ENo.0265　ジュネリア＝ハーヴェスト

ジュネリアは夢を見ている。
今までに何度も見た夢だ。だから夢だとわかっている。何度も再生しなくてもわかっている。

草木の生える山べりを列車が走っている。
その列車は地域を治める貴族だけが乗るものであり、そしてその日は一族全員が乗っていた。
そこにあいつは現れた。警護のWHを蹴散らし、まっすぐに列車に向かう。

そして視点は燃え盛る列車に中に移る。すでに山肌を滑り落ち火を吹く列車に動くものはいない。ただ一人投げ出されたジュネリア以外は。
火傷と怪我の痛みで意識が朦朧とする中ジュネリアは襲撃者の姿を目にする。

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そしてそこでジュネリアは目覚めた。よく見る、いつもと同じ夢だ。何も変わらず、すべて同じ結末。
目を覚ますと決まって火傷がうずく。痛い。
すぐに仮面を身につけるとしばしベッドの上でじっとしていた。

　あのリー・インというコロッセオランカー。調べても調べても何も出てこなかった。
　あらゆる情報を隠したがっているかのような、それを調べるようなやつを誘っているかのような。
　やつが、私が追い求めてきたあいつなのではないか？

ベッドの上で痛みが引くまでの間に思考をめぐらせる。
一人になったジュネリアには相談する相手もいなければ、背中を預けるような相手もいない。

ここ最近、やっと目的のためと割り切り他者を利用するために僚機の斡旋所に登録した。
今回の僚機は以前コロッセオにいた大型生物のような何かだ。あれはこの世界の現象、それこそ残像のようなものだと思っていたが違うらしい。誰かが登録したのか自我あるのかわからないが。

　最初に以前に見た覚えがあるベティと出会えたのは運がよかったかも知れない。
　だがしかし彼女が駆るWHは以前はあのような形だっただろうか。
　念のために確認をしておく必要はあるだろう。
　グラウコノメは、流石に違うとわかるが。彼女は自身がWHだ。

痛みが引いてきたので今回の戦果と次回の戦場に目を通す。
戦果はひどいものだった。派手に動いたところを狙い撃ちにされたのだから仕方がないが、これでは復讐を果たすどころではない。

溜まっている企業や不明勢力からの音声メッセージを開くこともなく消去しつつ、次の戦場に目を向ける。

要塞、といわれているものを何度か攻略しにいっている。危険だがその分手当ても多くWHの強化にはどうしても金が必要だった。

　………こういう時でもコロッセオにいくようなやつがいるのか。
　
そう思いながら戦場の僚機達に目を通す。この中にあいつがいないとも限らない。どれだけリー・インが怪しいとしても、だ。

　また新しい技術が見つかるのだろう。私にはあまり関係のないことだが。

ただ無言で射撃する