動かしてみたんだ
　そしたらエンジンが…なんか…変な音って訳じゃないんだけどなんかおかしくて」

どう説明したものかな、と唸りながら頭を掻く。

「正直信じて貰えないと思うんだよな…
　明らかに普段のエンジン音とは違う一定の…リズム？を刻んでて…
　
「はあ　確かに普通だったらお前頭おかしいのか？って言うところだな
　俺は単純にあのAIモドキが遊んでるもんだと思ったが」

「…通信機周りは自由にさせてるが…エンジンまでそんな器用なことできるのか…？
　エンジン確認したけどどこも変わりは無いし…会ったら聞いてみるか…」

「絶対アイツだと思うぞ俺は　わかったんなら早く戻して寝たらいいんじゃないか」

「流石に徹夜したしそうする…あー…でもリリアナと…彼にも会わないとだし…
　寝るに寝れないな…なんで今日気付いちゃったんだろうー…」

「……それは気付いた以上どうにもならんからな…」

―5年前、とあるハイドラライダーが拠点としていたガレージ。
現在はリリアナがガレージの所有権を持ち、ヤシロと相談した結果…宿泊施設に改装予定だった。
改装中の所へ遺跡出現のニュース、
途端に建設業者が別の仕事を捻じ込まれて改装は中止されちぐはぐな拠点になってしまった。

半分がハイドラを整備するガレージ。
半分が宿泊施設の客間や家具も何もない部屋がいくつか。
サボり…もとい休憩所として使われている様だ。