ENo.0002　キリト・閃鐳・イサラギ

エンブレイスの操縦棺の中。
キリトは座席に座り、目を閉じていた。

《… ……》

─

《キリト、キリト。起きてください。キリト》

「……」
「…」
「なんだ」

《Notice,雇主より任務の通達です》

「次の任務か…読み上げてくれ」

《Sir,任務内容を読み上げます》
《『任務内容：性能評価試験。詳細：新型量産兵器の性能を見たい。指定された部隊に襲撃をかけてくれ。向こうのテストパイロットの心配はするな……死亡保険はかけてある』。以上です》

「性能評価…」

新兵器の性能を試したい企業が、
相対者として傭兵を雇い 自社製品と戦わせ性能を測る。
兵器の性能を知るには本物の戦場で動かすのが一番いい。
残像領域ではよくある内容の任務だった。

「…」

《Notice,此方の問掛から30秒反応無し…繰り返し返答願います》
《Hey,キリト。キリト、大丈夫ですか起きていますか寝ていませんか》

「…」
「ん…いや、なんでもない」
「……」

ぼんやりした頭を振り、改めて任務内容を反芻する。

「新兵器を搭載した部隊編成に、死亡保険か…随分と金回りの良い企業みたいだな」

当然ながら依頼企業は匿名だ。
どこの企業か、団体か…全くもって霧に包まれている。

《Yes,そのようですね》
《市場情報と工場生産管理情報、企業業績情報を浚えば依頼主の絞り込みができます。しますか？》

「いらん」
「…というか、したところで特に意味もないだろう」

《Sir,ちょっとした冗談ですよ》

「…」

時々…いや頻繁に このAIは特に必要のないことをしようとする。
全く合理的でない、とキリトは思う。
AIを始め、プログラムで構成されたものは合理的な存在だと思っていたので、
割と面食らっているのが現状だ。
人間ですらそう思うのだ。
きっと他AIや機械の視点で見たら、意味不明なのではないか。

「連絡…」

《はい？》

「僚機に、連絡はいっているか？」

《Yes,この連絡は任務該当者全員に同時配信されているようです。ですが…》
《仮にも僚機を組んだ相手です、きちんと名前で呼んでは如何ですか、キリト》

「…」

このAIの、こういうところが嫌なのだ。余計な世話にも程がある。
だが文句を言ったところでこのAIの無駄口が減るわけではない。

「…考えておく」
「それで、特に何か反応とかはなかったか」

《Sir,現状 特にモニカさん側から反応はありません。何故ですか？》

「…」
「…もし」
「この任務に懐疑的だったり、拒否反応があるようだったら…」
「出撃させなくてもいい…と、思ったからだ」

《……そうですか》
《Sir,わかりました。もしモニカさんから連絡があればお知らせします》

「そうしてくれ」

そう告げると、座席を倒し仰向けになる。

「……」




誰も、キリトの疑念に返事をするものはいない。
操縦棺に張り巡らされた配管から、脈動のように水の流れる音が聞こえるだけだった。

荒れた丘陵地に住み着いた子どもたちが、夜な夜な的を立てている。
ハイドラライダーは各自が利用料を払って訓練に使用している

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ユニオン活動：射撃*5 固定
ユニオン購入：経験値+1
ロールプレイ：やる気なし
参加脱退：自由（先着