ENo.0602　如月

　パイロットをデバイス70式丙35号のコンディションチェックは省略とする。
　該当デバイスの廃棄を決定。


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　生命素子添加デバイスとバイオ融合併用の弊害対策とし、領域瞬間霊送箱の次元接続機能を応用してはどうか。
　これはアーキテクトからの提案だ。
　理論は分かるが、発想が飛躍しすぎている。

　たしかにパイロットデバイスを領域外の空間と接続すれば、生命素子の融合現象の一部は分離し、機体への侵食率は下がるだろう。
　結果として、現段階の問題点である腐食抑制の目標値が大幅に易しくなり、達成も難しいことではなくなると思われる。

　だがしかし、戦闘領域外のどこへ、侵食の矛先を逃がすというのだ？
　アーキテクトはその回答は持っていなかったが、クロネア女史が言葉を引き継いだ。
　如月の研究施設で受ければ問題ない。というのが彼女の言い分だ。

　ばかな。
　そんなことをすれば研究所が生命素子に汚染される。
　いや、施設だけではすまされない。
　そこにいる我々さえも危険だ。
　機体のバイオ融合を抑制するために、それ以外のすべてを犠牲にするのか。

　他に手段はあるように思えない。
　我々の持つテクノロジーの限界は、すでに嫌というほど思い知っている。
　引き下がることは許されている。だから手段は他にもある。
　生命素子添加プランを中止すればいい。
　この恩恵を切り捨て、性能に妥協すれば済む話だ。
　ただのバイオ融合ならば安定させることは容易い。
　そしておそらく、退くことがもっとも賢い選択だろう。
　しかし、それは凡人の考えだ。
　だれにでもできることしか出来ないなら、チーム如月の存在意義は無い。

　やろう。
　決断を伝えると、女史は予想通りという顔をして見せた。
　アーキテクトは同意こそしたが、珍しくも無表情で、彼の考えは読み取れない。
　あまり好意的には受け入れてはもらえなかったらしい。
　無理もないことだ。

　アーキテクト・クラウスの意見を明らかにしておくべきだ。
　もし、彼が賛同できないのであれば、彼をプロジェクトから外すべきだろう。
　これは同意なしに巻き込めるようなプランではない。
　彼はハイドラライダー量産計画に尽くしてくれた。
　その彼の忠誠を無下にするつもりはない。
　彼の自由意思の保護のためになるなら、喜んで彼を排除しよう。


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　軌道修正はさておき、次の作戦は前回と同じ処置にて参加せざるを得ない。
　領域瞬間霊送箱の機能を操縦棺内に追加するための装置開発には多少の時間が必要だ。


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　パイロットデバイス70式丙36号へ修理交換。
　戦闘人格および学習記録をロード。

　コンディションチェック。

　生命維持……、規定値未満。
　精神安定……、規定値未満。
　搭乗者侵食率……、規定値未満。


　さあ、出撃の時間だ。

人気も無く、寂れた区間にひっそりと佇む格納庫がある。
入り口は常時開け放たれていて、その横に取付られたプレートには《疾風》の文字が刻まれていた。

時々この格納庫を出入りする者達がちらほらと見受けられる。
此処を根城とする彼等は、戦場を駆け回る斥候部隊。

敵を発見する、敵の動きを妨害する、敵の攻撃を引き付ける等……
そんな役目を持つ者たち。

きっと、目立たず戦場で活躍してくれるだろう。


【斥候戦闘部《疾風》】
　└ひたすら制御あげるだけ。
　└基本的にまったり&自由
　└ロールは気が向いたときにぼちぼちやろうぜ
　└ユニオン活動はずっと制御×5、ユニオン購入もずっと機動力3%
　└参加希望であれば背後Twitter@Ci_ktdm 又はメッセージで連絡してくださいませ